デュマース
デュマース(古希: Δύμας, Dymās)は、ギリシア神話の人物である。長音を省略してデュマスとも表記される。主に、
- プリュギアの王
- アイギミオスの子
などが知られている。以下に説明する。
プリュギアの王
編集このデュマースは、プリュギアの王である。系譜についてははっきりせず、一説によるとエーイオネウスの子で、海神プローテウスの孫にあたるといい[1][2]、また別の説によるとテュロスの王アゲーノールの子ポイニクスの子孫であり、ヘレネーとは遠く離れた同族であるという[3]。
河神サンガリオスの娘エウノエー[4]あるいはエウアゴラーと結婚し[1]、ヘカベー[5][6][7][8][9][10][3][11]、アシオス[12][11]、メゲース[13]、オトレウスをもうけた[14]。
子供たちのうちヘカベーはトロイア王プリアモスと結婚して多くの子供たちの母となった。ただし、ヘカベーはキッセウスの娘とも[15][6][8][9][10]、河神サンガリオスとメトーペーの娘とも言われる[6]。アシオス[11]およびメゲースの子供たちはトロイア戦争の際にプリュギア勢を率いて戦った[16]。オトレウスはトロイア戦争以前にプリアモスを救援してアマゾーン族と戦った[14]。
アイギミオスの子
編集このデュマースは、ドーリス人の王アイギミオスの子で[17][18][19]、パムピューロスと兄弟である[17][18]。ヘーラクレイダイの味方をして彼らの帰還を助けたが、オレステースの子ティーサメノスとの戦争でパムピューロスとともに戦死した[18]。
その他の人物
編集脚注
編集- ^ a b エウリーピデース『ヘカベー』3行への古註。
- ^ レーロスのペレキューデース断片、136。
- ^ a b クレタのディクテュス、1巻9。
- ^ 『イーリアス』16巻718行への古註。
- ^ 『イーリアス』16巻715行。
- ^ a b c アポロドーロス、3巻12・5。
- ^ ヒュギーヌス、91話。
- ^ a b ヒュギーヌス、111話。
- ^ a b ヒュギーヌス、243話。
- ^ a b ヒュギーヌス、249話。
- ^ a b c クレタのディクテュス、4巻12。
- ^ 『イーリアス』16巻717行。
- ^ スミュルナのクイントゥス、7巻606行。
- ^ a b 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.88a。
- ^ エウリーピデース『ヘカベー』3行。
- ^ スミュルナのクイントゥス、7巻606行以下。
- ^ a b ヘーシオドス断片、10。
- ^ a b c アポロドーロス、2巻8・3。
- ^ パウサニアース、7巻17・6。
- ^ ウァレリウス・フラックス、4巻160行。
- ^ ウァレリウス・フラックス、4巻187行。
- ^ スタティウス『テーバイド』6巻559行。
- ^ スタティウス『テーバイド』10巻348行。
- ^ スタティウス『テーバイド』10巻435行。
- ^ スミュルナのクイントゥス、8巻303行。
- ^ 『アエネーイス』2巻340行-429行。
- ^ 『オデュッセイアー』6巻22行。
- ^ 『オデュッセイアー』6巻23行。
参考文献
編集- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- ウェルギリウス『アエネーイス』岡道男・高橋宏幸訳、京都大学学術出版会(2001年)
- 『オデュッセイア / アルゴナウティカ』松平千秋・岡道男訳、講談社(1982年)
- 『ギリシア悲劇III エウリピデス(上)』ちくま文庫(1986年)
- クイントゥス『ギリシア戦記』松田治訳、講談社学術文庫(2000年)
- 『ディクテュスとダーレスのトロイア戦争物語 トロイア叢書1』岡三郎訳、国文社(2001年)
- パウサニアス『ギリシア記』飯尾都人訳、龍渓書舎(1991年)
- ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照男訳、講談社学術文庫(2005年)
- 『ヘシオドス 全作品』中務哲郎訳、京都大学学術出版会(2013年)
- ホメロス『イリアス(下)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)
- ホメロス『オデュッセイア(上)』松平千秋訳、岩波文庫(1994年)
- 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店(1960年)