テックビューロ
テックビューロ株式会社は、プライベート・ブロックチェーン製品『mijin』や、NFTやFTを扱うマーケットプレイス『COMSA』など、暗号通貨技術とブロックチェーン技術に基づいたソフトウェアとサービスを開発し提供している[2][3]。
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
本社所在地 |
日本 〒550-0004 大阪府大阪市西区靱本町1丁目5番18号 ミフネ本町ビル10F |
設立 | 2014年6月16日 |
業種 | 情報・通信業 |
法人番号 | 1120001184556 |
事業内容 | 暗号通貨技術とブロックチェーン技術に基づいたソフトウェアとサービスを開発提供するクリプト・フィンテック・ラボ(Crypto-Fintech Lab.) |
代表者 | 朝山貴生 |
資本金 | 4億2058万2000円(2017年03月31日時点)[1] |
純利益 | ▲2億4971万8000円(2017年03月31日時点)[1] |
総資産 | 11億6401万4000円(2017年03月31日時点)[1] |
決算期 | 3月 |
主要株主 |
朝山 貴生 76.5% 日本テクノロジーベンチャーパートナーズCC投資事業組合 16.5% 朝山 道央 4.1% (2016年4月27日時点) |
外部リンク | https://techbureau.jp/ |
沿革
編集- 2014年6月16日 - 設立[4]。
- 2015年3月5日 - 仮想通貨取引所etwingsを買収し、Zaif Exchangeとしてサービス開始[5][6]。
- 2015年9月25日 - プライベートブロックチェーン構築用プラットフォーム「mijin」を発表[7]。
- 2017年8月3日 - 仮想通貨を利用した資金調達用ICOソリューションとして「COMSA」を発表する[8]。同年9月から11月にかけてCOMSAプラットフォームの内部通貨となるCMSトークンのクラウドセールを行い、約109億円を調達した[9]。
- 2018年2月9日 - コインチェックにおける仮想通貨流出事件を受け、テックビューロを含む複数の仮想通貨取引所が立入検査を受けるとの報道あり[10]。
- 2018年7月2日 - ソフトウェア開発・販売事業を分社化し、新会社テックビューロホールディングス株式会社に承継させた[11]。
- 2018年9月20日 - 仮想通貨67億円分が流出したと発表した[12]。翌日、流出した仮想通貨が当初の発表より約3億円分多い約70億円分だったと発表する[13]。
- 2018年9月20日 - テックビューロに対し、フィスコデジタルアセットグループが約50億円の金融支援と資本業務提携をすることで基本合意したことを発表[14]。
- 2018年11月22日 - フィスコ仮想通貨取引所 (現カイカエクスチェンジ) に暗号資産取引所である「Zaif」の事業譲渡を完了した[15]。
- 2019年8月22日 - 仮想通貨交換業の登録を返上することを発表。12月以降に交換業を廃業する予定[16]。
- 2020年5月20日 - COMSA事業を継続することを発表した[17]。
- 2021年9月1日 - テックビューロホールディングスを吸収合併した[18]。
- 2021年10月25日 - 新生COMSAのローンチとCMS:XYMトークンのエアドロップを実施する事を発表した[19]。
- 2022年1月26日 - NFTやFTを扱うマーケットプレイスである新しい「COMSA」を提供を開始することを発表した[20]。
- 2022年1月31日 - NFTやFTを扱うマーケットプレイス「COMSA」の提供を開始する[21]。
事業内容
編集mijin
編集mijin(ミジン[7])とは企業内もしくは企業間で利用するプライベートブロックチェーンであり、その開発や販売事業を行う[22][23]。NEMのコア開発者と合流してmijinを開発したことで、NEMと同じAPIを利用することができるようになり、NEMとの互換性を実現している[24]。また金融機関や認証システム、電子マネーといった幅広い分野で利用される事が想定され[22]、実際に金融機関のコストを90%削減すると同時にセキュリティを強化するように設計されている[25]。2018年5月14日には「mijin」のアップデート版として「mijin Catapult (v.2)」を一般公開し[26]、2019年6月12日には製品版を公開した。それにより、異なるブロックチェーン間でのトークン交換や複数トランザクションの一括処理が可能になり、また処理速度やスケーラビリティが向上した[27][28]。
mijinを使った実証実験
編集2015年12月、日本のSBI住信ネット銀行は、日本の大手研究グループであるNRIにNEMブロックチェーン技術Mijinのテストを依頼した。彼らは3ヶ月間に渡ってさまざまな取引を行い、1日に200万件を超える取引を行って2,500,000件の口座を実証テストした。ネットワークは、可用性とフォールトトレランスを測定してさらにストレステストに合格した[29]。
また、さくらインターネットはテックビューロと協力して、Mijinの6ヶ月の無料試用版を提供している[30]。
インフォテリアはテックビューロと協力してブロックチェーン接続アダプタ「mijinアダプタ」を開発し、ミャンマーのマイクロファイナンス機関「BC Finance」の融資・貯金の基幹システムの勘定データをエンタープライズソフトウェア「ASTERIA WARP」と「mijinアダプタ」を使ってMicrosoft Azure上に配置した「mijin」に移行する実証テストを実行し、成功をした[31][32]。
COMSA
編集COMSAとはNFT(非代替性トークン)やFT(代替可能トークン)を扱うマーケットプレイスであり、アセットのトークン化やトークンの取引、トークン保有を多くの人ができる事を目指す。発行できるトークンには、UNIQUEとBUNDLEがある。
- UNIQUE(ユニークNFT[33])
- 発行数が1のNFT[20]。オークション形式で売買を行う[34]。
- BUNDLE(バンドルNFT[33])
- 複数枚発行でき、1枚ごとにシリアルが付く[35]。非循環型NFT(Non Circulatable Fungible Token)と呼ばれる[35]。当初、「シリーズNFT」として発表され[36]、その後「NCFTβ版」として取り扱いを開始していた[37]。オーダーブック形式(板取引)で売買される[34][38]。
COMSAで発行されるNFTはすべてのデータをSymbolのブロックチェーン上に格納した「オールオンチェーンNFT」となる[37][39][40]。
マーケットプレイスでのアセット購入にはXYM、CMS:XYM、クレジットカード(UNIQUEはETHも可能)が使用され[38][41]、売り上げの受取はXYM、日本円から選ぶことができる[35][36]。
COMSAローンチまでの経緯
編集COMSAは当初、トークンの発行販売を用いた資金調達「ICO(=Initial Coin Offering)」と、各種ブロックチェーン技術の導入を同時に実施できる総合型のブロックチェーン・ソリューションとして初まった[42]。これは「COMSA CORE」と「COMSA HUB」の2つの製品からなりたつ。「COMSA CORE」はトークンの総量をコントロールするソフトウェアであり、「COMSA HUB」はmijinとパブリックブロックチェーンの間でトークンの残高をコントロールして価値の移転ができるソフトウェアである[43][44]。
2019年時点での日本国内におけるトークンの法的位置づけや自主規制の内容が定まっていない事や[45]、2020年5月1日に施行された改正資金決済法、及び改正金融商品取引法の内容から新規ICOプロジェクトが難しくなった事で、ブロックチェーン上のトークン発行支援をするビジネスモデルに変更した[17]。2022年1月26日にNFTやFTを扱うマーケットプレイスとして提供開始することを発表し[20]、日本時間の2022年1月31日から提供を開始した[21]。
提供していたサービス
編集- Zaif
- 仮想通貨取引所「Zaif」の運営[13]。
- 2017年9月29日に、改正資金決済法 第六十三条の二に規定される仮想通貨交換業者としての登録(近畿財務局長 登録番号00002号)を完了し、正式な仮想通貨交換業者としての営業を開始した[16]。また、女優である剛力彩芽がZaifのCMに出ていた事で話題になった[46]。2018年9月20日には仮想通貨67億円分が流出したと発表し[12]、11月22日にフィスコ仮想通貨取引所(現・株式会社カイカエクスチェンジ)に暗号資産取引所である「Zaif」の事業を譲渡した[15]。2019年8月22日に仮想通貨交換業者を廃業することを発表した。仮想通貨交換業者が登録を返上し、廃業するのは初のケースとなる[16]。
発行したトークン
編集ZAIFトークン
編集ZAIFトークンとは、2015年にZaifを運営していたテックビューロ社のブランディングを目的に発行されたトークン。COMSAのICOでは、COMSAトークンを購入する通貨に選ばれた。当初はカウンターパーティートークンとして発行されたが、ERC-20トークンへの移行およびZAIF:XYMのエアドロップを予定している[47]。
COMSAトークン
編集COMSAトークン(CMS)とは、COMSAプラットフォームの内部通貨であり、2017年にCOMSAプロジェクトのICOによる資金調達で販売された[9]。CMSトークンの購入において、ビットコイン、イーサリアム、XEM、Zaifトークンのいずれかの暗号通貨建てで支払う形で行われ、約9540万ドル(約109億円)を調達した。COMSAトークンは発行元となるブロックチェーンがイーサリアムとNEMとSymbolで発行されている。イーサリアムで発行されるトークンは「CMS:ETH」と呼ばれ、NEMで発行されているCMSトークンは「CMS:XEM」と呼ばれ、Symbolで発行されるCMSトークンは「CMS:XYM」と呼ばれる[48]。
ICOの時はイーサリアムとNEM上で発行されたが、その後「CMS:XEM」を保有している人に対して「CMS:XYM」がエアドロップされた[19]。
脚注
編集出典
編集- ^ a b c テックビューロ株式会社 第3期決算公告
- ^ “テックビューロ株式会社の会社情報と資金調達 | 日経テレコン”. www.nikkei.com. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “テックビューロホールディングス株式会社の会社情報と資金調達 | 日経テレコン”. www.nikkei.com. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “会社概要”. テックビューロ株式会社. 2023年5月22日閲覧。
- ^ テックビューロ株式会社 (2015年3月5日). “テックビューロ株式会社がNTVPより1億円の資金調達を実施し、手数料ゼロのビットコイン取引所『Zaif Exchange』を開設”. PR TIMES. 2023年5月22日閲覧。
- ^ ざきやま(山崎大輔) (2015年3月4日). “堀江貴文氏も応援するZaifがビットコイン・モナーコイン取引所をリリース”. bitbank MARKETS. ビットバンク株式会社. 2023年5月22日閲覧。
- ^ a b テックビューロ株式会社 (2015年9月25日). “フィンテックで2018年までに金融機関のインフラコスト1/10未満を目標に”. PR TIMES. 2023年5月22日閲覧。
- ^ テックビューロ株式会社 (2017年8月3日). “テックビューロが仮想通貨を使った資金調達用ICOソリューション『COMSA』を発表”. PR TIMES. 2023年5月22日閲覧。
- ^ a b FISCO (2017年12月1日). “日本初の大型ICO「COMSA」のトークンが12月4日上場【ICOレポート】”. REUTERS. 2023年5月22日閲覧。
- ^ “金融庁、2社への立ち入りに着手=仮想通貨取引所、順次対象を拡大”. 時事ドットコム. (2018年2月9日). オリジナルの2018年2月9日時点におけるアーカイブ。 2021年4月5日閲覧。
- ^ テックビューロ株式会社 (2018年7月2日). “ソフトウェア開発・販売事業の分社化に伴い、テックビューロ ホールディングス株式会社を設立”. PR TIMES. 2021年4月5日閲覧。
- ^ a b Zaif、不正アクセスでビットコインなど約70億円相当流出
- ^ a b 須藤龍也、山口博敬 (2018年9月22日). “Zaif、管理態勢に疑問”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 9
- ^ “Zaif救済「勝算がある」 金融支援、決断の背景”. 朝日新聞 (朝日新聞社). (2018年9月21日)
- ^ a b 株式会社フィスコ仮想通貨取引所への事業譲渡完了のお知らせ
- ^ a b c データを読む テックビューロ、仮想通貨交換業の登録業者では初の廃業へ 東京商工リサーチ 2019年8月22日
- ^ a b “テックビューロのCOMSAが新方針、次世代NEMやmijinなど活用の「トークン発行支援事業」について”. CoinPost|仮想通貨ビットコインニュース・投資情報. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “合併に関するお知らせ”. テックビューロ株式会社 (2021年9月1日). 2021年11月21日閲覧。
- ^ a b “テックビューロ、新生COMSAのサービス開始予定と「CMS:XYM」のエアドロップを発表”. CoinPost|仮想通貨ビットコインニュース・投資情報. 2021年10月30日閲覧。
- ^ a b c “テックビューロ、新「COMSA」ローンチを発表”. CoinPost|仮想通貨ビットコインニュース・投資情報. 2022年1月27日閲覧。
- ^ a b “テックビューロ、NFTとNCFTを扱うマーケットプレイス「COMSA」提供開始”. あたらしい経済 (2022年2月2日). 2022年2月2日閲覧。
- ^ a b “テックビューロ ホールディングス、ネム財団との業務提携を発表|mijin CatapultはAWSに提供へ”. CoinPost|仮想通貨ビットコインニュース・投資情報. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “テックビューロHD、ブロックチェーン製品の導入支援「mijin PoCパック」を発表 〜「mijin v.1」の導入検討から検証発表までをパッケージ化したコンサルプラン”. 仮想通貨 Watch. 株式会社インプレス (2018年7月31日). 2022年1月2日閲覧。
- ^ “「2017年は日本でもブロックチェーンの実用例を見る年に」--テックビューロ”. ZDNet Japan (2017年4月27日). 2021年10月30日閲覧。
- ^ “Brave New Coin”. bravenewcoin.com. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “ネム(NEM/XEM)カタパルト「mijin v.2」が一般公開”. 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “次世代ブロックチェーンプラットフォーム「mijin Catapult (v.2)」製品版を一般公開、NEMパブリックチェーンとの連携強化”. CoinPost|仮想通貨ビットコインニュース・投資情報. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “テックビューロHD、「mijin Catapult (v.2)」製品版を提供開始 〜一般公開から約1年の開発・検証を経て処理速度とスケーラビリティを大幅に改善”. 仮想通貨 Watch. 株式会社インプレス (2019年6月12日). 2021年10月30日閲覧。
- ^ “住信SBIネット銀とNRI、ブロックチェーンの銀行業務向け実証実験を開始”. 日経クロステック(xTECH). 日経BP. 2021年4月5日閲覧。
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- ^ “インフォテリアとテックビューロが協業、「ASTERIA WARP」とブロックチェーン接続アダプタを開発”. Biz/Zine. 翔泳社. 2021年4月8日閲覧。
- ^ “インフォテリアとテックビューロ、マイクロファイナンスのプライベート・ブロックチェーンを実証”. Biz/Zine. 翔泳社. 2021年4月8日閲覧。
- ^ a b Tech Bureau (2022年10月19日). “COMSAのバンドルNFT(NCFT)情報”. qiita. 2023年5月22日閲覧。
- ^ a b “UNIQUEとBUNDLEの違い”. COMSA. 2023年5月22日閲覧。
- ^ a b c “【BUNDLE】NFT作成(アセットの登録)”. COMSA Guide. 2023年5月22日閲覧。
- ^ a b テックビューロ株式会社 (2022年1月26日). “NFTやFTを扱う新『COMSA』とローンチ直前キャンペーン開始のお知らせ”. PR TIMES. 2023年5月22日閲覧。
- ^ a b テックビューロ株式会社 (2022年9月27日). “COMSAの次世代機能であるNCFTβ版 取り扱い開始のお知らせ”. PR TIMES. 2023年5月22日閲覧。
- ^ a b “BUNDLE販売・購入”. COMSA Guide. 2023年5月22日閲覧。
- ^ Tech Bureau (2022年2月10日). “COMSAのNFT情報-復元方法”. qiita. 2023年5月22日閲覧。
- ^ 中島翔 (2022年11月17日). “COMSAがリリースしたBUNDLE(旧NCFT)β版とは?使い方まで徹底解説”. HEDGE GUIDE. ハーチ株式会社. 2023年5月22日閲覧。
- ^ “入札請求一覧”. COMSA Guide. 2023年5月22日閲覧。
- ^ “仮想通貨 コムサ(COMSA)とは?”. CoinPost|仮想通貨ビットコインニュース・投資情報. 2022年1月5日閲覧。
- ^ “テックビューロがCOMSA事業の方針変更を発表”. あたらしい経済 (2020年5月21日). 2022年1月5日閲覧。
- ^ “テックビューロHD、「COMSA HUB」の製品版を公開 〜仮想通貨やトークンをプライベートチェーン上で扱うICO総合基盤の一角”. 仮想通貨 Watch. 株式会社インプレス (2019年12月3日). 2022年1月5日閲覧。
- ^ “テックビューロ社、COMSAのホワイトペーパー 記載事業の現状報告を公表”. CoinPost|仮想通貨ビットコインニュース・投資情報. 2022年1月5日閲覧。
- ^ テックビューロ株式会社. “女優 剛力彩芽さんが仮想通貨取引所「Zaif」のテレビCMに登場!!”. PR TIMES. 2021年10月30日閲覧。
- ^ “暗号資産取引所「Zaif(ザイフ)」とは?基本情報・特徴・メリットなどを解説”. 仮想通貨ニュースメディア ビットタイムズ. 2022年1月10日閲覧。
- ^ 中島翔 (2021年11月5日). “COMSA(コムサ)ってどんな仮想通貨?【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】”. HEDGE GUIDE. 2022年1月10日閲覧。