ピロール尿症
ピロール尿症(pyroluria。ピロルリア)は、不適切なヘモグロビン合成により体内でピロールが過剰なレベルになるという仮説の疾患である[1]。カール・ファイファー[2]は、統合失調症患者のポルフィリン症を形成し、ヒトの尿中に大量のピロールとポルフィリンが排泄される急性間欠性ポルフィリン症に似ている症状であると信じている[3]。ピロール尿症はビタミンB6と亜鉛を枯渇させるとされる。正常生体分子精神医療(Orthomolecular psychiatry)は、ピロール尿症がADHD、アルコール中毒、自閉症、うつ病、ダウン症、躁鬱病、統合失調症、セリアック病、癇癪、精神疾患の診断に関係しているのではないかと根拠なしに主張している[4]。ファイファーの方法は、厳密に検証されていないし[5]、ピロールが統合失調症に関連しているとは考えられていない。健常者と統合失調症患者の尿中にヘモピロール(hemopyrrole)とクリプトピロール(kryptopyrrole)のどちらも検出できなかった複数の報告があり、これらの化学物質と精神疾患との間には何の関連もないことが見出された[6][7][8][9][10][11]。医療専門家であるなら、現代の医学文献にピロール尿症の記事はほとんどないことが分かるだろうし[12]、そのアプローチ方法は「でっち上げ」と小児科医で著者であるジュリアン・ハーバーに指摘されている[5]。尿中のクリプトピロールは空気に触れることで瞬時に変性してしまい生化学測定装置では検出できないことも上げられ、複数の否定する報告に関しては疑問の声もあげられる。さらにピロール尿症を呈するようアドレノクロムを経口摂取するさいに、アドレナリンの化合物を摂取して測定していたことが後々カール・ファーファーに指摘されて、研究者はピロールを検出できない誤実験だと認識していることは大題的には公表されていない。
なお、現在、ビタミンB6と亜鉛の減少が見られる統合失調症として、ペントシジン蓄積が見られるカルボニルストレスが疑われている (統合失調症) [13]。
脚注
編集- ^ “Behavioral disorders, learning disabilities and megavitamin therapy”. Adolescence 22 (87): 729–38. (1987). PMID 2963502.
- ^ 精神疾患と栄養 ブレーン出版
- ^ “Pyroluria”. nutritional-healing.com. 2008年2月17日閲覧。
- ^ Jackson James A; Riordan Hugh D; Neathery Sharon; Riordan Neil H (1997). “Urinary pyrrole in health and disease” (PDF). The Journal of Orthomolecular Medicine 12 (2nd Quarter): 96–8 2008年2月17日閲覧。.
- ^ a b Skertic, Mark (April 21, 2002). “For some, a question of balancing nutrients”. SunTimes.com Available at the internet archive. Retrieved on 2008-02-17
- ^ Holman, Paul (July 1995). “Pyridoxine - Vitamin B-6” (PDF). Journal of Australian College of Nutritional & Environmental Medicine 14 (1): 5–16. オリジナルの2007年5月8日時点におけるアーカイブ。 2007年4月19日閲覧。.
- ^ “Pyroluria: a poor marker in chronic schizophrenia”. Am J Psychiatry 135 (10): 1239–40. (October 1978). doi:10.1176/ajp.135.10.1239. PMID 696910 .
- ^ “Hemopyrrole and kryptopyrrole are absent from the urine of schizophrenics and normal persons”. Clin. Chem. 24 (2): 230–3. (February 1978). PMID 627053 .
- ^ “The nonoccurrence of hemo- and kryptopyrrole in urine of schizophrenics”. Biol. Psychiatry 10 (1): 91–3. (February 1975). PMID 1120177.
- ^ “Urine concentration of 3-ethyl-5-hydroxy-4,5-dimethyl-delta 3-pyrrolin-2-one ('mauve factor') is not causally related to schizophrenia or to acute intermittent porphyria”. Clin. Sci. 58 (6): 469–76. (June 1980). PMID 7428279 .
- ^ “Megavitamin and dietary treatment in schizophrenia: a randomised, controlled trial”. Aust N Z J Psychiatry 33 (1): 84–8. (February 1999). doi:10.1046/j.1440-1614.1999.00527.x. PMID 10197889 .
- ^ National Library for Health (2005年10月5日). “What is pyroluria, is it an accepted clinical entity and what are the treatment?”. 2007年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月6日閲覧。
- ^ カルボニルストレス性統合失調症 新たな病態仮説と将来の治療法の展望 精神神経学雑誌 2012