ビカリア
ビカリア(学名: Vicarya)は、吸腔目キバウミニナ科ビカリア属に分類される巻貝の総称。新生代第三紀に繁栄したが現在は絶滅しており、各地で化石として産出する。なお、本属をポタミデス属(Potamides)のシノニムとし、ビカリアという属名は無効であるとする説もある[1]。
ビカリア属 Vicarya | |||||||||||||||||||||||||||
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Vicarya japonica(大阪市立自然史博物館)
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保全状況評価 | |||||||||||||||||||||||||||
絶滅(化石) | |||||||||||||||||||||||||||
地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||
始新世 - 中新世 | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Vicarya d'Archiac and Haimes, 1854 | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
a kind of horn snails |
形態・生態
編集殻長10cmほどの円錐形の巻貝で、キバウミニナ科の現生種であるキバウミニナ、センニンガイ、フトヘナタリなどに似ている。殻の表面には太い螺肋や角状突起がある。
分布・生育地
編集新生代第三紀の始新世から中新世にかけての地層から産出し、示準化石として重要である。
世界中の熱帯 - 亜熱帯に分布し、マングローブなどの汽水域に分布していた。日本では長野県南部から広島県北部にかけてなど各地の地層から化石が見つかっており、中新世の日本は熱帯 - 亜熱帯気候で、日本の中央部は内湾性の浅い海が広がっていたと考えられている[3][4][5][6]。
下位分類
編集- ヤマトビカリア Vicarya callosa japonica Yabe et Hatai, 1938: Vicarya verneuili (d’Archiac, 1851) と同種とも考えられる[7]
- Vicarya verneuili (d’Archiac, 1851): パキスタンの中新世地層[8]。
- ヤベビカリア Vicarya yabei Kamada, 1960: Vicaryellaに分類すべきとも考えられる[9]
- Vicarya yatuoensis Yabe et Hatai, 1938: Vicarya yokoyamai Takeyama, 1933 と同種と考えられる[10]
- ヨコヤマビカリア Vicarya yokoyamai Takeyama, 1933[11][4]
近縁種
編集- ビカリエラ Vicaryella - キバウミニナ科の属。ビカリアと同様に化石として産出する[4]。
- センニンガイ Telescopium telescopium - インド太平洋の熱帯域に分布する。日本での記録はないが、八重山諸島で死殻が見つかる[12]。
脚注
編集出典
編集- ^ Reid, D.G.; Dyal, P.; Lozouet, P.; Glaubrecht, M.; Williams, S.T. (2008-05). “Mudwhelks and mangroves: The evolutionary history of an ecological association (Gastropoda: Potamididae)” (英語). Molecular Phylogenetics and Evolution 47 (2): 680–699. doi:10.1016/j.ympev.2008.01.003 .
- ^ 糸魚川(1973), p. 17.
- ^ 糸魚川(1973), p. 45-47.
- ^ a b c 金子(1996).
- ^ 滋賀地学研究会(1977), p. 44-48.
- ^ “Vicarya属”. 日本古生物標本横断データベース. 2023年8月11日閲覧。
- ^ 菅野(1986), p. 46.
- ^ 菅野(1986), p. 36.
- ^ 菅野(1986), p. 53.
- ^ 菅野(1986), p. 50,54.
- ^ 菅野(1986), p. 44およびPlate IV-VII.
- ^ 奥谷(2004), p. 80-81.
参考文献
編集- 光野千春・沼野忠之・高橋達郎解説 著「ビカリヤ」、山陽新聞社出版局編 編『岡山の地学』山陽新聞社〈原色図鑑〉、1982年、295頁。ISBN 4-88197-108-5。OCLC 674175962。全国書誌番号:83007060。
- 増田孝一郎「ビカリアとビカリエラ」『日本古生物図鑑 : 学生版』藤山家徳・浜田隆士・山際延夫監修(2版)、北隆館、1986年、254頁。ISBN 4-8326-0043-5。
- 糸魚川淳二『日本列島の歴史』講談社、1973年。
- 滋賀地学研究会「ビカリアのすんでいた海」『生きている化石湖』法律文化社、1977年。
- 菅野三郎「Revision of Genus Vicarya (Gastropoda) from the Indo-Pacific Region」『上越教育大学研究紀要. 第3分冊, 自然系教育, 生活・健康系教育』第5巻第3号、上越教育大学、1986年、31-85頁、hdl:10513/00007531、ISSN 0911-9639、NAID 110007153373。
- 金子一夫「中新統黒瀬谷層(富山県)のGeloina-Telescopium群集とArcid-Potamid群集について」(PDF)『富山県立山博紀要』第3巻、1996年、71-83頁、NAID 10003772593。
- 奥谷喬司『世界文化生物大図鑑貝類』(改訂新版)世界文化社、2004年。ISBN 9784418049042。全国書誌番号:20617488 。
関連項目
編集外部リンク
編集- 奈義町. “なぎビカリアミュージアム”. 2012年5月29日閲覧。
- 京都府. “ビカリヤ・ゲロイナ”. 京都府レッドデータブック. 2012年5月29日閲覧。