ハラマイン高速鉄道
ハラマイン高速鉄道(Haramain High Speed Rail)は、西部鉄道またはメッカ・メディナ高速鉄道とも呼ばれる、サウジアラビアの全長453kmの高速鉄道システムである[1]。この鉄道はメッカとメディナの両聖都間を、キング・アブドラ経済都市、キング・アブドゥルアズィーズ国際空港、ジェッダを経由して結ぶ449.2kmの本線と、キング・アブドゥルアズィーズ国際空港への3.75kmの支線からなる[2]。この高速鉄道は、ジェッダにて別の鉄道計画路線に接続される予定となっている。2009年に工事が開始されたものの、当初2012年に開業する予定だった計画は大幅に遅れており、2016年12月時点では、2017年12月に部分開業を行い、2018年3月に全線開通する予定となっていた[3][4]。2018年10月11日に営業開始した[5]。
ハラマイン高速鉄道 | |||
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スペインの技術を導入した列車、TALGO350 SRO。 | |||
概要 | |||
種別 | 高速鉄道 | ||
系統 | サウジアラビア鉄道機構 | ||
現況 | 運行中 | ||
起終点 |
メディナ メッカ | ||
駅数 | 5 | ||
運営 | |||
開業 | 2018年10月11日 | ||
運営者 | サウジアラビア鉄道機構(Adifおよびレンフェと共同) | ||
使用車両 | タルゴ350 SRO | ||
路線諸元 | |||
路線総延長 | 453.0キロメートル (281.5 mi) | ||
軌間 | 1,435 mm (4 ft 8+1⁄2 in) | ||
運行速度 | 300 km/h (190 mph) | ||
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この路線は、時速300kmの電車で安全かつ快適な輸送を行う予定となっている。この鉄道はハッジやウムラを行う巡礼を含む年間300万人の乗客を輸送する予定であり、メッカ・メトロとともに交通の渋滞を緩和することが期待されている[6][7][8]。
路線概要
編集路線は複線電化であり、想定速度は時速320kmに設計されている[9]。列車は時速300kmで運行する予定であり[7][10]、ジェッダ・メッカ間48kmを30分未満で、ジェッダ・メディナ間410kmを約2時間で運行する予定である[7]。この路線の車両および鉄道駅は0℃から50℃の温度に対応できるように設計されている[6]。
この路線には北端のメディナ駅から、ラービグ市にあるキング・アブドラ経済都市駅、キング・アブドゥルアズィーズ国際空港駅、ジェッダ駅、そして南端にある終点メッカ駅の5つの駅が設置される予定である[11][12]。メッカ中央駅は第3環状道路の近くにあるAl-Ruseifah地区に建設され、巡礼の目的地であるマスジド・ハラームへのパーク・アンド・ライドも考慮されている。ジェッダ中央駅はハラマイン道路に面し、Al-Naseem地区に建設される。キング・アブドゥルアズィーズ国際空港駅はターミナルになる予定である。メディナには旅客駅が一つだけ建設される。また、キング・アブドゥルアズィーズ国際空港駅は新空港に建設される予定である[9]。
サウジアラビア鉄道機構によれば、新しく建設される駅はイスラム建築の伝統を考慮した「象徴的に美しい」デザインになる予定で、各駅には商店、レストラン、モスク、駐車場、ヘリポート、VIPラウンジが設置される。これらの駅はフォスター・アンド・パートナーズとBuro Happoldによって設計された[13]。
歴史
編集第1期工事
編集第1期工事第1部は設計及び土木工事を含み、2009年3月に67.9億リヤル(1.8億アメリカドル)でAl Rajhi連合に落札された[7]。この企業連合には中国鉄建、フランスのアルストム、それにAl Arrab Contracting社とAl Suwailem社が参加し、コンサルタントとしてSaudi Consolidated Engineering Company (Khatib & Alami - K&A)社が加わり、スコット・ウィルソン・グループが施工管理を行っていた[15]。
第1期工事第2部は全5駅のうち4駅の建設を含んでおり[13]、2009年4月に3800万USドルでメディナ駅、キング・アブドゥルアズィーズ国際空港駅、ジェッダ駅、メッカ駅の設計がフォスター・アンド・パートナーズとBuro Happoldの企業連合に発注された[12][16][17]。2011年2月には、Saudi Oger LtdとEl Seif Engineering社の企業連合にキング・アブドラ経済都市駅とジェッダ駅の工事が、サウジ・ビンラディン社にメッカ駅の工事が、そしてトルコのYapi Merkezi社にメディナ駅の工事が発注された[13]。
第2期工事
編集第2期工事には線路、信号、電気通信、電力、電装部品など第1期工事に含まれていないすべてのインフラが含まれており、また完成後12年間の車両運用と保守もこれに含まれている[1]。
第2期工事の事前に選定されたコンソーシアムには、サウジ・ビンラディン・グループ、Badr Consortium, 中国南車, Al-Shoula Group、Al-Rajhi Allianceなどが含まれていた[18]。
2011年10月26日、サウジアラビア鉄道機構は、タルゴ、レンフェ、Adif、Copasa、Imathia、Consultrans、Ineco、Cobra、Indra、Dimetronic、Inabensa、OHL、Al-ShoulaとAl-Rosanを含むサウジアラビア・スペインのコンソーシアムであるAL-Souグループを2期工事に選定した[19][20]。タルゴはスペイン高速鉄道に使用されているレンフェ102系に類似した35編成の車両(タルゴ350-SRO)を、12.57億ユーロで納入し、メンテナンスを800万ユーロで行うこととなった[21]。この車両は112系とは異なり、13両編成、417席からなっている[1][22]。レンフェとAdifは12年間の列車運行と管理を担当する[1]。
脚注
編集- ^ a b c d e “Spanish consortium wins Haramain High Speed Rail contract”. Railway Gazette International. (2011年10月26日)
- ^ “Maps and diagrams in Spanish. Colegio ICPP de Madrid”. 2014年12月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月8日閲覧。
- ^ Railway Gazette: Haramain High Speed Rail deal reached
- ^ ありえない問題続く「サウジ砂漠鉄道」の悪夢 東洋経済オンライン 2018年1月25日
- ^ メッカとメディナ結ぶ高速鉄道営業開始 毎日新聞
- ^ a b “Haramain High Speed Rail Project, Saudi Arabia”. railway-technology.com. Net Resources International, a trading division of SPG Media Limited. (2010年). 27 February 2010閲覧。
- ^ a b c d “Al Rajhi wins Makkah – Madinah civils contract”. Railway Gazette International. (2009年2月9日)
- ^ “Saudi bidding hots up”. Railway Gazette International. (2008年3月10日)
- ^ a b “Project brief”. Saudi Railways Expansion Programme
- ^ “Proyecto Meca-Medina Asamblea de la PTFE”. 2012年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月8日閲覧。
- ^ “Phase 1 (Package 2) – Stations”. Saudi Railways Expansion Programme. Saudi Railways Organization.. 26 February 2010閲覧。
- ^ a b “High speed stations for a high speed railway”. Railway Gazette International. (2009年4月23日)
- ^ a b c “Haramain High Speed Rail station construction contracts signed”. Railway Gazette International. (2011年2月16日)
- ^ “Bombardier to supply components for Haramain High Speed Rail trains - Railway Gazette”. Railway Gazette International 24 September 2012閲覧。
- ^ “Haramain High Speed Rail project manager appointed”. Railway Gazette International. (2010年1月6日)
- ^ “Foster + Partners and Buro Happold joint venture to design four stations for Saudi Arabia’s new Haramain High-speed Railway”. Foster and Partners. 2009年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月8日閲覧。
- ^ “Joint venture to design four stations for Saudi Arabia's new high speed railway”. Buro Happold. 2009年8月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年11月8日閲覧。
- ^ “Phase 2”. Saudi Railways Expansion Programme. Saudi Railways Organization.. 26 February 2010閲覧。
- ^ “ADIF participation in phase 2.”. 8 January 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。29 May 2011閲覧。
- ^ “Adjudicado al consorcio español el contrato de alta velocidad en Arabia Saudí” (Spanish). 26 October 2011閲覧。
- ^ “Talgo se adjudica el contrato de Arabia. Patentes Talgo”. 2017年11月8日閲覧。
- ^ “Page 188 Mario Oriol from Talgo in UIMP Seminary”. 2017年11月8日閲覧。
- ^ “Un consorcio español logra el AVE La Meca-Medina por 6.736 millones” (Spanish). Europa Press (26 October 2011). 2017年11月8日閲覧。