ノマドワーカー
ノートパソコン等の持ち運び可能な端末を用い、Wi-Fi環境がある喫茶店等、通常のオフィス以外の多様な場所で仕事をする人
(ノマドワーキングから転送)
ノマドワーカーは、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末などを使い、Wi-Fi環境のある喫茶店やコワーキングスペースなど、通常のオフィス以外のさまざまな場所で仕事をする人を指す日本語の表現[1]。また、そのような働き方を、「ノマドワーク」という。英語ではデジタルノマドと呼ばれる。
概説
編集英語「遊牧民」を意味する「ノマド」と、「働く人」を意味する「ワーカー」を組み合せた言葉である[2][3]。
「ノマドワーカー」も「ノマドワーク」も、2010年の時点で使われていた表現であるが[4]、「ノマドワーカーの先駆者」と評された安藤美冬の活動が知られるようになり[5]、ブログの広告収入で生活するようになった経験を綴った立花岳志の著書『ノマドワーカーという生き方』が出版された[6]2012年ころから、広く用いられるようになった。
ノマドワーカーが働く場としては、しばしば代表的な例として言及されるスターバックスなど[2][7]、通常の喫茶店の他、そうした客向けに特化した店や、公共図書館などがある[8]。また、ノマドワーカーが注目されるようになると、その受け皿として、各地で電源やWi-Fi環境などを整備したコワーキングスペースを設ける動きも出始めた[3]。
デジタルノマドの誘致
編集日本国政府による訪日外国人旅行者(インバウンド)を増加させる政策の一環で、日本で仕事と休暇を両立するワーケーションを招致すべくデジタルノマドに特化した査証(ビザ)の発給を開始した[9]。
就労観光ビザの発給開始をうけ、観光庁もデジタルノマドが東京一極集中のように都市部に集まるのでなく、地方にも分散することを奨励し、「地域におけるデジタルノマドの誘客に向けたモデル実証事業」おモデル地域公募を開始した[10]。
脚注
編集- ^ 深澤友紀「20代30代が模索する、二つのS求める働き方カリスマ」『アエラ』2013年5月27日、27頁。「社会と個をつなぐツイッターやブログなどの「ソーシャルメディア」を駆使して新しい働き方を実現しているのが安藤美冬(33)だ。スマートフォンやタブレット端末など新しいツールや、Wi-Fiなどのネット環境を活用し、さまざまな場所で仕事をする「ノマドワーカー」を自認する。」 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ a b 荷宮和子 (2015年12月5日). “(帰ってきた食べテツの女)モバイル遊牧民の安息の地 生ビール JR大宮駅”. 朝日新聞・朝刊: p. 15. "ノマドという言葉が広まって久しい。ノマドとは本来、英語で「遊牧民」の意味。近ごろは、オフィスから離れ、スタバあたりでノートパソコンを広げて、「ドヤ顔」しながら仕事する人たちを「ノマドワーカー」と呼ぶ。モバイルが普及した時代ならではの、遊牧民的労働者のことだ。" - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ a b 畑矢今日子、雛谷優「コワーキングスペース盛況 新ビジネス育む「共働」」『読売新聞・大阪朝刊・大阪市内』2012年3月8日、31面。「ここ数年はスマートフォン(高機能携帯電話)などの普及でカフェなどを転々としてIT関係などの仕事をする人たちが登場。英語で「遊牧民」を意味する言葉から「ノマドワーカー」と呼ばれる。こうした人たちの受け皿がコワーキングスペースだ。」 - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ 「ノマドワーカーの「超カバン整理術」」『日経ビジネスアソシエ』第9巻第19号、日経BP社、2010年12月7日、48-51頁。 日経BP記事検索サービス 国立国会図書館サーチ
- ^ “朝日カルチャーセンター レヴィ=ストロースの神話学”. 朝日新聞・朝刊・大阪府: p. 35. (2013年2月13日). "ノマドワーカーの先駆者・安藤美冬さんが実践例を交え「新しい働き方」について語る。" - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
- ^ “「ノマドワーカーという生き方」立花岳志著”. 読売新聞・東京朝刊: p. 12. (2012年7月1日). "資産のないサラリーマンだった著者は、41歳で退職し、ブログを書いてその広告収入で暮らすノマドワーカーだ。" - ヨミダス歴史館にて閲覧:立花岳志『ノマドワーカーという生き方:場所を選ばず雇われないで働く人の戦略と習慣』東洋経済新報社、2012年。
- ^ “「ドヤラー」都心に定着 ― カフェで仕事軽やかに(トレンドサーチ)”. 日本経済新聞・朝刊: p. 15. "以前は得意げにPCを持ち歩く人を冷やかす言葉だった「ドヤラー」が、新しい働き方を示す肯定的な意味で使われ始めている。オフィスや自宅以外を転々として仕事をこなすノマド(遊牧民)ワーカーが増え、効率の良い働き方として後押しする企業も出てきた。... スタバなどのカフェチェーンでは、ネット接続用の公衆無線LAN「WI-Fi(ワイファイ)」を無料で提供し、PC用の電源を備えた店が増えた。" - 日経テレコン21にて閲覧
- ^ 堀大介 (2013年4月26日). “「ノマドワーカー」体験 5日間でわかったこと… 喫茶・専用カフェ・図書館で仕事”. 日本経済新聞・NIKKEIプラス1 2016年3月5日閲覧。
- ^ “特定ビザ:特定活動(デジタルノマド・デジタルノマドの配偶者等)”. 外務省 (2024年3月31日). 2024年4月27日閲覧。
- ^ “地域におけるデジタルノマドの誘客に向けたモデル実証事業の公募を開始します”. 観光庁 (2024年4月26日). 2024年4月27日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- ノマドってどうよ?~賛否両論から「働く」を考える~ - ダイヤモンド・オンライン