デスモスチルス
デスモスチルス(Desmostylus)は、中新世中期から後期にかけて生息した半海棲の哺乳類。束柱目・デスモスチルス科。
デスモスチルス | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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デスモスチルス復元想像図
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地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
中新世 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Desmostylus | |||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
特徴
編集その歯の特徴から、ギリシア語で「束ねられた[3]柱[4]」 を意味する学名が与えられた。束柱目の名もここからきている。かつては束歯獣とも呼ばれた。目の名の元となった生物であるが、進化過程としては最後期に現れた属である。
体長約1.80m、体重は約200kgと推定される。ずんぐりとした体躯と頑丈な四肢を持っており、頭部はやや細長く、上部に鼻孔、眼、耳が並ぶ。その姿はカバに似ており、同様に半水棲であったと考えられる。ただし、四肢はやや外に張り出している上、前腕の尺骨と橈骨が癒合して前肢端の向きを変える事が出来ないなど、陸上での動きは鈍重であったと思われる。
歯は上顎切歯の一対、下顎犬歯が牙状に飛び出している。また頬歯は、象牙質の芯をエナメル質が取り巻いた円柱が幾つも束になった独特の形状をしている(上記の学名の由来)。この歯はゾウや海牛類と同様水平交換方式であった。
主に海岸や浅海で暮らす、半水棲動物と思われている。2013年4月3日のプロスワンにて、大阪市立自然史博物館のチームが束柱類数属の骨密度を計測、デスモスチルスの骨の密度が低くスポンジ構造が著しいことを突き止め、束柱類はより海に適応した動物群で、特にデスモスチルスは(骨密度の高い)近縁種のパレオパラドキシア(Paleoparadoxia)等よりも遊泳生活に適応した生活をしていたとの説を発表している[5]。
分布
編集日本から北アメリカ大陸西岸までの太平洋沿岸に生息していた。当初は歯の化石のみであったが、岐阜県瑞浪市で最初の頭骨化石が発見され、後に樺太から全身骨格が発見されている(全身骨格発掘は当時北海道帝国大学教授の長尾巧が担当)。
関連項目
編集- パレオパラドキシア Paleoparadoxia - 同じ束柱目に属する。デスモスチルスとの相違点は、歯のエナメル質が薄く、切歯が扁平である事、吻部がやや短い事などである。
- イマゴタリア Imagotaria - 同時代の北太平洋に生息したセイウチ。
- ベヘモトプス Behemotops - 同科異属、デスモスチルスが中新世に生息していたのに対し、より古い漸新世後期に生息した。
- 絶滅した動物一覧
脚注
編集- ^ 大森昌衛 (2007). “地学者列伝 徳永重康 -動物学科に籍を置き地質学を専攻した異彩の研究者-”. 地球科學 61: 73-75. ISSN 0366-6611. NAID 110006163709.
- ^ 国立科学博物館 デスモスチルス
- ^ δεσμός(desmos)(→束ねられた)
- ^ στῦλος(stulos)(→柱)
- ^ Hayashi S, Houssaye A, Nakajima Y, Chiba K, Ando T, et al. (2013). “Article Source:Bone Inner Structure Suggests Increasing Aquatic Adaptations in Desmostylia (Mammalia, Afrotheria)”. PLoS ONE 8 (4): e59146. doi:10.1371/journal.pone.0059146.
外部リンク
編集- 川崎悟司イラスト集・デスモスチルス - ウェイバックマシン(2005年1月21日アーカイブ分)
- 富山市の博物館に展示されている実物大復元模型
- 地質標本館(茨城県つくば市)-デスモスチルス全身骨格(レプリカ)が展示されている。
参考文献
編集- 富田幸光 文、伊藤丙雄、岡本泰子イラスト 『絶滅哺乳類図鑑』 丸善、2002年、ISBN 4-621-04943-7。
- 今泉忠明 『絶滅巨大獣の百科』 データハウス、1995年、ISBN 4-88718-315-1。