ハマヒサカキ(浜姫榊[3]学名: Eurya emarginata)は、モッコク科(サカキ科)[注 1]ヒサカキ属常緑小高木である。海岸近くに多く、同属のヒサカキより葉がまるく、分厚く、光沢があり、乾燥などに強い。海岸林に生える一般的な小高木で、風当たりの強い海岸林で密な林冠を構成するものの一つである。名前も海岸のヒサカキの意味である。別名イソシバ。

ハマヒサカキ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: ツツジ目 Ericales
: モッコク科(サカキ科) Pentaphylacaceae
: ヒサカキ属 Eurya
: ハマヒサカキ E. emarginata
学名
Eurya emarginata (Thunb.) Makino (1904)[1]
シノニム

潮風や乾燥に強いことから街路樹として用いられることがある。ヒサカキのような宗教的な利用はなされないため、知名度はヒサカキより低い。

分布

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本州では千葉県以西、四国九州から琉球列島に見られ[3]、国外では朝鮮南部、中国に分布する。海岸に生える[3]

琉球列島では変異種が多く、内陸で見られるもの、ヒサカキ(学名: Eurya japonica var. japonica)に近い形質のものも見られる。テリハヒサカキ・マメヒサカキ・ケナシハマヒサカキなどのいくつかの型に分けることが試みられたが、それらも中間型があって区分が難しい。

特徴

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常緑低木で、高さ5メートル (m) くらいまで。直径も20センチメートル (cm) ほどになるが、根本から枝を出すことが多い。樹皮は淡灰褐色でほぼ滑らかである[3]。一年枝は淡褐色で時に毛が密に生えるか無毛で[3]、二年目から皮目を生じる。

互生[3]、倒卵形で先端が円いのが特徴で[3]、先がわずかにくぼみ、基部はくさび形、長さ2 - 4 cm。葉質は厚くて硬い。表側は深緑色で強い光沢があり、縁は波状の鋸歯があるが、葉の縁が裏側に反り返るため目立たない。小枝はやや横向きに出て、葉が二列に並び、水平に広がる。この点はヒサカキも同じだが、葉が密生しているためこの種でその印象が強い。

花期は11 - 12月[3]。花は葉腋に1 - 3個束生し、下向きにつく。白い5枚の花弁はツボ状に寄り添う。果実は径5ミリメートル (mm) 、丸くて黒く熟する。花のつく枝ではほとんどすべての葉の根元にずらりとつく。プロパンガスに付けられた臭いと似ており、静岡県では騒ぎになったことがある[4]

実は黒色で鳥が好んで食べに集まってくる。

冬芽裸芽で披針形、緑色で赤みを帯びることがある[3]。枝先のものは大きい[3]。前年の果実と一緒に花芽が見られ、丸くて多数つく[3]

近縁種

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ヒサカキ属にはこのほかに日本に8種(変種を含む)が知られる。一般に見られるのはヒサカキで、それ以外の多くは南方離島産のものである。

脚注

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注釈

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  1. ^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではモッコク科、別名サカキ科(Pentaphylacaceae)に分類されるが、古いクロンキスト体系新エングラー体系ではツバキ科(Theaceae)に分類されている[1]

出典

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Eurya emarginata (Thunb.) Makino ハマヒサカキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月21日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Eurya emarginata (Thunb.) Makino f. macrophylla Hatus. ハマヒサカキ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年3月21日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 63
  4. ^ 静岡でガス臭?騒ぎ 原因は植物「ハマヒサカキ」、静岡新聞NEWS(2013年11月27日)[リンク切れ]

参考文献

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  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、63頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 北村四郎、村田源『原色日本植物図鑑・木本編II』保育社〈保育社の原色図鑑 50〉、1979年10月。 
  • 初島住彦『琉球植物誌』(追加・訂正版)沖縄生物教育研究会、1975年。