トスク方言
アルバニア語の方言グループ。南部に分布
トスク(アルバニア語: toskërishtja)、あるいはトスク方言(トスクほうげん)は、アルバニア語の方言のひとつでトスク人 と呼ばれる人々の言語。アルバニア語の方言はアルバニア中部を流れるシュクンビン川を境に、大きく南部のトスク方言とゲグ方言に分かれる。トスク方言を基盤に標準アルバニア語が発達した。
トスク | |
---|---|
toskërishtja | |
話される国 | アルバニア、イタリア、ギリシャ、コソヴォ、トルコ、マケドニア共和国 |
創案時期 | 2011年国勢調査 |
地域 | 東ヨーロッパ |
話者数 | 3,108,200人/1.8 百万人 |
言語系統 | |
初期形式 | |
方言 |
Northern Tosk(北トスク語)
Southern Tosk(南トスク語)
|
表記体系 | アルバニア翻字、旧称エルバサン翻字 |
言語コード | |
ISO 639-3 |
als |
Glottolog |
alba1268 [2]tosk1239 [3] |
Linguasphere |
55-AAA-aca から 55-AAA-ace まで |
トスク語を話す主要な集団はミゼカル人(ミゼケ)、ラブ (ラベリア)、チャム(Çamëria)、アルヴァニテス(ギリシャ)、アルベレシュ(イタリア)およびマンドリツァ(ブルガリア先住民)を含む。北マケドニアの話者は1980年代初頭におよそ3000人を数えた[4]。
特徴
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- R音の音変化:アルバニア祖語で *-n- は -r- になる(例:「砂」はrëra)
- トスク方言の mb、ngj、nd のグループは、ゲグ方言の m、nj、n に同化[5]。
- アルバニア祖語の ō は va になる。
- 鼻母音:鼻母音がない(例:「目」はsy)。後期アルバニア祖語の *â に鼻音を加えると ë になる
- 例:数字の「9」はnëntë。
- e 母音:e 音は ë 音になる。単語の変種が重なると、qen はヴョセ地方で qën になる。
- ë 母音:ë は方言によって発音が異なる。トスク方言の多くは末尾の -ë を省略して直前の母音を長く伸ばす。ラベリシュト方言でVunoi(Vuno)村のある「Vlorës 地方」などの ë はより後置される。
- 「子馬」のmëz は [mʌz] に変化)。
- y 母音:アアルヴァニティック語、アルベレシュ 、ラベリシュト語、チャム語 では、しばしば「y」母音を「i」音にする。
- 例:数字の「2」を指すdy はdi になる。
- Dh と Ll:これらの音は、一部の単語や変種で入れ替わることがある。
- H:この文字は一部の方言で位置に関わらず消えて発音しない。
- Gl / Kl:q と gj の代わりに kl と gl を保つのは、チャム語、アルベレシュ語、アルヴァニティカ語の一部の変種。
- 「舌」のgjuhë はチャム語で gluhë、シキュロ・アルベレシュ語で gluhë、アルヴァニティカ語で gljuhë。
- qumësht :アルベレシュ語では「ミルク」は klumësh。
- Rr: 一部の変種では Rr が r になる。
トスク人
編集「トスク」という単語は、トスク方言を話すアルバニア人のことをも示す。この人々は主にアルバニア南部に住み、さらにその下位にはミュゼチェのミュゼチャル人(Myzeqe・Myzeqar)や、チャメリアに住むラベリア のラブ人(Lab)などがある。イタリアのアルベルシュ(Arbëreshë)やギリシャのアルヴァニテス( Arvanitët、ギリシア語: Αρβανίτες / Arvanites)と呼ばれる人々はトスク人の子孫であり、ブルガリアのイヴァイロヴグラト村(マンドリツァ)を築いた住民もトスク人で、村民およそ70名(2006年時点)の一部はトスク系の方言を話す。
「トスク」の語の最も狭義の用法として、ヴョセ(Vjosë )の北、シュクンビン川の南にあたるトスケリア(フィエル州Toskëria)の人々のみを指す場合もある。それでいて「トスケリア」もまた「トスク」と同様に、トスク方言を話す地域全体を表す場合もある。その対義語として、ゲグ方言を話す地域はゲゲリア(Gegëria)と呼ばれる。
言語名別称
編集- トスク・アルバニア語
- Arnaut
- Shkip
- Shqip
- Shqiperë
- Skchip
- osk
- Zhgabe
方言
編集種別 | ローマ字翻字 | ISO |
---|---|---|
コルチャ方言 | Korca | als-kor |
チャメリア方言 | Camerija | als-cam |
アルバナシ方言 | Arbanasi | als-arb[9] |
スレム方言 | Srem | als-sre |
シルミア方言 | ||
ザダル方言 |
脚注
編集- ^ Hyllested, Adam; Joseph, Brian D. (2022). Olander, Thomas. ed. Albanian. Cambridge University Press. pp. 223-245 2024年6月25日閲覧。ISBN 978-1-108-49979-8
- ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Albanian-Tosk”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History
- ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Northern Tosk Albanian”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History
- ^ Fraenkel, Eran; Kramer, Christina Elizabeth (1993). Language Contact - Language Conflict. P. Lang. p. 36 . "Thus, for example, even the small numbers of Tosk Albanians of southern North Macedonia (only approximately 3,000 in the early 1980s) [例えばマケドニア共和国南部の少数民族トスク・アルバニア人(1980年代初頭に約3000人)ですら。]"ISBN 9780820416526
- ^ Orel, Vladimir E. (1998). Albanian etymological dictionary. Leiden: Brill. ISBN 9789004110243
- ^ Lloshi 1999, p. 277
- ^ Demiraj 2010, pp. 534
- ^ "Ethnic Groups of Europe: An Encyclopedia" Jeffrey E. Cole - 2011, Page 15
- ^ 表記は、北ゲグ語(Arbën, Arbëneshë, Arbënue)と南ゲグ語 (Arbër, Arbëreshë, Arbëror)で異なる[6][7][8]。
参考文献
編集主な執筆者の順。
- Demiraj, Bardhyl (2010). “Shqiptar-The generalization of this ethnic name in the XVIII century”. In Demiraj, Bardhyl. Wir sind die Deinen: Studien zur albanischen Sprache, Literatur und Kulturgeschichte, dem Gedenken an Martin Camaj (1925-1992) gewidmet [We are his people: Studies on the Albanian language, literature and cultural history, dedicated to the memory of Martin Camaj (1925-1992)]. Wiesbaden: Otto Harrassowitz Verlag. pp. 533-565 ISBN 9783447062213
- Lloshi, Xhevat (1999). “Albanian”. In Hinrichs, Uwe; Büttner, Uwe. Handbuch der Südosteuropa-Linguistik. Wiesbaden: Otto Harrassowitz Verlag. pp. 272-299 ISBN 9783447039390