トルコ航空宇宙産業
トルコ航空宇宙産業（英語：Turkish Aerospace Industries, Inc.、トルコ語: Türk Havacılık ve Uzay Sanayi A.Ş.、TUSAŞ[2]、TAI）は、トルコ共和国において、軍用機など航空宇宙システムの設計、開発、製造、統合、近代化、アフターサービスに関する技術センターである。
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 略称 | TAI（トルコ：TUSAŞ） |
| 本社所在地 |
トルコ アンカラ |
| 設立 | 1974[1] |
| 業種 | 航空宇宙機器、軍需産業 |
| 事業内容 | 航空機（UAVを含む）、人工衛星 |
| 売上高 | 14.3億ドル（2017年） |
| 従業員数 | 8,500（2019年2月19日） |
| 主要株主 |
トルコ軍基金 (54.49%) 首相府防衛産業庁 (45.45%) トルコ航空協会 (0.06%) |
| 主要部門 |
航空機構造グループ 航空機グループ ヘリコプターグループ UASグループ 宇宙システムグループ |
| 外部リンク | https://www.tusas.com/en/ |
アンカラにあるTAIの生産工場の面積は500万平方メートルで、屋根の下に15万平方メートルの工場施設がある。同社は、先端技術の機械・設備を備えた近代的な航空機施設を有しており、部品製造から航空機の組み立て、飛行試験、納入に至るまで、幅広い製造能力を提供している。
2010年時点、トルコ航空宇宙産業は1500人以上の技術者を雇用しており、そのうち約850人が軍事研究プロジェクトに従事する研究開発技術者である。
プロジェクト
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TAIは以下の経験がある。ゼネラルダイナミクスF-16戦闘機、CASA/IPTN CN-235軽輸送機/海上紹介・監視機、SIAI-マルケッティ SF-260訓練機、クーガー AS 532捜索救助（SAR）、戦闘捜索救難（CSAR）、多用途ヘリコプターのライセンス生産、無人航空機（UAV）、標的ドローン、農業機の設計開発などである。
TAIのコアビジネスには、トルコと同盟国の在庫にある固定翼・回転翼の軍用機と民間機の近代化、改造、システム統合プログラムとアフターセールスサポートが含まれる。
基本練習機ヒュルクシュが耐空性型式認証を取得したと、2016年ファンボロー国際エアショーで発表した。
主なプログラム
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- トルコ空軍（TuAF）向けF-16の電子戦改修と構造変更[3]
- ヨルダン空軍（RJAF）向けF-16のMLU、Falcon-Up、Falcon Starの改修[4]
- パキスタン空軍向けの41機のF-16A/Bブロック15をF-16AM/BMブロック15 MLU水準に変更[5]
- S-2E海上追跡哨戒機の消防用への改造
- トルコ特殊部隊向けのCN-235とUH-60「ブラックホーク」ヘリコプターの改造
- トルコ海軍とトルコ沿岸警備隊のMPA/MSA活動用のCN-235プラットフォームの変更
- ユーロコプターAS 532の改修と近代化[6]
- S-70ヘリコプターのグラスコックピットの改修[7]
- B737-700のAEW&Cへの転換[8]
- トルコ空軍（TuAF）用C-130のアビオニクス近代化[9]
- 統合打撃戦闘機F-35中央胴体の保守、修理、オーバーホール（MRO）および製造[10][11]
- A400M輸送機および空中給油機の設計・開発への参加[12]
- トルコ空軍（TuAF）用T-38のアビオニクス近代化[13]
- トルコ軍 （TAF）用攻撃ヘリコプターT-129の設計、開発、製造[14]
- EASA CS-23認証を取得したTAI ヒュルクシュ（トルコの初等・基礎訓練機）の設計、開発、製造[15]
- TuAF用のTAI アンカ無人機の設計、開発、製造[16]
TAIは、世界中の顧客を対象として固定・回転翼の軍用機・民間機の航空機構造を製造している。TAIは、アグスタウェストランド、エアバス、アレーニア・アエルマッキ、ボーイング、IAI、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、MDヘリコプターズ、シコルスキー・エアクラフトなど、航空宇宙分野の多くの企業と様々なパートナーシップを結んでいる。
エアバス319/320/321用のセクション18胴体パネル、ボーイング737用の翼端および飛行甲板パネル[17]、ユーロコプターEC135ヘリコプター用の後部ドアおよびエンジンカウリング、MDヘリコプターズ用のMD902胴体、シコルスキーS-70AおよびMH-60ヘリコプター用の水平尾翼、テールローターパイロンおよび尾部支材、シコルスキーS-76ヘリコプター用の水平尾翼[18]、アグスタ用のAB139胴体などを製造している。また、ボーイング747の前脚ドア、777のドーサル・フィン、737/767/777の部品・組立部品を生産している。また、ユーロコプターAS 532ヘリコプターの7つの部品も製造している。
TAIは、設立当初は単一のプログラム（F-16戦闘機の共同製作）を担当していたが、現在では50以上の軍事・商業用プログラムに取り組んでいる。TAIは、エアバス・ディフェンス・アンド・スペースのパートナーとして、エアバス（フランス、ドイツ、スペイン、イギリス）、EADS CASA（スペイン）、FLABEL（ベルギー）など欧州の航空宇宙産業をリードする企業とともに、プロジェクト開始当初からエアバス A400Mの設計・開発活動に参加してきた。TAIは、新たな提携により、A350 XWBのウイングレットの生産を受託した。
2015年5月、サイズの異なる2種類のリージョナルジェットの現地生産で構成されるトルコのリージョナルジェット計画が開始された。最大航続距離2,000海里の32席 TRJ-328ジェット機は、2019年に就航する予定だった。フェアチャイルド・ドルニエ 328をベースに、新型コックピットとエンジンを搭載した近代化された機体であった。より大型で70席のTRJ-628ジェット機は2023年に就航予定だった[19][20]。その後、この計画はキャンセルされている。
製品
編集航空機
編集- ヒュルクシュ：練習および地上攻撃用の複座、単発エンジン、ターボプロップ機[21]
- TAI ヒュルジェット：先進ジェット練習・軽攻撃機案
- TAI TFX：双発全天候型制空戦闘機案
ヘリコプター
編集- TAI/アグスタウェストランド T129 ATAK
- TAI T-70 - シコルスキー S-70iのトルコ版
- TAI T-625
無人航空機
編集- TAI アクスングル：中高度長時間滞空無人航空機ISTAR
- TAI アンカ-A（TIHA-A）（2013）：中高度長時間滞空無人航空機 ISTAR UAV
- TAI アンカ-B（TIHA-B）（2013）：中高度長時間滞空無人航空機 UCAV
- TAI バイクゥス（2004）：戦術監視ドローン
- TAI ガジュウ（2007）：短距離戦術ISTARドローン
- TAI ケキィキュ（2001）：追跡および射撃予行演習用の標的ドローン
- TAI マルティ（2003）：監視ドローン
- TAI ペリカン （IHA-X2）：戦術ISTARドローン
- TAI シムシェーキ：高速標的ドローン
- TAI コォルナ（2001）：追跡および実射用の標的ドローン
- TAI UAV-X1（1982）：監視ドローン
人工衛星
編集TAIは、トルコ宇宙システム統合テストセンターを運営している。
2024年の本社襲撃事件
編集2024年10月23日、アンカラにある本社が武装した男2人に襲撃される事件が起き、5人が死亡、22人が負傷した[2]。クルディスタン労働者党（PKK）が同月25日、犯行を認める声明を出した[22]。
出典
編集- ^ “平成30年度海外貿易会議（航空機）に参加及び関連業務報告”. 航空と宇宙 (日本航空宇宙工業会) 779: 30-31. (11 2018).
- ^ a b 「トルコテロ 5人死亡／軍需企業襲撃 クルド組織関与か」『読売新聞』夕刊2024年10月24日3面
- ^ “Turk Hava Kuvvetleri Turkish Air Force – TUAF”. f-16.net. オリジナルの2 December 2017時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “TAI DELIVERS RJAF'S FIRST F-16 A/C MODERNIZED AT ITS FACILITIES”. tai.com.tr. (17 Oct 2007). オリジナルの2009年10月3日時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ Pocock, Chris (24 February 2012). “Pakistan Air Force Receives New, Upgraded F-16s from U.S., Turkey”. ainonline.com. 23 June 2013閲覧。
- ^ “Tusas Aerospace Industries (TAI) from Turkey and EUROCOPTER Extend their Cooperation in the Super Puma / Cougar Helicopter Family”. eurocopter.com. (7 Sep 2004). オリジナルの2011年1月8日時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “737 AEW&C Wedgetail Airborne Early Warning and Control Aircraft, USA”. airforce-technology.com 4 Jun 2010閲覧。[信頼性要検証]
- ^ “Turkish Aerospace Industries (TAI) Delivers First S-70i BLACK HAWK Helicopter Tailcone”. sikorsky.com. (28 Apr 2009) 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “The first C-130 aircraft, the avionics modernization of which will be realized by TAI, arrived at TAI's facilities”. tai.com.tr. (27 Dec 2007). オリジナルの2010年6月4日時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “TAI delivers first composite parts for F-35”. reinforcedplastics.com. (5 Mar 2009). オリジナルの2010年10月24日時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ Andrea Shalat (December 11, 2014). “Italy, Turkey to service F-35 jet, engine in Europe: Pentagon”. January 24, 2017閲覧。
- ^ “TAI's support to local sub-tier industry development”. tai.com.tr. (18 Feb 2005). オリジナルの2011年7月22日時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “Getting Ready for Takeoff”. defensenews.com. (18 Jan 2010). オリジナルの31 July 2012時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “Modernization & Modification Program – T-38 AVIONICS MODERNIZATION”. defenceproducts.ssm.gov.tr. (1 Sep 2009) 4 Jun 2010閲覧。 [リンク切れ]
- ^ “T-129 fighter chopper aces maiden test flight”. todayszaman.com. (29 Sep 2009). オリジナルの2012年10月5日時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “TAI'S TURKISH PRIMARY AND BASIC TRAINER AIRCRAFT (HURKUS) TO BE DISPLAYED AT 47TH PARIS AIR SHOW”. tai.com.tr. (6 Jun 2007). オリジナルの2011年7月22日時点におけるアーカイブ。 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “TAI Unveils ANKA Unmanned Airplane”. trDefence. 20 July 2010閲覧。
- ^ “TAI in deal to supply fuselage sections for AgustaWestland AB139”. flightglobal.com. (27 Apr 2004) 4 Jun 2010閲覧。
- ^ “Turkey to open contract negotiations with TAI for the serial production of the Hürkus Trainer Aircraft”. Air Recognition (2014年1月4日). 2020年8月29日閲覧。
- ^ “Turkish Regional Jets Launched – TRJ-328 & 628”. Airliners. (2015年5月27日) 2015年5月31日閲覧。
- ^ “İşte yerli yolcu uçağının teknik özellikleri” (Turkish). Sabah. (2015年5月27日) 2015年5月31日閲覧。
- ^ 「トルコのテロ PKKが声明」『朝日新聞』朝刊2024年10月26日（国際面）