トランス』(Trance)は2013年イギリスサイコスリラー映画英語版ダニー・ボイル監督、ジョー・アヒアナ英語版ジョン・ホッジ脚本。出演はジェームズ・マカヴォイロザリオ・ドーソンヴァンサン・カッセルらである[2]。プレミア上映は2013年3月19日にロンドンで行われた[3]

トランス
Trance
監督 ダニー・ボイル
脚本 ジョー・アヒアナ英語版
ジョン・ホッジ
製作 ダニー・ボイル
クリスチャン・コルソン
製作総指揮 フランソワ・イヴェルネル
バーナード・ベリュー
出演者 ジェームズ・マカヴォイ
ロザリオ・ドーソン
ヴァンサン・カッセル
音楽 リック・スミス
撮影 アンソニー・ドッド・マントル
編集 ジョン・ハリス
製作会社 クラウド・エイト・フィルムズ
パテ・インターナショナル
フィルム4・プロダクションズ英語版
配給 イギリスの旗 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
日本の旗 20世紀フォックス
公開 イギリスの旗 2013年3月27日
日本の旗 2013年10月11日
上映時間 101分
製作国 イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 $20,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $24,261,569[1]
イギリスの旗 $7,011,363[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $2,328,743[1]
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ストーリー

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フランシスコ・デ・ゴヤ魔女たちの飛翔

ギャンブル依存症で借金まみれの競売人サイモンは、借金を肩代わりしてくれたギャングフランクらと結託し、彼らが起こした騒動に紛れてゴヤの名画『魔女たちの飛翔』をオークション会場から盗み出すことに成功するが、何故かフランクらを裏切り、密かに絵を隠す。ところが、フランクに殴られたことでサイモンは記憶喪失に陥り、隠し場所を完全に忘れてしまう。そこでフランクは、サイモンが適当に選んだ催眠療法士エリザベスを使ってサイモンの記憶を探ろうとするが、エリザベスは逆にフランクらに接近し、MRIでサイモンのを検査するなどして信頼させ、自分をパートナーにするように提案する。こうして仲間になったエリザベスの催眠療法によってサイモンの記憶が徐々に取り戻されて行くが、その一方で、エリザベスはフランクともサイモンとも肉体関係を持つなどの不審な行動をとり、彼女の正体と企みが次第に明らかになって行く。また、それと同時に、サイモンの「封印された記憶」も明らかになる。

全ては1年半前に始まっていた。ギャンブル依存症のサイモンは、その治療のためにエリザベスのもとに通うようになるうちに彼女と恋人同士になるが、すぐに異常な嫉妬心から暴力を振るうようになり、エリザベスに捨てられる。ストーカーとなったサイモンに、エリザベスは催眠療法を使って自分を忘れるように仕向ける。こうしてサイモンはエリザベスを完全に忘れ去ったのだが、事件当日にフランクに殴られたことから部分的に記憶を取り戻してしまったのである。その日、フランクに殴られて気を失ったサイモンはしばらくして意識を取り戻すと、朦朧とする中でオークション会場から逃げ出す。ところが、そこで偶然に出会った女性を、自分を裏切って記憶を封印したエリザベスと思い込んで殺してしまう。彼女の車のトランクに彼女の遺体とジャケットの中に隠し持っていた絵を隠したサイモンは、車を駐車場に置いて逃げ出した後に一連の記憶を失ったのである。

記憶を取り戻したサイモンは女性の遺体とともにフランクを車ごと焼き払おうとするが、絵を持って逃げ出したエリザベスがトラックでサイモンに突進し、フランクの乗った車ごと川に落とす。サイモンは絶命するが、フランクは何とか車から脱出する。

しばらくしてフランクのもとにエリザベスから荷物が届く。中に入っていたタブレット端末で再生された動画には盗まれた絵画とともにエリザベスが映っていた。実は一連の出来事の全てはエリザベスの企みだったのだ。エリザベスは催眠療法でサイモンに自分を忘れさせた際に、同時にサイモンのギャンブル依存症を悪化させることで、借金まみれの末に絵画を盗ませるように暗示をかけ、その上で盗んだ絵を自分に渡すように仕向けていたのだ。まんまとしてやられたことを知ったフランクは動画の中のエリザベスに言われるままに催眠療法で今回の一連の記憶を消そうとするが思い直してやめようとする。

 
レンブラント・ファン・レインガラリアの海の嵐英語版
 
フランシスコ・デ・ゴヤ『裸のマハ

キャスト

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製作

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本作は2001年のイギリスの同名のテレビ映画が部分的に基となっている。脚本のジョン・ホッジ英語版と監督のダニー・ボイルは今作が通算5回目のコラボレーションとなる[5]

ボイルが1994年に『シャロウ・グレイヴ』を撮り終えた後、ジョー・アヒアナ英語版はボイルに『トランス』の脚本を送った。ボイルはこの当初の脚本ではプロジェクトの実現は「非常に難しい」と考えた。アヒアナは2001年のテレビ映画用に脚本を流用した[6]。それから約20年後、脚本のことを忘れていなかったボイルは長編映画化に向けてアヒアナに連絡を取った[7]

フランク役には当初はマイケル・ファスベンダーがキャスティングされていたが[8][9]、スケジュールの都合により降板した。その後コリン・ファースが代役に考えられていたが、最終的にはヴァンサン・カッセルに決定した[10][11]。エリザベス役にはスカーレット・ヨハンソンメラニー・ティエリーゾーイ・サルダナが考慮されていたが、最終的にロザリオ・ドーソンに決定した[11][12]

主要撮影は2011年9月に開始された。撮影終了後、ボイルは2012年のロンドンオリンピック開会式に取り組むために本作の作業を一時中断した。ポストプロダクションは2012年8月より再開された[13]

ボイルは「私は女性を映画の中心に置いたのは初めてだ」と述べている[5]。彼はまた当初は舞台をニューヨークにする構想であったが[14]、オリンピック開会式の作業のためにイギリスに滞在しなければならなかったためにロンドンとケントで撮影した[15]

評価

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Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「相変わらずスタイリッシュなダニー・ボイル監督は驚くほど薄っぺらい脚本の『トランス』でも何とか持ちこたえているようだが、それでもボイル作品のファンにとっては、薬物でトリップするような娯楽作品として楽しめるはずである。」であり、187件の批評家レビューで支持率は68%、平均点は10点満点で6.6点となっている[16]Metacriticによれば、37件のレビューのうち、高評価は23件、賛否混在は12件、低評価は2件で、平均点は100点満点で61点となっている[17]

出典

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  1. ^ a b c d Trance” (英語). Box Office Mojo. 2014年9月1日閲覧。
  2. ^ a b c d O'Connell, Mikey (2011年7月27日). “James McAvoy, Rosario Dawson, Vincent Cassel all set to join Danny Boyle's 'Trance'” (英語). Zap2it. Tribune Media Services, Inc.. 2013年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月14日閲覧。
  3. ^ Trance kept us sane” (英語). Reuters. Khaleej Times (21 March 2013). 2014年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。20 March 2013閲覧。
  4. ^ a b Lock, Adam (2011年7月28日). “Danny Boyle Adds Vincent Cassel & Rosario Dawson To Heist Thriller TRANCE” (英語). Obsessed with Film. 2012年1月14日閲覧。
  5. ^ a b Wloszczyna, Susan (27 December 2012). “Sneak peek: Boyle falls into 'Trance' with thriller” (英語). USA Today. https://www.usatoday.com/story/life/movies/2012/12/26/danny-boyle-trance-james-mcavoy-movie/1779189/ 23 March 2013閲覧。 
  6. ^ Billington, Alex (2011年5月4日). “Danny Boyle is Next Directing Art Heist Thriller 'Trance', Due 2013” (英語). FirstShowing.net. https://www.firstshowing.net/2011/danny-boyle-will-next-direct-art-heist-thriller-trance-due-in-2013/ 2013年4月11日閲覧。 
  7. ^ Horn, John (March 30, 2013). “Danny Boyle Calls for a Retake on Trance (英語). Los Angeles Times. https://www.latimes.com/entertainment/movies/moviesnow/la-et-mn-ca-trance-20130331,0,6415621.story April 2, 2013閲覧。 
  8. ^ A Friday Report with Wargames Madness, Danny Boyle and Aaron Sorkin” (英語). Reel Fanatic (June 24, 2011). April 2, 2013閲覧。
  9. ^ Abrams, Rachel; Kroll, Justin (2011年5月6日). “Fassbender in talks for Danny Boyle’s ‘Trance’” (英語). Variety. オリジナルの2018年7月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180714170441/http://variety.com/2011/film/news/fassbender-in-talks-for-danny-boyle-s-trance-1118036555/ 2013年4月11日閲覧。 
  10. ^ Gallagher, Brian (2011年7月5日). “Trance Loses Michael Fassbender, Eyes Colin Firth” (英語). MovieWeb.com. 2013年10月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月14日閲覧。
  11. ^ a b Lock, Adam (2011年7月7日). “Danny Boyle May Put Colin Firth & Scarlett Johansson in a TRANCE” (英語). Obsessed with Film. 2012年1月14日閲覧。
  12. ^ Zoe Saldana Reportedly Being Considered For Role In New Thriller Trance” (英語). Black Voices (2011年7月5日). 2011年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月14日閲覧。
  13. ^ Fleming, Mike Jr. (4 May 2011). “Danny Boyle To Squeeze In Trance Before Summer Olympics” (英語). Deadline.com. https://deadline.com/2011/05/danny-boyle-to-squeeze-in-trance-before-summer-olympics-128466/ 23 March 2013閲覧。 
  14. ^ Sacks, Ethan (March 31, 2013). “Academy Award-winning director Danny Boyle hopes to cross 'film a movie in New York' off his bucket list” (英語). New York Daily News. https://www.nydailynews.com/entertainment/tv-movies/danny-boyle-talks-trance-filming-nyc-article-1.1303785 April 2, 2013閲覧。 
  15. ^ Filming locations for Trance (2013)” (英語). IMDb. April 2, 2013閲覧。
  16. ^ "Trance". Rotten Tomatoes (英語). 2021年3月16日閲覧
  17. ^ "Trance" (英語). Metacritic. 2021年3月16日閲覧。

外部リンク

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