フィアット・ムルティプラ

イタリアの自動車メーカーフィアットが1998〜2010年まで販売した6人乗り車

ムルティプラMultipla)は、フィアットが製造・販売していた自動車である。

概要

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ムルティプラ
 
ムルティプラ(前期型) フロント
 
ムルティプラ(前期型) リア
概要
製造国   イタリア
  中華人民共和国
販売期間 1998-2010年
2008-2013年(中国)
ボディ
乗車定員 6名
ボディタイプ 5ドアトールワゴン
駆動方式 FF
パワートレイン
エンジン 1.6/1.9L I4 SOHC
変速機 5速MT
車両寸法
ホイールベース 2,665mm
全長 3,995mm(前期型)
4,005mm(前期型日本仕様)
4,080mm(後期型)
4,095mm(後期型日本仕様)
全幅 1,870mm
全高 1,670mm
車両重量 1,300-1,490kg
その他
同車台 ブラーボ/ブラーバ
マレア
系譜
先代 600ムルティプラ
後継 500L
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販売当初は、ロービーム用ヘッドランプは一般的な配置とした一方で、前面窓の下端とボンネット後端に段差を設け、ハイビーム用ヘッドランプがAピラーの根本付近に配置されるという、他に例を見ない良く言えば斬新、悪く言えば奇抜な外観デザインとなった。

駆動形式は前輪駆動で、2列の3人掛けシートが配され6人乗りとされた。すべてのシートは独立しており、運転席以外は個別に折りたたみ可能で、かつ後席はすべて取り外しが可能でより荷室を広くすることも出来る。欧州ではカーフェリー料金が全長4mを境に大きく跳ね上がるため、全長を3,995mmに抑えていることをフィアットが訴求点の一つとしていた。

また、当モデルをベースにしたスパイダーがフィアット名誉会長であったジャンニ・アニェッリの要望という形でワンオフで生産された。

2004年にマイナーチェンジが実施され、前年にフェイスリフトしたプントに似た外観となった。また全長が4mを超え、前述のセールス上の利点を失う結果となった。

2020年1月31日公開の日本映画AI崩壊』(主演:大沢たかお)では前期型がスバル・インプレッサ(2代目)と共に破壊されるシーンで登場する。

 
ムルティプラ(後期型) フロント
 
ムルティプラ(後期型) リア

評価

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ムルティプラのデザインは酷評をもって迎えられ、イギリスのコラムニストからは「世界で最も醜い車」「この車は実際に乗るべきだ。何故なら車の中にいる限り、醜い外観を目にしなくて済むから」と評された[1]。また、2008年には英デイリー・テレグラフ紙が企画した「史上最も醜い車100選」で、ポンティアック・アズテックに次ぐ2位に選ばれた[2]

問題点はデザインに留まらず、1.6Lのエンジンに対してオートマチックトランスミッション(AT)を搭載すると車重が重すぎて非力さが目立ってしまうため、それをカバーするため全年式でAT車の設定がないということや、4mのコンパクトな全長に対して1870mmという大きすぎる車幅の問題があった。欧州では1.9Lディーゼルの設定もあったが、日本向けは1.6Lガソリンのみであった。

車名

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「多様な」を意味するイタリア語の“multipla”に由来する。

フィアットでは元々1950年代にフィアット・600の派生車種として「600 ムルティプラ」の名前を使っていたことがあり、半世紀近い間を経て車名が復活したともいえる。

脚注

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関連項目

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  1. ^ https://www.moma.org/interactives/exhibitions/1999/differentroads/cars/fiat_multipla.html
  2. ^ https://www.hagerty.co.uk/articles/future-classic-fiat-multipla/