チャーバハール
チャーバハール ペルシア語: چابهار, バローチー語: چاھبار; 意味は「4つの泉」[1]、旧称はバンダル・バヘシュティー)[2]は、イラン南東部のスィースターン・バルーチェスターン州南東部のチャーバハール郡の郡都。 2016年9月24日の人口は10万6739人[3]。 オマーン湾に面する経済特区で、同国最南端の都市でもある。
(チャーバハール چابهار | |
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都市 | |
座標: 北緯25度17分31秒 東経60度38分35秒 / 北緯25.29194度 東経60.64306度座標: 北緯25度17分31秒 東経60度38分35秒 / 北緯25.29194度 東経60.64306度 | |
国 | イラン |
州 | スィースターン・バルーチェスターン州 |
郡 | チャーバハール郡 |
人口(2016) | |
• 計 | 106,739人 |
等時帯 | イラン標準時(UTC+3:30) |
• 夏時間(DST) | イラン夏時間(UTC+4:30) |
歴史
編集紀元前2500年頃、近郊に「ティース」という漁村が有った。
紀元前4世紀にはアレクサンドロス3世の遠征によって占領された。
歴史家のビールーニーによると、ティスはインドの沿岸部との貿易を行っていた[4][5]。
1188年、アフダルッディーン・アブー・ハーミド・ケルマーニーは著書の中で、ティスの商業と貿易について述べた。
1507年、ポルトガル王国の征服者であるアフォンソ・デ・アルブケルケがオマーン湾に侵入し、ティスとチャーバハールを占領した。
1621年、ポルトガル王国が撤退した。
1970年頃、パフラヴィー朝第2代皇帝のモハンマド・レザー・パフラヴィーが、チャーバハールに大規模な港を建設すると宣言した。 イランをインド洋の支配者とするために、近代的な海軍・空軍基地が建設された。 この計画は外国からの投資を多く呼び込み、特にアメリカ合衆国が目立った。
1979年にイラン革命が起こると、外国企業は計画から撤退し、建設聖戦大臣に繋がりを持つ国営企業が引き継いだ。
1980年にイラン・イラク戦争が始まると、ホルムズ海峡の治安が悪化し、ペルシャ湾に船が入りにくくなった。 そのため、海峡の外(東)に位置し、同国最東端のチャーバハールの物流・戦略的重要性が増した。
1980年代に、政府は新たに「東軸開発計画」を発表し、チャーバハールを東部の成長の中心にしようと考えた。
1992年、チャーバハール自由貿易産業地区が設置された。
2014年、インドはイランへの経済制裁として、チャーバハール港への8500万$の援助を凍結した。
2016年、核合意を受けてイランに対する制裁が解除されると、インドは援助を5億$に増額した[6]。インドの援助の理由は中国が援助するパキスタンのグワーダル港への対抗にあるとされるが、イランは中国とパキスタンにも投資を呼びかけ[7]、チャーバハール港とグワーダル港を結ぶ提案を行っており[8]、2019年12月には中国とロシアの艦艇がチャーバハール港に寄港してオマーン湾でイランと3カ国で合同軍事演習を行った[9]。
交通
編集空路
編集海路
編集- チャーバハール港:約80km東に位置し、イラン初の深海港であり、国際貨物をUAEに頼らずに済むようになる[6]。チャーバハールはアフガニスタンや中央アジア用の港であり、ヨーロッパやロシア用の港であるバンダレ・アッバースとは競合しない。
- 2台の高速船を保有
- 2011年までに年600万tの処理能力の港湾施設を整備予定
陸路
編集道路
編集- チャーバハール⇔バンダレ・アッバース
- チャーバハール⇔イーラーンシャハル⇔ケルマーン
- チャーバハール⇔イーラーンシャハル⇔ザーヘダーン⇔マシュハド
- チャーバハール⇔イーラーンシャハル⇔ザーヘダーン⇔ミーラク(アフガニスタン国境)
鉄道
編集宗教・民族
編集産業
編集エネルギー
編集インドはトルクメニスタンの天然ガス開発を支援し、イラン北部まで送る。 イランはそれを南東部のチャーバハール港に送り、アラビア海の海底を通るパイプラインを通し、インドに送る。 この計画はインド・パキスタン関係の悪化に伴い、イラン・パキスタン・ガス・パイプライン(計画中)に代わって議論されている[13]。
観光
編集- マングローブ林
- リパー環礁
- マーシャン山
- ティース要塞
- ティースの歴史的港町
- 旧通信ビル
- バーンマシーティーの洞窟
- グワテル城
漁業
編集イランの国内では海洋漁業は低調であるが、チャーバハール周辺は良質なキハダマグロの漁場となっている。2021年、日本とイラン両国政府は国際連合工業開発機関(UNIDO)と連携して、湖の水資源の管理を行うための無償資金協力「チャーバハールにおける包括的で持続可能なキハダマグロ・バリューチェーン構築推進計画」に関する文書に署名した。供与限度額は3億6,300万円[14]。今後は、適切で持続可能なはえ縄漁法を導入・普及や漁獲後の品質管理の強化により、マグロ製品の高付加価値化がなどが進められる予定[15]。
気候
編集砂漠気候(BWh)に属する。
チャーバハールの気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 31.0 (87.8) |
33.0 (91.4) |
38.0 (100.4) |
42.0 (107.6) |
46.0 (114.8) |
45.2 (113.4) |
47.0 (116.6) |
42.4 (108.3) |
42.0 (107.6) |
41.4 (106.5) |
37.0 (98.6) |
32.0 (89.6) |
47 (116.6) |
平均最高気温 °C (°F) | 24.5 (76.1) |
25.0 (77) |
28.1 (82.6) |
31.0 (87.8) |
34.0 (93.2) |
35.0 (95) |
33.8 (92.8) |
32.4 (90.3) |
32.2 (90) |
32.4 (90.3) |
29.5 (85.1) |
26.3 (79.3) |
30.35 (86.63) |
日平均気温 °C (°F) | 20.4 (68.7) |
21.3 (70.3) |
24.2 (75.6) |
27.1 (80.8) |
30.4 (86.7) |
31.9 (89.4) |
31.1 (88) |
29.8 (85.6) |
29.1 (84.4) |
28.2 (82.8) |
25.0 (77) |
22.0 (71.6) |
26.71 (80.08) |
平均最低気温 °C (°F) | 15.0 (59) |
16.0 (60.8) |
19.0 (66.2) |
22.3 (72.1) |
25.2 (77.4) |
28.0 (82.4) |
28.1 (82.6) |
26.9 (80.4) |
25.4 (77.7) |
22.7 (72.9) |
18.8 (65.8) |
16.2 (61.2) |
21.97 (71.54) |
最低気温記録 °C (°F) | 7.0 (44.6) |
7.0 (44.6) |
9.6 (49.3) |
14.0 (57.2) |
16.0 (60.8) |
22.0 (71.6) |
21.0 (69.8) |
19.0 (66.2) |
19.0 (66.2) |
13.2 (55.8) |
9.0 (48.2) |
7.0 (44.6) |
7 (44.6) |
雨量 mm (inch) | 29.4 (1.157) |
37.9 (1.492) |
14.9 (0.587) |
6.1 (0.24) |
0.1 (0.004) |
0.5 (0.02) |
6.2 (0.244) |
2.1 (0.083) |
1.2 (0.047) |
0.0 (0) |
4.4 (0.173) |
13.7 (0.539) |
116.5 (4.586) |
平均降雨日数 | 3.6 | 3.4 | 2.0 | 1.3 | 0.1 | 0.1 | 1.3 | 0.8 | 0.2 | 0.0 | 0.5 | 1.7 | 15 |
% 湿度 | 61 | 66 | 69 | 70 | 72 | 75 | 77 | 77 | 76 | 73 | 67 | 61 | 70.3 |
平均月間日照時間 | 240.2 | 234.1 | 263.8 | 278.2 | 330.2 | 284.8 | 244.6 | 241.4 | 260.9 | 295.5 | 272.5 | 249.2 | 3,195.4 |
出典:NOAA (1963–1990)[16] |
脚注
編集- ^ Inside Chabahar, the Iranian port city that borders Pakistan and where alleged spy Kulbhushan Jadhav was based; Economic Times; 14-May-2017
- ^ チャーバハールはGEOnet Names Serverのこのリンクで見つけることができる。特別な検索ボックスを開け、「Unique Feature Id」で「-3055106」を入力し、「Search Database」をクリックする。
- ^ City Population閲覧日:2018年1月7日
- ^ Sachau, Edward C., ed. (1910) [first published 1888], Alberuni's India, Vol. 1, Kegan Paul, Trench, Trubner & Co
- ^ Wink, André (2002) [first published 1990], Al-Hind: The Making of the Indo-Islamic World (Third ed.), Brill, ISBN 0391041738
- ^ a b “India's $500 Million Bet on Iran”. Foreign Policy 22 July 2016閲覧。
- ^ “アジアから中東に触手伸ばす中国-イラン港湾投資巡りインドと緊張も”. ブルームバーグ. (2018年4月12日) 2018年8月21日閲覧。
- ^ “Iran says ready to connect Pakistan's Gwadar to Iran's Chabahar port”. 新華社. (2019年5月24日) 2019年6月14日閲覧。
- ^ “イランが中ロと合同軍事演習開始、米をけん制か”. TBS. (2019年12月28日) 2019年12月28日閲覧。
- ^ India's Track 3: Afghan-Iran rail link - Hindustan Times
- ^ Judge refuses to hear plea against Sethi | The Frontier Post
- ^ https://cmes.fas.harvard.edu/files/cmes/files/semplepolicysummary.pdf
- ^ “Iran, India discuss building underwater gas pipeline”. Tehran Times 25 December 2010閲覧。
- ^ “イラン・イスラム共和国に対する無償資金協力に関する交換公文の署名”. 日本国外務省ホームページ (2021年2月17日). 2023年5月31日閲覧。
- ^ “イランにおける持続可能なマグロ漁業を日本政府とヤマサ脇口水産とともに支援”. UNIDO (2022年11月10日). 2023年5月31日閲覧。
- ^ “Chahbahar Climate Normals 1963–1990”. National Oceanic and Atmospheric Administration. December 29, 2012閲覧。