ピアソン記号
W・B・ピアソンが考案した結晶構造の表記法
ピアソン記号(ピアソンきごう、英: Pearson symbol)とは、結晶学において結晶構造を示す表記法のひとつであり、W・B・ピアソンによって開発された[1]。ピアソン記号は2つの文字とそれに続く数字からなる。例えば、ダイヤモンドの構造は cF8 、ルチルの構造は tP6 と記す。
イタリック体で表される2つの文字はブラベー格子を示し、それに続く数字は単位格子中の原子の数を示す(IUPAC無機化合物命名法2005年勧告)[2]。
ブラベー格子
編集ピアソン記号の2つの文字は以下の表の結晶系および格子系を示す[3][4]。
a | 三斜晶 |
m | 単斜晶 |
o | 直方晶 |
t | 正方晶 |
h | 六方晶および菱面体晶 |
c | 立方晶 |
C | 底心格子 |
F | 面心格子 |
I | 体心格子 |
R | 菱面格子 |
P | 単純格子 |
ブラベー格子は14種類に分類され、先頭2文字によって識別する。
結晶系 | 格子系 | ピアソン記号 | ブラベー格子 |
---|---|---|---|
三斜晶 | P | aP | 単純三斜格子 |
単斜晶 | P | mP | 単純単斜格子 |
C | mC | 底心単斜格子 | |
直方晶 | P | oP | 単純直方格子 |
C | oC | 底心直方格子 | |
F | oF | 面心直方格子 | |
I | oI | 体心直方格子 | |
正方晶 | P | tP | 単純正方格子 |
I | tI | 体心正方格子 | |
六方晶 (および三方晶) | P | hP | 単純六方(三方)格子 |
菱面晶 | R | hR | 単純菱面格子 |
立方晶 | P | cP | 単純立方格子 |
F | cF | 面心立方格子 | |
I | cI | 体心立方格子 |
ピアソン記号と空間群
編集ピアソン記号は結晶構造の空間群を一意に決定するものではなく、例えば塩化ナトリウム(空間群 Fm3m)とダイアモンド(空間群 Fd3m)はピアソン記号は同じ cF8 だが空間群は同一ではない。
出典
編集- ^ W.B. Pearson, A Handbook of Lattice Spacings and Structures of Metals and Alloys, Vol. 2, Pergamon Press, Oxford, 1967
- ^ Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005; IR-3.4.4, pp.49-51; IR-11.5, pp.241-242
- ^ “ブラベー格子と結晶系”. 北海道大学. 2013年4月18日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “14種類のブラベー格子”. 北海道大学. 2013年4月18日閲覧。[リンク切れ]