フィリッパ・ラングリー

イギリスの著作家(1962 -)

フィリッパ・ジェーン・ラングリー MBE: Philippa Jayne Langley MBE1962年 - )はイギリスの著作家で、2012年に行ったリチャード3世の発掘と再埋葬への貢献で広く知られている。

Philippa Langley MBE
フィリッパ・ラングリー
誕生 1962年(61 - 62歳)
イギリスの旗 イギリス ケニア植民地
職業 著作家
最終学歴 ハマーズノット・スクール英語版
文学活動 リチャード3世の発掘と再埋葬
代表作 "Finding Richard III: The Official Account of Research by the Retrieval & Reburial Project"
主な受賞歴 ロバート・ハンブリン賞 (Robert Hamblin Award)
テンプレートを表示

幼少期

編集

ラングリーはケニア植民地で生まれ、2歳の時に両親とイングランドダーリントンに移住した[1]。その後はハマーズノット・スクール英語版に通い、広告・マーケティング業を経た後、エディンバラに定住することになった[2]

リチャード3世協会

編集

ラングリーはリチャード3世協会 (Richard III Society) スコットランド支部長を務めている[3]。ラングリーは、執筆中の脚本に関する歴史取材のためレスターを訪れていたところ、初めて訪れた社会福祉事務所の駐車場北端で感じた気持ちこそが、その後の発見に繋がったと回想している。リチャード3世協会では、他のメンバーが1975年から3箇所の駐車場を候補地として提示していたが[4]、脚注が漏れており典拠は記載されていなかった。その時の感情について、「初めてあの駐車場に立った時、最も奇妙な感情が心に押し寄せた。『リチャードの墓の上に立っているんだ』と感じた」と回想している[5]。彼女はその後資金集め・組織作り・駐車場の発掘調査に取り掛かり、リチャード3世の遺体を発見することに成功した[6]。その後は、自身の書いた作品 "Looking For Richard Project" を基にしたドキュメンタリー作品 "Richard III: The King in the Car Park"(直訳「リチャード3世:駐車場から見つかった王」)の制作にも寄与した[5]

彼女はマイケル・K・ジョーンズ (Michael K. Jones) と共に、書籍 "The King's Grave: The Search for Richard III"(直訳「王の墓:リチャード3世の捜索」)を執筆している。2013年にはリチャード3世の人生に迫る映画作品の脚本を執筆しており、王の名前からファーストネームが付けられたイギリスの俳優リチャード・アーミティッジに王の役を演じてほしいと考えていた[7]

2017年7月、彼女はウィリアム・シェイクスピアの戯曲『リチャード三世』をレスター大聖堂英語版で上演するという計画に対し、2015年3月にレスター大聖堂首席司祭英語版が述べた、王は大聖堂へ「あらゆる尊厳と名誉をもって」("with all dignity and honour") 埋葬されるという約束に反しているとして大反対した。結局この作品は同年7月19日・20日に大聖堂で上演され、チケットは完売となった[8][9]

ラングリーの歴史的な発見を元に、スティーヴン・フリアーズスティーヴ・クーガンジェフ・ポープ英語版が脚本を執筆する映画『ロスト・キング 500年越しの運命(原題: The Lost King)』が制作された[10]。この作品の中で、クーガンがラングリーの夫役を演じるのに加え、本人役はサリー・ホーキンスが演じる[11]

その他の業績など

編集

2013年、彼女はリチャード3世協会 (enよりロバート・ハンブリン賞 (Robert Hamblin Award) を授与された[12]。同年3月2日には、同協会の名誉生涯会員 (Honorary Life Membership) となっている[13]

2014年、ラングリーはリチャード3世捜索プロジェクトにかけた長年の苦労をまとめ、"Finding Richard III: The Official Account of Research by the Retrieval & Reburial Project" という形で出版したが、共同執筆者には同プロジェクトのメンバーでもあったジョン・アッシュダウン=ヒル英語版らが名を連ねている。

2015年3月、彼女はヘンリー1世の遺体探しのプロジェクトに着手した(王は自身が創設したレディング修道院英語版に埋葬されたと言われているが、修道院が破壊され埋葬場所は不明になっている)[14][15]。同年には、「リチャード3世の発掘ならびに同定に関する業績」("services to the exhumation and identification of Richard III") に対し、大英帝国勲章 (MBE) が授与された[16][17]

脚注

編集
  1. ^ “Richard III's home town harnesses wave of interest”. The Northern Echo. https://www.thenorthernecho.co.uk/news/10529712.richard-iiis-home-town-harnesses-wave-interest 9 May 2022閲覧. "Philippa Langley of the Richard III Society, who grew up in Darlington" 
  2. ^ EASTERN AIRWAYS IN-FLIGHT MAGAZINE 46 / New Year 2014” (PDF). 2014年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月11日閲覧。
  3. ^ Philippa Langley”. Richard III Society. 9 August 2022閲覧。
  4. ^ Strange, Audrey (September 1975). “The Grey Friars, Leicester”. The Ricardian (Richard III Society) 3 (50): 3–7. 
  5. ^ a b Kennedy, Maev (5 February 2013). “'It's like Richard III wanted to be found'”. The Guardian. https://www.theguardian.com/uk/2013/feb/05/king-richard-iii-found 10 February 2013閲覧. ""When you're writing a screenplay, you walk 1,000 miles in their shoes every day. I wasn't interested in Richard's death, I was interested in his life, but finally I thought I should go to Leicester – and the first time I stood in that car park, the strangest feeling just washed over me. I thought: 'I am standing on Richard's grave.'" 
  6. ^ Dickson, E. Jane (4 February 2013). “Meet Philippa Langley: the woman who discovered Richard III in a car park”. Radio Times. オリジナルの25 March 2015時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150325080211/http://www.radiotimes.com/news/2013-02-04/meet-philippa-langley-the-woman-who-discovered-richard-iii-in-a-car-park 10 February 2013閲覧。 
  7. ^ Nutt, Kathleen (2 February 2013). “Hobbit actor lines up role as Richard III”. ヘラルド・スコットランド英語版. http://www.heraldscotland.com/news/home-news/hobbit-actor-lines-up-role-as-richard-iii.20080483 10 February 2013閲覧。 
  8. ^ Bird, Dan (7 July 2017). “Why Cathedral 'needs rethink over staging Richard III play'”. leicestermercury.co.uk. 19 July 2017閲覧。
  9. ^ Dominic Cavendish (20 July 2017). “Richard III comes to Leicester Cathedral, with gripping results – review”. デイリー・テレグラフ. https://www.telegraph.co.uk/theatre/what-to-see/richard-iii-comes-leicester-cathedral-gripping-results-review/ 13 March 2018閲覧。 
  10. ^ Rubin, Rebecca (2022年8月10日). “IFC Films Buys ‘The Lost King’ Ahead of Toronto Film Festival Debut”. バラエティ. 2022年8月11日閲覧。
  11. ^ Steve Coogan, Stephen Frears Teaming for 'The Lost King,' About Woman Who Found King Richard III's Remains” (英語). ハリウッド・レポーター (2020年11月6日). 2021年3月10日閲覧。
  12. ^ Richard III Society | LOOKING FOR RICHARD”. www.richardiii.net. 2013年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月11日閲覧。
  13. ^ Archived copy”. 28 September 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。4 August 2020閲覧。
  14. ^ “A search for bones of Henry I is planned in Reading”. BBC News. (24 March 2015). https://www.bbc.co.uk/news/uk-england-berkshire-32037999 26 March 2015閲覧。 
  15. ^ 英王の遺骨、またも駐車場下に埋葬か”. ロイター通信 (2015年5月26日). 2022年8月11日閲覧。
  16. ^ Mack, Tom (2015年6月12日). “Queen's Birthday Honours List honours Richard III campaign figureheads and pork pie chairman”. Leicester Mercury. 2015年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月12日閲覧。
  17. ^ “Queen's birthday honours list 2015: MBE”. The Guardian. (12 June 2015). https://www.theguardian.com/uk-news/2015/jun/12/queens-birthday-honours-list-2014-mbe 

発展資料

編集
  • Ashdown-Hill, John; David Johnson; Wendy Johnson; Philippa Langley (2014). Carson, Annette. ed. Finding Richard III: The Official Account of Research by the Retrieval & Reburial Project. Horstead: Imprimis Imprimatur. ISBN 978-0-9576840-2-7 

外部リンク

編集