トランスリニア・ライト
『トランスリニア・ライト』(Translinear Light)は、アリス・コルトレーンが2004年に発表したスタジオ・アルバム。日本で先行発売された[3]。なお、コルトレーンは2007年1月12日に死去し、結果的に生涯最後のスタジオ・アルバムとなった[4]。
『トランスリニア・ライト』 | ||||
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アリス・コルトレーン の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
2000年4月28日-29日 カリフォルニア州ハリウッド オーシャン・ウェイ・スタジオ(#1, #3, #9)[2] 2004年2月18日 カリフォルニア州ハリウッド キャピトル・スタジオ(#5, #8)[2] 2004年4月27日-28日 カリフォルニア州バーバンク オー・ヘンリー・サウンド・スタジオ(#2, #4, #7, #10, #11)[2] 2004年6月12日 カリフォルニア州ウッドランド・ヒルズ シヴァーニー・スタジオ(#6)[2] | |||
ジャンル | ジャズ、スピリチュアル・ジャズ | |||
時間 | ||||
レーベル | インパルス!レコード | |||
プロデュース | ラヴィ・コルトレーン | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
アリス・コルトレーン アルバム 年表 | ||||
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背景
編集1980年代以降のコルトレーンの録音活動は、自主制作カセット・テープのリリースのみにとどまっていたが[5]、本作は自身26年ぶりの公式なアルバムとして発表された[6]。息子のラヴィ・コルトレーンがプロデューサーを務め、サクソフォーンやパーカッションの演奏にも貢献したのに加えて、ラヴィの弟オランもレコーディングに参加した[6]。なお、コルトレーンはハープ奏者としても知られているが、本作ではハープを弾いていない[7]。
収録曲「シータ・ラム」は、1971年のアルバム『ユニヴァーサル・コンシャスネス』にも収録されていた曲の再演である[6]。「Satya Sai Isha」には、コルトレーンが創設した「Vedantic Center」の生徒がチャントで参加しているが[7]、この曲は日本盤CDでは外され、代わりに亡夫ジョン・コルトレーンのカヴァー「至上の愛-パート1 承認」が収録された。
反響・評価
編集アメリカの『ビルボード』ではジャズ・アルバム・チャートで10位に達し、カルロス・サンタナと連名の『啓示』(1974年)以来30年ぶりにチャート入りを果たした[8]。
ジョン・ケルマンはAll About Jazzにおいて5点満点中4点を付け「音楽が持つ癒しの力を、誠実かつ謙虚に実演しており、ことさらに知性を強調するのでなく、心に直接響いてくる」と評している[9]。Thom Jurekはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「コルトレーンのカタログの中でも特に入門編となり得る作品」と評している[6]。また、『CDジャーナル』のミニ・レビューでは「愛息ラヴィのプロデュースは70年代の雰囲気を回帰させた精神性の強いものとなっている」と評されている[1]。
収録曲
編集特記なき楽曲はアリス・コルトレーン作。
- シータ・ラム - "Sita Ram" (Traditional) - 6:08
- ウォーク・ウィズ・ミー - "Walk with Me" (Traditional) - 7:50
- トランスリニア・ライト - "Translinear Light" - 9:50
- ジャガディシュワル - "Jagadishwar" - 5:47
- ディス・トレイン - "This Train" (Traditional) - 6:06
- 賛美歌 - "The Hymn" - 3:04
- ブルー・ナイル - "Blue Nile" - 8:05
- クレッセント - "Crescent" (John Coltrane) - 6:22
- レオ - "Leo" (J. Coltrane) - 9:40
- トリロカ - "Triloka" - 5:11
アメリカ盤/ヨーロッパ盤ボーナス・トラック
編集- "Satya Sai Isha" (Traditional) - 5:40
日本盤ボーナス・トラック
編集- 至上の愛-パート1 承認 - "Part I: Acknowledgement (From a Love Supreme)" (J. Coltrane) - 9:26
参加ミュージシャン
編集- アリス・コルトレーン - ウーリッツァー・オルガン(on #1, #5, #9, #11)、ピアノ(on #2, #3, #7, #8, #10)、シンセサイザー(on #4, #6)
- ラヴィ・コルトレーン - パーカッション(on #1, #3)、ソプラノ・サクソフォーン(on #3)、テナー・サクソフォーン(on #4, #7, #8, #9)、スレイベル(on #9)
- オラン・コルトレーン - アルト・サクソフォーン(on #6)
- ジェームス・ジーナス - ベース(on #2, #4, #7)
- チャーリー・ヘイデン - ベース(on #3, #5, #8, #10)
- ジェフ・テイン・ワッツ - ドラムス(on #2, #4, #7)
- ジャック・ディジョネット - ドラムス(on #3, #5, #8, #9)、シンセ・ドラム(on #1)
- The Sai Anantam Ashram Singers - チャント(on "Satya Sai Isha")
脚注
編集- ^ a b “アリス・コルトレーン/トランスリニア・ライト (廃盤)”. CDJournal. 音楽出版社. 2023年3月2日閲覧。
- ^ a b c d CD英文ブックレット内クレジット
- ^ 日本初回盤CD (UCCI-1010)帯
- ^ “ジョン・コルトレーンの妻、アリス・コルトレーンが死去”. CDJournal. 音楽出版社 (2007年1月15日). 2023年3月2日閲覧。
- ^ Jurek, Thom. “Alice Coltrane Biography, Songs, & Albums”. AllMusic. 2023年3月2日閲覧。
- ^ a b c d Jurek, Thom. “Alice Coltrane - Translinear Light Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2023年3月2日閲覧。
- ^ a b CD英文ライナーノーツ(Bill Milkowski)
- ^ “Alice Coltrane - Awards”. AllMusic. 2016年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月2日閲覧。
- ^ Kelman, John (2004年11月2日). “Alice Coltrane: Translinear Light album review”. All About Jazz. 2023年3月2日閲覧。
外部リンク
編集- トランスリニア・ライト - Discogs (発売一覧)