Microsoft Windowsにおけるデフラグ(英語での名称はDisk Defragmenter)は、主としてファイルシステムデフラグメンテーションする(発生しているフラグメンテーションを解消する)ユーティリティプログラムである。Windows 10からはドライブのデフラグと最適化(英語での名称はMicrosoft Drive Optimizer)という名称に変更された。

デフラグ
Microsoft Windows コンポーネント
詳細
種別 デフラグメンテーションツール
標準提供 Windows 95, 98, Me
Windows 2000 以降

仕様

編集

MS-DOS, Windows 9x

編集

MS-DOS 6.xおよびWindows 9x系ではノートン ユーティリティーズ Speed Diskの簡易版が収録されている。

Windows 98ではIntel Application Launch Accelerator技術が搭載された。これは頻繁に起動されるアプリケーションが読み込むファイルをディスクの読み取り(シーク)が速い部分に配置し、アプリケーションの起動を高速化する機能で、特にFAT32のファイルシステムで効果が発揮される[1][2]

Windows NT

編集

内部的にはWindows NT 4.0からデフラグメンテーションに必要なAPIが実装されたが[3]、ユーティリティプログラムは付属しない。当時はデフラグメンテーションを行う無料のソフトウェアが存在しなかったため、ノートン ユーティリティーズやDiskeeperなどのソフトウェア製品を購入する必要があった[4]

Windows 2000, XP, Server 2003

編集

Windows 2000からDiskeeperの開発元であるExecutive Software International(当時)が開発したツールが収録されている。これはDiskeeperの簡易版でマイクロソフト側の微調整が施されており、Windows 2000, XP, Server 2003には次のような制限[5]がある。

  • ページファイルとハイバネートファイルはデフラグメントされない。
  • 一度に一つのローカル ボリュームのみしか分析・最適化を実行できない。
  • コンソール版またはGUI版を複数同時に実行できない。
  • スケジュールをすることができない。(但し、コマンドスクリプトを作成し、そのスクリプトをタスクに登録すればスケジューリング可能。)

Windows 2000のディスク デフラグ ツールのみ、以下の制約がある。

  • 4 KiBを超えるクラスタサイズでフォーマットされたNTFSボリュームをデフラグメントできない。
  • NTFSメタデータ (MFT) をデフラグメントできない。
  • NTFSのEncrypting File Systemで暗号化されたファイルをデフラグメントできない。
  • 未圧縮のNTFSファイルデータの小規模な移動ができない。

Windows Vista, Server 2008, 7

編集

Windows Vista からマイクロソフトの Core File Services チーム製のツールが収録されている。Windows Vista, Server 2008, 7のディスク デフラグ ツールの仕様[6]は、次のようなものがある。

  • GUIは、Windows 2000, XP, Server 2003のMicrosoft 管理コンソール スナップインによるものではなく、専用のアプリケーションによって提供される。GUI版には、詳細な分析結果を表示する機能がない。
  • NTFSボリューム上にある64MB以上の断片化は、コンソール版で-wを指定しない限り断片化の統計に含まれず、最適化されない。
  • Windows 7で対象のボリュームがSSDとして検出された時を除いて、自動実行される。
  • メタデータをデフラグメントできる。シャドウ コピーに対応する。
  • 優先度が低い設定で実行する。
  • マウントされていない隠し属性のパーティションをデフラグメントできる[7]

Core File Services チームは、多くのユーザーがWindows XPのディスク デフラグ ツール分析結果で表示される統計の意味が分からないと答えたことや、処理の進捗を予測するのが困難なことから進捗のパーセント表示には意味がないため、ユーザインターフェースを簡略化したと回答した。また、コンソール版では断片化の状況が詳しく表示されることを補足した[8]

Windows 8, 8.1, 10

編集
  • SSD・フラッシュストレージに対しTRIMが実行される。(これはデフラグメンテーションではなく、フラッシュストレージをより効率良く利用するための操作である。)
  • シン・プロビジョニング ストレージ(記憶域プール、マウントしたVHD/VHDXファイル、Hyper-Vの仮想マシンに接続されたVHD/VHDXファイルを含む)に対してスラブ統合[9]とTRIMが実行される。
  • 「ドライブのデフラグと最適化」に改称
  • ドライブ一覧に隠し属性のパーティションを表示する「詳細ビュー」チェックボックスが追加された (Windows 10 ビルド 20270)[10]

脚註

編集
  1. ^ 山田, 祥平「緊急レポート:これがウィンドウズ98だ!」(PDF)『インターネットマガジン』第5巻第4号、インプレスR&D、1998年、225頁、2023年2月9日閲覧 
  2. ^ 小西「Windows 98は本当に速くなったのか?」『ASCII』第22巻第8号、1998年、238-239頁、ISSN 0386-5428 
  3. ^ Russinovich, Mark. “Inside Windows NT Disk Defragmenting”. www.digiater.nl. 2023年2月7日閲覧。
  4. ^ 伊勢, 雅英 (1999年12月8日). “徹底レビュー!! Windows 2000 Professional:信頼性の高いシステムアーキテクチャ”. www.itmedia.co.jp. ITmedia. 2023年2月9日閲覧。
  5. ^ Microsoft サポート オンライン (2005年10月19日). “Windows 2000、Windows XP、および Windows Server 2003 のディスク デフラグの制限”. マイクロソフト. 2008年9月2日閲覧。
  6. ^ マイクロソフト サポート オンライン (2011年7月9日). “Windows Vista のハード ディスク デフラグ ツールの機能”. マイクロソフト. 2011年8月4日閲覧。
  7. ^ マイクロソフト サポート オンライン (2008年5月9日). “Windows のディスク デフラグ ツールで 隠し属性のパーティションが表示される”. マイクロソフト. 2011年8月4日閲覧。
  8. ^ The Filing Cabinet : Disk Defragmenter FAQ”. Windows Core File Services team blog (2006年7月10日). 2007年2月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月10日閲覧。
  9. ^ Windows Server 2012 以降でのデフラグ処理とスラブ統合の動作について”. Ask CORE. Microsoft. 2018年8月27日閲覧。
  10. ^ Blog, Windows Insider (2020年12月3日). “Announcing Windows 10 Insider Preview Build 20270” (英語). Windows Insider Blog. 2023年2月12日閲覧。