ハオ・ワン
ハオ・ワン (Hao Wang、王浩、拼音: 、1921年5月20日 - 1995年5月13日[1]) は、中国系アメリカ人の哲学者・数理論理学者・計算機科学者。「ワンのタイル」や「ワンのBマシン」(レジスタマシン)、ゲーデルの評伝執筆で知られる。その他、数理論理学の入門書執筆や、分析哲学への批判や唯物弁証法論など多方面で活動した[2]。
ハオ・ワン | |
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生誕 |
1921年5月20日 中華民国 山東省 済南市 |
死没 |
1995年5月13日 アメリカ合衆国 ニューヨーク |
研究分野 | |
研究機関 | |
出身校 | |
博士課程 指導教員 | ウィラード・ヴァン・オーマン・クワイン |
博士課程 指導学生 | |
主な業績 |
ワンのタイル ワンのBマシン(レジスタマシン) |
プロジェクト:人物伝 |
生涯
編集1921年、中華民国山東省済南に生まれる。1943年、西南聯合大学数学科で学士号取得。1945年、清華大学哲学科で馮友蘭や金岳霖の指導のもと修士号取得。その後渡米し、1948年、ハーバード大学でクワインの指導のもとPh.D.取得。同年、ハーバード大学のアシスタント・プロフェッサーに就任。
1950年代初頭、チューリッヒに渡りパウル・ベルナイスのもとで研究に従事。1956年、オックスフォード大学の数学哲学コース準教授に就任、ジョン・ロック講義も務めている[1]。1959年、IBM 704で『プリンキピア・マテマティカ』の膨大な定理をわずか9分間で証明するプログラムを書き上げる[3]。この業績により、1983年に国際人工知能会議から「自動定理証明におけるマイルストーン賞」 (Milestone Prize for Automated Theorem-Proving) を授与される[1]。
1961年、母校ハーバード大学の「数理論理学・応用数学ゴードン・マッケイ記念冠教授」に就任、スティーブン・クックらを指導する。1967年、ロックフェラー大学論理学教授に就任、同大学の論理学グループの中心を担う[1]。1972年、ニクソン訪中に際し、中国系アメリカ人学者からなる代表団に参加し訪中する。
1991年、長年勤めたロックフェラー大学を退職。1995年、悪性リンパ腫により逝去[1]。
ゲーデルとの関わり
編集1960年代後半、自分の論文へのコメントを求めて晩年のゲーデルに接触、以降10年間親交する[2]。1975年から1976年には、ゲーデルの招きでプリンストン高等研究所を兼任している[2]。1978年にゲーデルが死去した後は、本人との思い出や収集した一次資料をもとに、ゲーデル研究の草分け的な評伝『ゲーデル再考』(Reflections on Kurt Gödel) を執筆し、1987年に刊行した[2]。
著書
編集- Les Systèmes axiomatiques de la Théorie des Ensembles, Gauthier-Villars; Paris, 1953. [with Robert McNaughton].[4]
- A Survey of Mathematical Logic. Peking: Science Press; Amsterdam: North-Holland, 1962.
- From Mathematics to Philosophy. London: Routledge & Kegan Paul, 1974.
- Popular Lectures on Mathematical Logic. New York: Van Nostrand, 1981. ISBN 0-486-67632-3.
- Beyond Analytic Philosophy: Doing Justice to What We Know. Cambridge, Massachusetts: MIT Press, 1985. ISBN 0-262-23124-7.
- Reflections on Kurt Gödel. Cambridge, Massachusetts: MIT Press, 1987. ISBN 0-262-73087-1.
- ハオ・ワン 著、土屋俊;戸田山和久 訳『ゲーデル再考 人と哲学』産業図書、1995年。ISBN 9784782800966。(土屋俊あとがき497頁-501頁)
- Computation, Logic, Philosophy. A Collection of Essays. Beijing: Science Press; Dordrecht: Kluwer Academic, 1990. ISBN 7-03000211-3.
- A Logical Journey: From Gödel to Philosophy. Cambridge, Massachusetts: MIT Press, 1996. ISBN 0-262-23189-1.
関連項目
編集脚注
編集- ^ a b c d e “Hao Wang, 73, Expander of Logician's Themes” (英語). The New York Times. (1995年5月17日). ISSN 0362-4331 2021年6月2日閲覧。
- ^ a b c d ワン 1995, p. 497-501 (土屋俊あとがき).
- ^ Wang, Hao (1960), “Toward Mechanical Mathematics”, IBM Journal of Research and Development 4 (1): 2–22, doi:10.1147/rd.41.0002 [Wang 1960a].
- ^ Halmos, Paul R. (1954). “Review: Les systèmes axiomatiques de la théorie des ensembles par Hao Wang et Robert McNaughton”. Bull. Amer. Math. Soc. 60 (1): 93–94. doi:10.1090/s0002-9904-1954-09769-0 .
外部リンク
編集- ハオ・ワン - Mathematics Genealogy Project
- “Hao Wang, 73, Expander of Logician's Themes” (英語). The New York Times. (1995年5月17日). ISSN 0362-4331 2021年6月2日閲覧。 - ニューヨーク・タイムズ掲載の訃報
- Interview with Hao Wang and Robin Gandy - Richard Zach、Robin Gandyとの鼎談映像。