ネオ・エンジェルズ』は、丘野ゆうじライトノベルシリーズ。集英社スーパーファンタジー文庫刊で、全4巻。イラストは四位広猫

ストーリー

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大学生の茜杏介氷馬マクリーンは、親に捨てられ、超能力研究機関「ロッジ」で育ったという過去があった。「ロッジ」の爆発事故で各々の力が覚醒し生き延びる事が出来た後は、超能力を隠しながら、普通の一般人として生きていた。

しかしある日、渋谷チーマーが次々と惨殺されるという事件が起き、杏介も白い仮面の男に襲われてしまう。これを超能力者の仕業とみた杏介は、氷馬の制止を聞かず、独自に調査を始める。それが、彼らの過去との対決の始まりだった。

登場人物

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主人公

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茜杏介(あかね・きょうすけ)
本作の主人公。19歳。大学生兼零細フリーライター。雑誌などにコラムを書く仕事で生計を立てているが、いつも金欠状態であり、家賃を二ヶ月(最終的には四ヶ月まで)滞納している。苗字は茜色の布に包まれて発見された事に由来する。
以前は自身の出自や超能力に引け目を感じ、一般社会から距離を置いていたが、現在はすっかり馴染み、どこにでもいる明るい平凡な若者となっている。超能力者の仕業と見られる事件にも積極的に首を突っ込み、同じ超能力者である自分が止めなければならないと考えるお人よしな好青年。好物はチーズケーキ
双葉の見立てでは、雰囲気がマイケル・J・フォックスに似ているという。
PAR(サイコ・アクセラレーション&レインフォースメント)という超能力の持ち主で、一時的に超人的な身体能力を発揮する事ができる。また、微弱ながらPKやESPも使える。「ロッジ」に収容される前、孤児院時代に近所の老人から習った中国拳法をベースとして、我流の格闘技を編み出した。超能力に頼らない護身術として、また、超能力を発動した際の強すぎる力を制御するために活用している。
氷馬マクリーン(ひょうま・-)
準主人公。21歳。白人と日本人のハーフで、長い銀髪が特徴の美青年。美大生ながら、新進コンピューターアーティストとして認められており、杏介とは対照的に裕福な学生生活を送っている。名前は、冷凍庫の中で馬のぬいぐるみと一緒に発見されたこと、発見者のカナダ人旅行者の姓に由来する。
孤児という出自で受けてきたハンデから、杏介とは異なり社会に対しては冷淡。まして、超能力を持つ自分たちは、存在そのものが社会に受け入れられない異分子だと考えている。しかし自分の愛車に関してはキズをつけられて激怒したり、ペーパードライバーの杏介の運転に細かい指示を入れるなど、かなりの愛着を見せている。
超能力はPK(サイコキネシス)を得意とする。また、女性の整形手術の経験を見抜く特技を持っており、本人はこれもESPの一つだと主張している。
実はバイ(バイセクシャル)で、相手が男でも女でも構わない。本人曰く「真の美を愛でるのに性別など関係ない」らしい。自称「美の狩人」。
安房紫津花(あわ・しずか)
二巻から登場する。楚々とした雰囲気の和風美人。18歳。杏介たちとは「ロッジ」の同窓生だが、クラスが別だった為当時直接の面識はなかった。
紫津花の面影を亡き娘と重ねた「ロッジ」主任研究員と共に「ロッジ」を脱走する。その際追っ手の研究員の銃弾で自爆装置を作動させ、「ロッジ」は爆発、炎上してしまう。無事に逃走出来た二人は戸籍等をハッキングで改竄し親子としてひっそり生きてきたが、研究員はその後ガンで死亡してしまう。しかし、その間際に氷馬がコンピューターアートの賞を受賞し、雑誌に写真が掲載されていたのを見つけ、「仲間がいるかもしれない」と紫津花に告げていた。そして彼女は彼らに接触する為、授賞式に潜り込む。
ESP(超感覚的知覚)と、ヒーリングを得意とする。PKも少しだけ使える。
落ち着いた風貌とは裏腹に、勝負事になると熱くなる性格。またハンドルを握ると人が変わるタイプで、二巻では派手なカーチェイスを展開する。

杏介たちを取り巻く人々

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森沢二葉(もりさわ・ふたば)
杏介の大家さん(の娘)。高校生だが、童顔のため中学生に間違われる事を気にしている。
杏介に好意を寄せており、家賃滞納を理由に大家という立場を利用してよく部屋の合鍵を使い、無断で杏介の部屋に上がりこんで掃除や洗濯をしてしまう。また、時折「腕にノリをかけた」料理を振る舞う事があり、杏介や氷馬から恐れられている。
杏介の秘書を自称し、成人向け雑誌のコラムなど、自分が「フケツ」と判断した仕事を勝手に断ってしまった。杏介が金欠なのは彼女の責任もあるのだが、本人に自覚はない。
杏介たちが超能力者である事は一切知らない。杏介にとっては天敵であると同時に日常の象徴でもあり、平和な普通の社会に繋ぎとめてくれる存在である。
青木一徳(あおき・かずのり)
オカルト研究家。杏介を何度か雇った事があり、現在も友人関係が続いている。二年前(1999年)まではノストラダムスネタで荒稼ぎしていたが、件の大予言が外れた事で業界全体が信用を失い、青息吐息の状態。しかし青木本人は「ここ二、三年以内に必ず何かが起こる」と考えている。

ホワイト・フィスト

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アメリカにある白人至上主義団体。アメリカにはよくある小さな団体に過ぎないが、メンバーにはかつて「ロッジ」を主宰していた「ドクターR」と呼ばれる人物がおり、彼の「ロッジ」での研究成果を元に作り出されたサイコソルジャーを擁している。リーダーはトム・コーリン。
ドクターR
かつて日本にて「ロッジ」で超能力研究を行っていた老人。表向きはキリスト教精神に基づく慈善団体を装って孤児を集め、実験動物のように扱って、次々と使い捨てていった。その後、犯罪者として日本を追われ、アメリカのホワイト・フィストに身を寄せる。
本名はカール・ハインツ・ローゼンベルク。ナチスの科学顧問だったアルフレート・ローゼンベルクの息子で、父の思想を受け継ぎ、白人至上主義による世界支配を完成させるため、超能力研究を行っていた。最後は、超能力開発の薬品を自らに投与し、能力が暴走。悪魔のような姿に変貌した挙句、人体発火を起こし消滅した。
アラン・ダニエル
「ホワイト・フィスト」メンバーにして、ドクターRによって超能力を開発されたサイコソルジャー。ミシシッピで警官をしていたが、麻薬の密輸を手伝っていた事が明るみに出て職を追われた。
大柄なアメリカ人の中でも更に突出した巨体の持ち主。強力なPKに加え、杏介と互角に渡り合うパワーとタフネスを誇る。
「マーク・ボス」という偽名を名乗り、新聞記者を装って来日。リベラル派上院議員の講演会に潜入し、その超能力でもって、心臓麻痺に見せかけて暗殺した。
アドニス
「ホワイト・フィスト」メンバー。天使のようなルックスを持つ美少年だが、元軍人の祖父から教え込まれた白人至上主義を盲信しており、その幼さも相俟って、有色人種に対しては非常に残酷。
ダニエルをはるかに凌ぐ強力なPKを持ち、また物体を自分の手元から別の場所へテレポートさせる能力(アスポート)も持つ。そのPKはただ物を持ち上げたり、人を突き倒したりするばかりではなく、彼のイメージに応じて様々に形を変える事ができ、チェーンソーとしても、マシンガンとしても機能する。
セイレーン
「ホワイト・フィスト」メンバー。常に妖艶な笑みをたたえ、感情を見せない美女。その能力は上記の二人とは異なり、催眠術のように他人をコントロールする。他人の精神に干渉して幻を見せたり、記憶を消したり、時にはロボットのように操る事ができる。

単行本

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最終巻では「第一部完」となっているが、十年以上経った現在も第二部が始まる気配はなく、スーパーファンタジー文庫も廃刊している。