トルココーヒー
コーヒーの淹れ方の一種
トルコ・コーヒー(トルコ語: Türk Kahvesi - テュルク・カフヴェスィ、英語: Turkish coffee - ターキッシュ・コーヒー)は、コーヒーの淹れ方の一種。水から煮立てて、上澄みだけを飲む方法である[1][2]。
2013年12月5日に、ユネスコの無形文化遺産にトルココーヒーの文化と伝統が登録された[3]。そのため、12月5日は世界トルココーヒーの日とされた[4]。
歴史
編集約450年前、オスマン帝国内のイエメン統治者オズデミル・パシャにより、コーヒー豆が皇帝に献上された。まずイスタンブールのタフタカレ地区でコーヒーが飲まれるようになり、その後ヨーロッパに広まる。
概略
編集ギリシアとキプロスのギリシア人の間ではギリシア・コーヒーまたはビザンティン・コーヒー、アラブ人の間ではカフワ・アラビーヤ、アルメニア人の共同体ではアルメニア・コーヒーと称される。
淹れ方
編集- 用意する道具としては、粉状にされたコーヒー豆・冷水・ティースプーン、トルコではジェズヴェと呼ぶコーヒー用の鍋、それがなければ小さな手鍋。この鍋の深さはコーヒーの粉が沈むのに十分なほどであればよい。ジェズヴェは銅でできたヒシャク型で、木の把手がついている。
- コーヒーの粉はティースプーンに山盛り1杯が、1人分の分量である。コーヒーと砂糖を同じ割合でジェズヴェに入れる。1人あたりデミタスカップ1杯(100mL)の水を、多すぎないように注意しながらジェズヴェに入れる。煮立てて沸騰してきたら火を弱め、浮かんできた泡をカップに等分に分けて入れる。ふきこぼれる寸前に火を止めて、ジェズヴェにあるコーヒーをカップに注ぐ。粉が沈むのを待って上澄みを飲む。好みによって、カルダモン、マスティック・ガム、サレップなどで風味をつけることがある[5]。水の代わりに牛乳を用いてもよい。
- ジェズヴェを加熱する際には、熾火と灰を使うのが伝統的手法である。しかしこれは加熱に時間がかかるため、時代とともにコンロ等に取って代わられ、道具一式も廃れていった。近年、灰の代わりに耐熱砂を使うことで、伝統器具に似せつつ瞬時に加熱する方法が考案され、人気となっている[6]。
コーヒー占い
編集→詳細は「タソグラフィー」を参照
飲み終わった後のカップにソーサーをかぶせてひっくり返し、カップの底に残った粉の状態によって飲んだ者の運勢を占う「コーヒー占い」がある。最近では、そこから派生したコーヒーカード[7]というものがある。
諺について
編集トルコには他人に親切にせよという意味で、「1杯のコーヒーにも40年の思い出」という諺がある。トルコ語で「40」には「かなり大きな数」という意味があり、「40年の思い出」とは「長年の思い出」ということになる。つまり、他人に1杯のコーヒーをご馳走するだけで、その親切をなにかにつけて思い出してもらえるものだ、という教えになる[8]。
脚注
編集- ^ 「トルコ珈琲」『デジタル大辞泉』 。コトバンクより2023年2月25日閲覧。
- ^ 「ターキッシュコーヒー」『飲み物がわかる辞典』 。コトバンクより2023年2月25日閲覧。
- ^ a b 「トルココーヒー」『百科事典マイペディア、飲み物がわかる辞典』 。コトバンクより2023年2月25日閲覧。
- ^ “トルコのコーヒー文化 駐名古屋トルコ総領事 ウムット・リュトフィ・オズテュルク:中日新聞Web”. 中日新聞Web. 2023年9月27日閲覧。
- ^ “Where To Drink Coffees From Around The World In London” (英語). Londonist (2016年10月11日). 2023年9月27日閲覧。
- ^ “Kumda kahve keyfi”. HABERTURK. 2023年8月22日閲覧。
- ^ トリプルK『はじめてのコーヒーカード占い』FCM、2020年1月1日。ISBN 978-4991159602。
- ^ 大島直政『遊牧民族の知恵 トルコの諺』講談社〈講談社現代新書 546〉、1979年6月、36頁。ISBN 978-4-06-145546-7。
関連項目
編集- チャイ (トルコ)
- ヒヨコマメのコーヒー - 第一次世界大戦で物資不足になった際に、トルコでよく食べられるヒヨコマメを使って生まれた代用コーヒー
- オスマン帝国式コーヒーハウス、カファナ、Kahvehane、カフェ
- クルディッシュ・コーヒー
- 結婚 - 日本の三三九度の盃のように、トルココーヒーを使った慣習がある。また、トルコでは過去には夫が妻に毎日コーヒーを飲ませなければ離婚という法律があった。