テュネス
この記事は現役競走馬を扱っています。 |
テュネス(Tunnes、2019年4月4日 - )は、ドイツの競走馬。主な勝ち鞍は2022年のバイエルン大賞、独セントレジャー、2021年のラティボール公爵賞。
テュネス | ||||||||||||
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品種 | サラブレッド[1] | |||||||||||
性別 | 牡[1] | |||||||||||
毛色 | 栗毛[1] | |||||||||||
生誕 | 2019年4月4日(5歳)[1] | |||||||||||
父 | Guiliani[2] | |||||||||||
母 | Tijuana[2] | |||||||||||
母の父 | Toylsome[2] | |||||||||||
生国 | ドイツ | |||||||||||
生産者 | Paul H. Vandeberg[2] | |||||||||||
馬主 | Holger Renz[2] | |||||||||||
調教師 | Peter Schiergen[2] | |||||||||||
競走成績 | ||||||||||||
生涯成績 | 7戦5勝 | |||||||||||
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戦績
編集デビュ―前
編集2019年4月4日、P・H・ヴァンデバーグによって生産される[1][2]。父は現役時2015年バイエルンツフトレネンを勝ったミスタープロスペクター系のジュリアーニ[3]。母は現役時ドイツで4戦未勝利のティファナ[3]。本馬は母の第4仔に当たり、その2歳上の半兄には2021年の凱旋門賞を優勝することになるトルカータータッソがいる[3]。本馬の父方と母方で3×3のインブリードが成立しているターバインは、現役時凱旋門賞を勝ちその後シーザスターズやガリレオを生産したアーバンシー、および、現役時英2000ギニーを勝った種牡馬キングズベストの半姉妹である[3][4]。
2020年9月、トルカータータッソと同様のティファナヒルシャゲ(Tijuan Hilleshage)という名でBBAGセプテンバー・イヤリング・セールのオークションに上場され、ケルン出身の起業家ホルガー・レンツによって3万8000ユーロ[注 1]で落札された[3][5][6]。ホルガーの妻であるアレクサンドラによれば、この時、同氏は2万ユーロの時点で本馬の入札を諦めた[7]。しかし、その後のホルガーの身振り手振りが競売人を誤解させたことで、その入札が続行されてしまい、最終的に同氏が本馬を落札する結果になったのだという[7]。故郷にちなむ競走馬への命名を好む同氏は、本馬に対してケルン・ヘンネスヒェン劇場の登場人物などとして知られる「テュネスとシェール」にちなんでテュネス(Tünnes、非ドイツ語圏ではTunnes)という命名を行った[5][8]。2歳シーズンの初め頃、本馬はペーター・シールゲン厩舎のもとに預託された[7]。
2歳時(2021年)
編集2021年9月26日のケルン競馬場の2歳未勝利戦(芝1600メートル)で、今後の主戦となるバウイルザン・ムルザバエフ騎手を背にデビューし、7頭立ての競走では3番手あたりから前を追ったが、勝ったラルサックとの差を縮められずに2馬身1/2差の2着[3]。それから中1週で10月10日のケルン競馬場の2歳未勝利戦(芝1850メートル)に出走[9][3]。競走では先頭に立つとそのまま最後まで逃げ切り、後続に3馬身差をつけて初勝利を挙げた[3][10]。
映像外部リンク | |
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2021年ヘルツォークフォンラティボルレネン Deutscher Galopp |
続いて11月14日のヘルツォークフォンラティボルレネン(G3、芝1700メートル)に出走し、単勝2.5倍の1番人気に支持された[3][11]。競走では行きたがるところも見せながら2番手から競馬を進め、直線に入ってから逃げていたアリオロと叩き合いとなり、暫く続いたが最後は短アタマ差で制してグループ競走初制覇を果たした[3][11]。自身が達成したこの勝利と、兄のトルカータータッソが凱旋門賞を制したことで高まった付加価値によって、本馬は翌年ドイチェスダービーの有力候補となった[3][12]。
3歳時(2022年)
編集冬の間、2022年7月3日施行のドイチェスダービー1番人気に推されていたテュネスは、大きな怪我を負ったことで、9か月の休養を余儀なくされた[12][13]。なお、同年のドイチェスダービーはシールゲン厩舎の僚馬サンマルコが優勝している[注 2][12][14]。その後、8月31日バーデンバーデン競馬場の3歳条件戦(芝2400メートル)で復帰し、60キログラムの斤量を負いながら後続に6馬身差を付けて勝利[3][12]。続いて9月18日のドイチェスセントレジャー(G3、芝2800メートル)に1番人気で出走。先頭で直線に入ると、楽な手応えのまま後続との差を広げ、最後は流す余裕をもって8馬身差で圧勝した[15]。3着には、前年のアルピニスタに対する2着および3着がある僚馬ネリウムが入った[3]。この時点で陣営は、日本のジャパンカップ参戦を視野に入れた[注 3][3]。
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2022年バイエルン大賞 Hamburger Renn-Club |
その後は11月6日のバイエルン大賞(G1、芝2400メートル)に出走、メンドシーノが取り消した5頭立てのなか、単勝1.8倍の圧倒的な1番人気に支持された[16]。不良馬場となった競走では、馬なりで先頭に立って後続を牽引[3]。そのままの隊列で直線に入ると後続との差を広げていき、最後は2着馬ウェルディスポーズドに10馬身差を付ける圧勝でG1初制覇を果たした[17]。1972年ドイツにグループ制が導入されて以降、同国のG1競走史上でガイヤース(14馬身)、オロフィノ(12馬身3/4)、シーザムーン(11馬身)が達成した勝利に続く大差を付ける内容であった[8]。また、これ以前のテュネスのGAGは97キログラムであり、サンマルコ(97.5キログラム[18])の評価を上回っていなかったが、同競走の圧勝が評価された結果、本馬のGAGは国際的なレーティング120に相当する100キログラムまで上積みされた[8]。
地元で重賞3連勝およびG1競走初制覇を達成したテュネスは、続いて11月27日の東京競馬場で施行される第42回ジャパンカップ(GI、芝2400メートル)に出走することになった[19][20]。ドイツの厩舎から約18時間の輸送を経て11月18日の18時9分に来日し、同日の21時55分には東京競馬場へと到着した[注 4][22]。なお、引き続き手綱を取る主戦のムルザバエフは、これによる遠征が日本での初騎乗となった[3]。7番人気の支持を受けた競走では、枠入り不良を起こして発走時刻を4分遅延[注 5][23]。発走すると、十分に出足をつけることができず、最終的に勝ち馬ヴェラアズールの9着に敗れた[24]。これによって、本馬は9万2308ユーロ相当の賞金を獲得した[24]。競走後、シールゲンは「何より重要なことは、彼が無事に完走したことだ。おかげで、来年に向けた優秀な馬を手にすることができたわけだ」と語った[24]。
競走成績
編集以下の内容は、Deutscher Galopp[25]、JRA-VAN ver.World[9]、JBISサーチ[26]の情報に基づく。
出走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 頭数 | オッズ(人気) | 着順 | 騎手 | 斤量 | 距離(馬場) | タイム | 着差 | 1着(2着)馬 |
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2021. 9.26 | ケルン | 条件戦 | 7 | 3.5(2人) | 2着 | B.ムルザバエフ | 57.0 | 芝1600m(良) | - | 2馬身1/2 | Larzak | |
10.10 | ケルン | 条件戦 | 5 | 1.8(1人) | 1着 | B.ムルザバエフ | 58.0 | 芝1850m(稍) | 1:57.83 | 3馬身 | (Antinanco) | |
11.14 | クレフェルト | ラティボール公爵賞 | G3 | 6 | 2.5(1人) | 1着 | B.ムルザバエフ | 58.0 | 芝1700m(重) | 1:50.55 | 短アタマ | (Ariolo) |
2022. 8.31 | バーデンバーデン | 条件戦 | 9 | 1.9(1人) | 1着 | B.ムルザバエフ | 60.0 | 芝2400m(重) | 2:35.85 | 6馬身 | (Lobelie) | |
9.18 | ドルトムント | 独セントレジャー | G3 | 11 | 2.3(1人) | 1着 | B.ムルザバエフ | 56.5 | 芝2800m(重) | 3:06.21 | 8馬身 | (Sir Filip) |
11. 6 | ミュンヘン | バイエルン大賞 | G1 | 5 | 1.8(1人) | 1着 | B.ムルザバエフ | 58.0 | 芝2400m(不) | 2:44.33 | 10馬身 | (Well Disposed) |
11.27 | 東京 | ジャパンC | GI | 18 | 25.5(7人) | 9着 | B.ムルザバエフ | 55.0 | 芝2400m(良) | 2:24.7 | 6馬身3/4 | ヴェラアズール |
血統表
編集テュネスの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | ミスタープロスペクター系 |
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父 Guiliani IRE 青鹿毛 |
父の父 TertullianUSA 栗毛 |
Miswaki | Mr. Prospector | |
Hopespringseternal | ||||
Turbaine | Trempolino | |||
Allegretta | ||||
父の母 GuadalupeGER 青鹿毛 |
Monsun | Konigsstuhl | ||
Mosella | ||||
Guernica | Unfuwain | |||
Greenvera | ||||
母 Tijuana GER 栗毛 2011 |
Toylsome GB 栗毛 1999 |
Cadeaux Genereux | Young Generation | |
Smarten Up | ||||
Treasure Trove | The Minstrel | |||
River Jig | ||||
母の母 TucanaGER 栗毛 1999 |
Acatenango | Surumu | ||
Aggravate | ||||
Turbaine | Trempolino | |||
Allegretta | ||||
母系(F-No.) | Arabis(FN:9-h) | |||
5代内の近親交配 | Turbaine 3x3,Sharpen Up 5x5x5,Surumu 5x4,Northern Dancer 5x5 | [§ 2] | ||
出典 |
脚注
編集注釈
編集- ^ この落札額は、兄のトルカータータッソよりも1万4000ユーロ分高い[3]。
- ^ これについて、テュネスのジャパンカップ出走を控えた2022年10月時点でのシールゲンは、テュネスが「ダービーに出られなかったことは私たちにとって幸運だったかもしれません。テュネスがサンマルコに能力で劣っているということはないからです」と述べている[14]。
- ^ これまでにシールゲン厩舎の管理馬は、1999年のタイガーヒル(10着)、2011年のデインドリーム(6着)、2015年および2016年のナイトフラワー(それぞれ11着、12着)と、ジャパンカップに計4回出走している[3]。
- ^ ジャパンカップには、本馬のほかに非日本調教馬として3頭のフランス調教馬(グランドグローリー、オネスト、シムカミル)が出走[21]。ドイツ調教馬のテュネスは、この3頭と別便で来日したため、検疫の関係で1頭だけ時間をずらして調整されることになった[21]。なお、この来日にあたって、シールゲンの下で見習いをしているドイツの日本人騎手である寺地秀一が本馬に帯同した[21]。
- ^ 競走後、発走調教再審査を課せられた[23]。
出典
編集- ^ a b c d e “Tunnes(GER)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年11月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g “Tunnes | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年11月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r “テュネス(TUNNES)= ドイツ”. 日本中央競馬会. 2022年11月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月19日閲覧。
- ^ “繁殖牝馬情報:牝系情報|Allegretta(GB)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年11月19日閲覧。
- ^ a b “Tünnes triumphiert im RaceBets – 138. Deutsches St. Leger” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. Deutscher Galopp. 2022年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月15日閲覧。
- ^ Göntzsche, Klaus. “Das Wunder um Torquator Tasso” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. Deutscher Galopp. 2022年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月15日閲覧。
- ^ a b c Stevens, Martin. “Remarkable tale of the owner who bought a Group 1 winner for €38,000 by accident”. www.racingpost.com. Racing Post. 2022年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
- ^ a b c Siemen, Harald. “Tünnes jetzt in der Eliteklasse” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. Deutscher Galopp. 2022年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月15日閲覧。
- ^ a b “テュネス(Tunnes) | 競馬データベース”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月7日閲覧。
- ^ “Kölner Hengst Sea Bay der neue Winterfavorit!” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. Deutscher Galopp. 2022年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月15日閲覧。
- ^ a b “凱旋門賞馬トルカータータッソの半弟、独2歳G3を競り勝ち”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月7日閲覧。
- ^ a b c d “Großer Allianz-Preis von Bayern: Große Gala-Show von Tünnes” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. Deutscher Galopp. 2022年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月15日閲覧。
- ^ “Düsseldorf-Sieger Nerik ist Peter Schiergens nächster Trumpf für das IDEE 153. Deutsches Derby in Hamburg” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. Deutscher Galopp. 2022年11月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月15日閲覧。
- ^ a b “【ジャパンC】シールゲン師が激白したテュネスの可能性「もし独ダービーに出ていたら」”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月23日閲覧。
- ^ “独セントレジャー、テュネスが8馬身差の圧勝”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月7日閲覧。
- ^ “バイエルン大賞(G1) 2022/11/6(日) | 日程・結果”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月7日閲覧。
- ^ “トルカータータッソ半弟のテュネスが独G1バイエルン大賞圧勝、ジャパンCに予備登録済み”. JRA-VAN ver.World. 2022年11月7日閲覧。
- ^ “Sammarco (2019, IRE)” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. Deutscher Galopp. 2022年11月15日閲覧。
- ^ 『優駿』2022年12月号、15頁。
- ^ 『優駿』2022年12月号、17頁。
- ^ a b c 平松さとし. “ジャパンCに出走する外国勢との個人的な縁から綴るサイドストーリー的エピソード(平松さとし) - 個人”. Yahoo!ニュース. Yahoo!ニュース. 2022年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
- ^ “ジャパンカップ(GⅠ)外国馬情報 テュネスが来日 JRA”. jra.jp. 日本中央競馬会. 2022年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
- ^ a b “レース結果 2022年11月27日(日曜)5回東京8日 12レース”. www.jra.go.jp. 日本中央競馬会. 2022年11月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
- ^ a b c “Tünnes Neunter im Japan Cup” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. 222-11-28時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
- ^ “Tünnes (2019, GER)” (ドイツ語). www.deutscher-galopp.de. Deutscher Galopp. 2022年11月15日閲覧。
- ^ “競走成績:全競走成績|Tunnes(GER)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年11月28日閲覧。
- ^ a b “血統情報:5代血統表|Tunnes(GER)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年11月15日閲覧。
参考文献
編集- 『優駿』2022年12月号、中央競馬ピーアール・センター、2022年。
外部リンク
編集- 競走馬成績と情報 JBISサーチ、Racing Post