閉塞性血栓性血管炎

ビュルガー病から転送)

閉塞性血栓性血管炎(へいそくせいけっせんせいけっかんえん、ラテン語Thromboangiitis Obliterans: TAO)は、末梢動脈に閉塞性の内膜炎を起こし、末梢部に潰瘍壊疽を引き起こす病気フェリックス・フォン・ヴィニヴァルターによって報告された。日本においては、14番目の特定疾患治療研究対象疾患(難病)に定められており、国からの治療費等の補助が受けられる。

一般に、発見者であるレオ・ビュルガーにちなんだ名前である Buerger's disease として、ビュルガー病ドイツ語読み)或いはバージャー病英語読み)とも呼ばれる。

病態

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原因は不明で、四肢主幹動脈や末梢動脈全体の狭窄や血栓による血流低下により、「歩行時の足の痺れ」「痛み」「冷たさ」を感じる。進行すると安静時にも疼痛などの症状が現れる事がある[1]。末梢動脈に血栓を生じた場合、それが結合組織に置き換えられて動脈が閉塞し血流の途絶を招き、結果的に末梢部の壊死を引き起こし、難治性潰瘍や壊疽、下肢切断に至る事もある。

疫学

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男性患者が9割であり、女性は5%程度と少ない[2]。20歳から50歳まで特に30代の喫煙者でストレスが過多な患者に多発。受動喫煙者を含めるとほぼ全員が喫煙に関与していると言う。日本には約1万人の罹患者がいるとされる。近年日本での患者は減少気味。HLA-A9およびHLA-B5の遺伝子型に起きやすい[2]

症状

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Fontaine分類[3]
病期 臨床症状
冷感・しびれ
間欠性跛行
安静時疼痛
潰瘍・壊死
  • 遊走性静脈炎 : 静脈に炎症が見られる。静脈炎の部分は痒みを伴う。静脈炎があちこちに移動するので遊走性静脈炎という。
  • 血流不足による虚血によって、末梢部の痺れ、冷感、部位の蒼白化、潰瘍、短距離の歩行で間欠跛行、激しい安静時疼痛、指趾の難治性潰瘍や壊死が起こる。
  • 寒冷曝露によるレイノー症状が認められる。
  • 下肢動脈に好発する。
  • 末梢動脈拍動の消失。(ドップラー血流計では確認できる場合あり)
  • 確定診断には血管造影が用いられる。

治療

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病変が末梢部にあるので血行再建手術は難しいとされる。

対症療法
  • 薬物療法として、プロスタグランジンなど血小板凝縮抑制
  • カテーテル治療[4]、血管バイパス形成等による血行再建手術[3]
  • 骨髄細胞移植による血管新生療法
  • 超音波照射[5]

日常生活

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血行を悪くする行為を減らし、皮膚感染症への感染リスクを軽減するため下記の注意事項がある[1]

  1. 禁煙の厳守
  2. 足の保温・保護・清潔
    • 保温による血流の確保。
    • 靴下の着用による足指の保護。
    • 清潔にして皮膚感染症のリスクを軽減する。
  3. 歩行
    • 運動による血流改善
  4. 水分摂取
    • 血栓の形成を抑制するために、医師の指導に基づき積極的に水分を摂取する。
  5. 動脈触知
    • 血管が再閉塞を起こしていないか? 毎日状態を観察する。

出典

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脚注

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関連項目

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外部リンク

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