ツェルマット
ツェルマット(標準ドイツ語:Zermatt、スイス方言(アレマン語):Zärmat)は、スイス、ヴァレー州のマッターホルン山麓にある基礎自治体(アインヴォーナー・ゲマインデ)。
ツェルマット Zermatt | |||
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位置 | |||
ツェルマットの位置 | |||
座標 : 北緯46度01分0秒 東経7度45分0秒 / 北緯46.01667度 東経7.75000度 | |||
行政 | |||
国 | スイス | ||
州(Kanton) | ヴァレー州 | ||
区(Bezirk) | フィスプ区 | ||
基礎自治体(Einwohner Gemainde) | ツェルマット | ||
地理 | |||
面積 | |||
基礎自治体(Einwohner Gemainde)域 | 242.67 km2 (93.7 mi2) | ||
標高 | 1,608 m (5,276 ft) | ||
人口 | |||
人口 | (2015年12月現在) | ||
基礎自治体(Einwohner Gemainde)域 | 5,759[1]人 | ||
人口密度 | 24人/km2(61人/mi2) | ||
その他 | |||
等時帯 | 中央ヨーロッパ時間 (UTC+1) | ||
夏時間 | 中央ヨーロッパ夏時間 (UTC+2) | ||
郵便番号 | 3920 | ||
市外局番 | 6300 | ||
公式ウェブサイト : zermatt.ch/ |
スイス最高峰の麓に広がる、標高1,620 m (5,310 ft)のマッタータル溪谷の最上流部に位置する。イタリアとの国境である高さ10,800 ft (3,291.84 m)のテオドール峠とは、約10 km (6.2 mi)の距離がある。
スイス・アルプスの登山口やスキー場として知られる。19世紀中頃までは農村であったが、1865年のマッターホルン初登頂を契機に周辺の山々への登山ブームが起きると、多くの観光施設が建設された。人口はDecember 2015年現在[update]、5,759[2] 人である。地域経済のほとんどは、観光業に依存しており、雇用の約半数がホテルまたはレストラン関係で占められる[3]。町内のアパートも、ほぼ半数が別荘である[4]。常住人口の3分の1は、町の出身だが、スイス国外からツェルマットへ移住する者もいる[5]。
「ツェルマット」は舞台ドイツ語式発音に基づく仮名転写で、現代の標準ドイツ語の発音では「ツェアマット」に近い。
地理
編集ツェルマットの町は、ローヌ谷周辺の谷の1つである、マッター・バレー (ドイツ語: Mattertal) の南端にある。ツェルマットは、ペンニネアルプス山脈の高い山々にほぼ完全に囲まれており、そのうちのモンテローザ (Dufourspitze) は、標高4,634メートル (15,203 ft)で、スイスの最高峰である。これに続いて、ドーム山 (4,545 m (14,911 ft))、リスカム (4,527 m (14,852 ft))、ヴァイスホルン (4,505 m (14,780 ft)) 及びマッターホルン (4,478 m (14,692 ft)) が連なる。アルペン・フォーサウザンダーズ (Alpine four-thousanders) の多くは、ツェルマットとその周辺の谷近くに位置している。
ツェルマットの面積は、2011年現在[update]で242.7 km2 (93.7 sq mi)である。このうち、9.5%は農業用地、4.2%は森林である。残りの土地のうち、0.7%は居住区(建物や道路)、85.6%は非生産的土地である[6]。
観光
編集この村は、19世紀中頃に、有名なエドワード・ウィンパー(彼のマッターホルンの登頂は、町を有名にした)ら、イギリス人の登山家によって、発見された。マッターホルンは、1865年まで登頂されていなかった最後の山の1つであり、頂上に到達した最初の登山隊は、滑落により7人のうち3人のみ生き残るという悲劇的なものに終わった。この話は、マッターホルン博物館で紹介されている。
ツェルマットは、フランスのシャモニーに通ずるオート・ルートやパトロイ氷河を含む、山へ向かうハイキングの出発地点である。ロープウェイとリフトは、冬季にはスキーヤーを、夏季にはハイカーを運んでいる。これらの中で最も高い目的地は、標高3,883 m (12,740 ft)にあるクライン・マッターホルン(ブライトホルンとマッターホルンとの間の尾根にある頂で、各方向の壮観な光景を提供する)である。チェルヴィニア・ロープウェイ駅経由でイタリアへと横断することも可能である。壮大なラック式鉄道のゴルナーグラート鉄道(ヨーロッパ最高の屋外鉄道)は、3,089 m (10,135 ft)にあるゴルナーグラートの頂上まで走る。ツェルマットは、サンモリッツとを結ぶ氷河急行やMGB(マッターホルン・ゴッタルド鉄道)の西端駅でもある。
交通
編集町からのマッターホルンの視界を悪くすることにつながる大気汚染を防ぐため、町の全域では、内燃機関を搭載した自動車の乗り入れは禁止されている。そのため、ツェルマットの自動車のほとんどは、電気自動車であり、騒音もない。電気自動車は、地方産業のために許可されている。区警察は、住民が郊外で運転、駐車する許可を出すことができる。救急車両(消防車、救急車など)や自治体の自動車(バス、ゴミ収集車)も、内燃機関の使用が許されている。
ツェルマットで運転されている自動車には、主要鉄道駅(または町郊外にあるタクシー乗り場)からホテルまで観光客を運ぶ、ホテルによって提供される小さな電気シャトルを含む。これは、4つのツェルマットの主要会社によって運営される電気タクシーや、2路線(1つは主要ホテルテリアとスキーリフトの乗り場、もう1つはWinkelmattenの郊外を結ぶ)の電気バスがある。ホテルによって運営されていたり、借りることのできる馬車も存在する。
観光客の多くは、近くの町、ティッシュからアプト式鉄道(ツェルマット・シャトル)でツェルマットへと辿り着く。また、鉄道は、スイスの主要鉄道線が通るフィスプやブリークの谷からもツェルマットへ乗り入れている。町にはヘリポート (ICAO: LSEZ) もあり、地元のヘリコプター会社「エア・ツェルマット」が、アルプスの救助活動を行っている。
2007年には、プロジェクト・グループが、地方交通網(電気バスには十分な定員がない)の開発に向け、交通機関を評価するために結成された。この研究の結果は、「ツェルマット・インサイド」の2007年12月号にて公表された。調査された6つの機関は、コースター、ケーブルカー、メトロ、動く歩道、ゴンドラ、そして電気バスである[7]。
ゴルナーグラート
編集ゴルナーグラートは、ゴルナーグラート鉄道によってアクセスでき、29分でリッフェルアルプ、リッフェルボーデン、リッフェルベルク(フィンデルバッハ、ランドトンネルは一部停車)を経由して、ゴルナーグラート山頂 (3,089m) に到着する。頂上には、改装されたホテルやレストランがあり、ショッピングセンターも提供されている。リッフェルアルプ駅は、リッフェルアルプトラムと名付けられた短いトラムによって、リッフェルアルプ・リゾートと結ばれている[8]。
ロープウェイは、ホッタリィからローテ・ナーゼ (3,247 m) まで走る。この最後のリフトは、無料エリアを走るが、山腹に丁度良い雪が積もり、スキーが可能である可能性は低い。このエリアのリフトは、一般に2月下旬か3月上旬にオープンする。ロープウェイは、年中無休で営業しており、リフトも取り替えが検討されている。ゴルナーグラートの真下のホッタリィからKellenseeへの新しいスロープは、ロートホルンからゴルナーグラートへ結ぶため、このリストと交換した。
気候
編集ツェルマットの気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
平均最高気温 °C (°F) | 0.2 (32.4) |
1.3 (34.3) |
3.7 (38.7) |
7.3 (45.1) |
12.1 (53.8) |
15.6 (60.1) |
18.9 (66) |
17.9 (64.2) |
15.4 (59.7) |
11.2 (52.2) |
4.6 (40.3) |
1.1 (34) |
9.1 (48.4) |
日平均気温 °C (°F) | −4.8 (23.4) |
−4 (25) |
−1.5 (29.3) |
2 (36) |
6.7 (44.1) |
10 (50) |
12.5 (54.5) |
11.7 (53.1) |
9 (48) |
4.8 (40.6) |
−0.8 (30.6) |
−3.8 (25.2) |
3.5 (38.3) |
平均最低気温 °C (°F) | −9.4 (15.1) |
−8.8 (16.2) |
−6.5 (20.3) |
−3.2 (26.2) |
1.6 (34.9) |
4.6 (40.3) |
6.6 (43.9) |
5.7 (42.3) |
3.9 (39) |
0.7 (33.3) |
−4 (25) |
−8.8 (16.2) |
−1.4 (29.5) |
降水量 mm (inch) | 43 (1.69) |
46 (1.81) |
49 (1.93) |
50 (1.97) |
61 (2.4) |
56 (2.2) |
47 (1.85) |
60 (2.36) |
41 (1.61) |
55 (2.17) |
55 (2.17) |
49 (1.93) |
611 (24.06) |
平均降水日数 | 6.6 | 6.3 | 7.7 | 6.7 | 10 | 8.6 | 8.9 | 9.9 | 6.9 | 6.7 | 7 | 6.7 | 92 |
出典:MeteoSchweiz[9] |
人口動態
編集ツェルマットの人口は、5,759である(December 2015年現在[update])。2008年現在[update]、住人の35.9%は外国人である[2][10]。ここ10年 (2000年–2010年) にわたり、人口は6.4%の割合で変わった。この変化のうち、-3.2%が移住、7.1%が死亡や誕生によるものである[6]。
2000年現在[update]、人口のほとんどはドイツ語 (4,093人、68.4%) を母語とし、2番目にポルトガル語 (719人、12.0%) 、3番目にイタリア語 (474人、7.9%) が続く。また、226人はフランス語を、一人はロマンシュ語を話す[5]。
2008年現在[update]、人口の51.6%は男性、48.4%は女性である。人口のうち、1,840 (31.6%) はスイス人男性、1,166人 (20.0%) は非スイス人男性、1,837人 (31.5%) はスイス人女性、985人 (16.9%) は非スイス人女性である[12]。また、2000年時点で、2,214人 (約37.0%) はツェルマットで生まれ、住んでいる。720人 (12.0%) は、同じ郡内で生まれ、774人 (12.9%) はスイス国内で、2,039人 (34.1%) はスイス国外生まれである[5]。
2000年現在[update]、子供とティーンエイジャー (0–19歳) は21.3%、大人 (20–64歳) は70.2%、年配者 (64歳以上) は8.5%を占める[6]。
2000年現在[update]、自治体には独身、未婚者が2,763人いる。2,830人は既婚者であり、207は未亡人、188人は離婚者である[5]。
2000年現在[update]、2,441人は家族を持っており、家族には2.2人がいる[6]。1人や5人以上の128世帯を含む921世帯が存在する。2000年[update]時点で、アパートの住人のうち、2,167人 (52.1%) は永住者で、1,890人 (45.4%) は時期限定、103人 (2.5%) は空き家である[4]。2009年現在[update]、新しい住宅の居住割合は、1,000人中14.1人である[6]。
下記は、町の人口の移り変わりを示したグラフである[13]。
経済
編集ツェルマットの職業の約半分は、ホテルやレストラン産業である。
2010年[update]で、ツェルマットの失業率は1.9%である。2008年現在[update]、52人が第一次産業に従事し、23の事業所が存在する。また、567人は第二次産業に従事し、56の事業所が存在する。3,957人は第三次産業に従事し、433の事業所がある[6]。職業従事者は自治体に3,841人住んでおり、このうちの44.6%は女性が占める。
現在2008年[update]時点で、フルタイム労働者は4,261人であった。このうち、第一次産業は20人(このすべては農業)、第二次産業は538人(83人 (15.4%) は工場、385人 (71.6%) は建設業)、第三次産業は3,703人(531人 (14.3%) は卸売業・小売業または自動車修理、477人 (12.9%) は運輸・倉庫、2,178人 (58.8%) はホテルまたはレストラン、38人 (1.0%) は情報産業、54人 (1.5%) は保険・金融業、116人 (3.1%) は技術者・科学者、56人 (1.5%) は教育、87人 (2.3%) は健康)である[3]。
2000年[update]時点で、744人が自治体内に通勤し、89人が自治体の外へ通勤していた[14]。労働人口のうち、7.1%は公共交通機関を、2.6%は自家用車を使用している[6]。
ギャラリー
編集-
ツェルマットの山並み
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ツェルマットの町並み
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マッターホルン
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ツェルマットの家
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ツェルマット近くのWinkelmatten村
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夜のツェルマット
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ツムットの集落
関連項目
編集出典
編集- ^ Ständige und nichtständige Wohnbevölkerung nach institutionellen Gliederungen, Geburtsort und Staatsangehörigkeit スイス連邦統計局、2017年1月29日閲覧。
- ^ a b Swiss Federal Statistical Office - STAT-TAB, online database – Ständige und nichtständige Wohnbevölkerung nach institutionellen Gliederungen, Geburtsort und Staatsangehörigkeit accessed 30 August 2016
- ^ a b Swiss Federal Statistical Office STAT-TAB Betriebszählung: Arbeitsstätten nach Gemeinde und NOGA 2008 (Abschnitte), Sektoren 1-3 Archived 2014年12月25日, at the Wayback Machine. accessed 28 January 2011
- ^ a b Swiss Federal Statistical Office STAT-TAB - Datenwürfel für Thema 09.2 - Gebäude und Wohnungen Archived 2014年9月7日, at the Wayback Machine. accessed 28 January 2011
- ^ a b c d STAT-TAB Datenwürfel für Thema 40.3 - 2000 Archived 2014年4月9日, at the Wayback Machine. accessed 2 February 2011
- ^ a b c d e f g Swiss Federal Statistical Office accessed 4 October 2011
- ^ “Zermatt Inside”. Zermatt. 2013年10月8日閲覧。
- ^ Riffealptram on Riffelalp Resort website Archived 2014年3月3日, at the Wayback Machine.
- ^ “Temperature and Percipitation Average Values-Table, 1961-1990” (German, French, Italian). Federal Office of Meteorology and Climatology MeteoSwiss. 2009年6月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年5月8日閲覧。
- ^ Swiss Federal Statistical Office - Superweb database - Gemeinde Statistics 1981-2008 accessed 19 June 2010
- ^ “ツェルマット情報 - 2014” (pdf) (German). 9月 2015閲覧。
- ^ Ständige Wohnbevolkerung nach Geschlecht und Heimat am 31.12.2009.xls accessed 24 August 2011
- ^ Swiss Federal Statistical Office STAT-TAB Bevölkerungsentwicklung nach Region, 1850-2000 Archived 2014年9月30日, at the Wayback Machine. accessed 29 January 2011
- ^ Swiss Federal Statistical Office - Statweb Archived 2012年8月4日, at Archive.is accessed 24 June 2010