ネ330は、三菱重工業が1940年代に開発を進めていた航空機用ターボジェットエンジン。試作機が1基完成したものの試運転前に空襲で破壊され、2号機以降の製作中に敗戦を迎えて開発は終了した。

概要

編集

遣独潜水艦作戦によって得られたドイツジェットエンジンの資料を元に、1944年(昭和19年)11月にそれまでの計画を見直して発注しなおされたエンジンのひとつで、このとき発注されたエンジンの中では最も大きな推力を予定していた。乏しい資料のなかで8月から名古屋研究所において設計作業が進められ10月に完了、1945年(昭和20年)4月に試作1号機の組み立てが完了した。しかし試運転を開始する前に空襲で被爆大破し、2~4号機の製作が進められたものの終戦までに完成しなかった。[1][2]

諸元

編集
名称 ネ330 ネ20(参考) ネ130(参考) ネ230(参考)
形式 ターボジェットエンジン
寸法
全長 4,000 mm 3,000 mm 2,750 mm
直径 880 mm 620 mm 792 mm 780 mm
重量 1,160 kg 450 kg 930 kg 900 kg
圧縮機
形式 軸流式 軸流式 軸流式 軸流式
段数 7段 8段 7段 7段
圧力比 3.0 3.0 3.56 2.86
燃焼室
形式 直流 複室直流環状
個数 7個 1個
タービン
形式 軸流式衝動型 軸流式 軸流式
段数 1段 1段 1段
圧力比 2.0
回転数 7,600 rpm 11,000 rpm 9,000 rpm 9,000 rpm
空気流入量 14.8 kg/s 22.8 kg/s 18.6 kg/s
燃料消費量 800 kg/h 900 kg/h
離昇推力 1,200 kg 475 kg 900 kg 885 kg
出典 [3] [4] [4] [4]

脚注

編集

注釈

編集

出典

編集
  1. ^ 松岡 1996, pp. 207–210.
  2. ^ 日本機械学会 1949, pp. 1011–1012.
  3. ^ 日本機械学会 1949, p. 1012.
  4. ^ a b c 中田 1952, p. 203.

参考文献

編集
  • 中田金一「10.ガスタービン(内燃機関展望)」『日本機械学会誌』第55巻、第398号、日本機械学会、202-204頁、1952年3月5日。doi:10.1299/jsmemag.55.398_202NAID 110002439239 
  • 日本機械学会 編『日本機械工業五十年』日本機械学会、1949年3月。 
  • 松岡久光『みつびし航空エンジン物語』アテネ書房、1996年1月10日。ISBN 4-87152-196-6 

関連項目

編集