ヒドロキシカルバミド

抗がん剤
ハイドレアから転送)

ヒドロキシカルバミド英語: Hydroxycarbamide)とは、1869年にドイツのDreslerらによって合成された尿素誘導体であり、代謝拮抗剤に分類される抗がん剤である。ヒドロキシウレア (Hydroxyurea) 、ヒドロキシ尿素ともいう。商品名は、ハイドレアブリストル・マイヤーズ スクイブ社販売)。

ヒドロキシカルバミド
Structural formula
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 ハイドレア
Drugs.com 国別販売名(英語)
International Drug Names
MedlinePlus a682004
ライセンス EMA:リンクUS FDA:リンク
胎児危険度分類
  • AU: D
  • US: D
法的規制
薬物動態データ
代謝肝臓で代謝され二酸化炭素尿素となる
半減期2-4 hours
排泄腎臓および肺より排泄
データベースID
CAS番号
127-07-1 チェック
ATCコード L01XX05 (WHO)
PubChem CID: 3657
DrugBank DB01005 チェック
ChemSpider 3530 チェック
UNII X6Q56QN5QC チェック
KEGG D00341  チェック
ChEBI CHEBI:44423 チェック
ChEMBL CHEMBL467 チェック
NIAID ChemDB 006310
化学的データ
化学式CH4N2O2
分子量76.0547 g/mol
テンプレートを表示

効能・効果

編集

日本では適応外であるが乾癬への効果も報告されている[2][3]。また米国では鎌状赤血球症にも適応を持つ[4]

おもな副作用

編集

骨髄抑制、間質性肺炎、皮膚潰瘍など。

作用機序

編集

ヒドロキシカルバミドは、in vitro試験の結果から以下の3点で抗腫瘍効果を示すと考えられている。

DNA合成阻害作用

編集

リボヌクレオチドレダクターゼ阻害により細胞内dNTP含量、特にプリン体(dATPdGTP)含量を急激に低下させDNA合成を阻害し細胞増殖を抑制する。

DNA修復阻害作用

編集

細胞内dNTPを枯渇化し、種々の要因により惹起されるDNA一本鎖切断の修復不全を生じさせ、最終的に細胞を致死させる。

細胞周期に対する作用

編集

ヒドロキシカルバミドは、S期初期へ腫瘍細胞を蓄積させることが認められている。また同様の実験で、ヒドロキシカルバミドは、主にS期初期の細胞に対し殺細胞作用を示し、さらに死を免れたS期の細胞及び他の周期の細胞が同時に分裂期に入るような、周期同調作用を示すことが認められている。

パッケージ、用法

編集
 
ハイドレア500 mgカプセル 1シート10カプセル 判別しやすいよう派手な色のカプセルが特徴

製品化されているものは500 mgカプセルで経口剤(飲み薬)であり、一日500~2000 mgを1~3回に分服する(医師の判断で増減する)。

脚注

編集
  1. ^ 公知申請に係る事前評価が終了した適応外薬の保険適用について 厚生労働省 2021年4月5日閲覧。
  2. ^ Sharma VK, Dutta B, Ramam M (2004). “Hydroxyurea as an alternative therapy for psoriasis”. Indian J Dermatol Venereol Leprol 70 (1): 13–7. PMID 17642550. http://www.ijdvl.com/article.asp?issn=0378-6323;year=2004;volume=70;issue=1;spage=13;epage=17;aulast=Sharma. 
  3. ^ Rustin, MH (November 2012). “Long-term safety of biologics in the treatment of moderate-to-severe plaque psoriasis: review of current data”. Br J Dermatol 167 (Suppl 3): 3–11. doi:10.1111/j.1365-2133.2012.11208.x. PMID 23082810. 
  4. ^ http://www.fda.gov/medwatch/safety/2006/safety06.htm#Hydrea Food and Drug Adminidstation. Med watch

参考資料

編集

関連項目

編集

外部リンク

編集