タデ属(タデぞく、Polygonum sensu lato)はタデ科にかつて置かれていたである。

タデ属
Polygonum longisetum
イヌタデ Polygonum longisetum
(2006年11月、和歌山県田辺市
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: タデ科 Polygonaceae
亜科 : タデ亜科 Polygonoideae
: 複数
: タデ属 Polygonum sensu lato
学名
Polygonum L.
タイプ種
ミチヤナギ Polygonum aviculare
英名
knotgrass
現在の属

約300を含む大きな属だった。しかしその実態はタデ亜科全体に分散する多系統であり、Hedberg (1946) やそれに続く研究者により分割され[1]、現在は8属

となった[2]。そのうち1属は旧タデ属の学名 Polygonum を保つが、タデ類を含まず、和名はミチヤナギ属となる。

Polygonum は、ギリシア語ミチヤナギなどのの形から「多くの(Poly)ひざ(Gonu)がある」の意味といわれるが、その他の語源説もある。

分割の過程ではさまざまな属が提唱されたため、学名には属の異なるシノニムが多数ある。

形態・生態

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大部分は草本で、中には数メートルの高さに達するものや、つる性(一部は木性)のものもある。湿地または水中に生育するものも多い。

は赤みを帯びるものが多く、とげを持つものもある(イシミカワママコノシリヌグイウナギツカミなど)。

は全縁の単葉互生し、形は多様で、幅広い形(ミズヒキ)から、細長いもの(ヤナギタデ、ミチヤナギ)、心臓形(ツルドクダミ)、ほこ形(イタドリ)、三角形(イシミカワ)などがある。葉の中央部に黒斑のあるものもある。また托葉があり、多くは茎を包む筒状であるが、イシミカワのように大きく広がるものもある。

には4-6個の花被片があり、緑色、白色、または淡紅色ないし赤色に色づく。総状、穂状または頭状の花序をなす。花被片は花後も宿存し、果実を包むものもある。

果実は1個の種子を含む痩果

分布

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主に北半球温帯に分布する。

人間との関わり

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イヌタデ、ミチヤナギ、イタドリなど、雑草として至る所に見られるものも多い。経済的に最も重要なのはソバである。このほか、香辛料もしくは野菜として食用にするヤナギタデがある。イタドリなど山菜として利用されるものもある。ツルドクダミ(何首烏)は漢方薬に用いられる。染料として使われるアイ(タデアイ)も含む。また、観賞用に栽培されるヒメツルソバオオケタデミズヒキナツユキカズラなどがある。

系統

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旧タデ属は、タデ亜科の中の広い範囲に分散する[2]

次の系統樹で、旧タデ属以外の属は主要なもののみであり完全ではない。

タデ亜科
Polygoneae
Reynoutriinae

Muehlenbeckia ミューレンベッキア属

Fallopia ソバカズラ属 (旧タデ属)

Reynoutria イタドリ属 (旧タデ属)

Polygoninae

Atraphaxis

Polygonum ミチヤナギ属 (旧タデ属)

Duma

Knorringia

Rumiceae

Rumex ギシギシ属

Emex イヌスイバ属

Rheum ダイオウ属

Oxyria ジンヨウスイバ属

Calligoneae

Calligonum サバクタデ属

Pteroxygonum

Pteropyrum

Fagopyreae

Fagopyrum ソバ属 (旧タデ属)

Persicarieae
Koenigiinae

Koenigia チシマミチヤナギ属 (一部が旧タデ属)

Aconogonon オンタデ属 (旧タデ属)

Bistorta イブキトラノオ属 (旧タデ属)

Persicariinae

Persicaria イヌタデ属 (旧タデ属)

Eriogonoideae

属と主な種

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Fallopia ソバカズラ属

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ツルドクダミ

Reynoutria イタドリ属

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イタドリ

ソバカズラ属 Fallopia に含める説もあったが、この広義のソバカズラ属はミューレンベッキア属 Muehlenbeckia を内包する側系統になる[2]

Polygonum s.s. ミチヤナギ属

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ミチヤナギ

Koenigia チシマミチヤナギ属 の一部

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旧タデ属の節 sect. Eleutherospermum Hook.f.セリ科の属 Eleutherospermum K.Koch とは別)の種はチシマミチヤナギ属に移された[1]

Aconogonon オンタデ属

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オンタデ属とイブキトラノオ属をイヌタデ属 Persicaria に含める説もあったが、この広義のイヌタデ属はチシマミチヤナギ属 Koenigia を内包する側系統になる[2]

旧タデ属の節 sect. RubrivenaRubrivena 属として分離するあるいはイヌタデ属 Persicaria に含める説があったが、系統的にオンタデ属内に位置する[3]

Bistorta イブキトラノオ属

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イブキトラノオ

オンタデ属とイブキトラノオ属をイヌタデ属 Persicaria に含める説もあったが、この広義のイヌタデ属はチシマミチヤナギ属 Koenigia を内包する側系統になる[2]

Persicaria イヌタデ属(サナエタデ属)

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ミゾソバ

ミズヒキ節 sect. Tovara をミズヒキ属 Antenoron として分離する説があったが、系統的にイヌタデ属内に位置する[4]

出典

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  1. ^ a b Galasso, G.; Banfi, E.; et al. (2009), “Molecular phylogeny of Polygonum L. s.l. (Polygonoideae, Polygonaceae), focusing on European taxa: preliminary results and systematic considerations based on rbcL plastidial sequence data”, Atti della Società Italiana di Scienze Naturali e del Museo Civico di Storia Naturale di Milano 150: 113–148, http://www.researchgate.net/profile/Gabriele_Galasso/publication/257029473_Molecular_phylogeny_of_Polygonum_L._s.l._%28Polygonoideae_Polygonaceae%29_focusing_on_European_taxa_preliminary_results_and_systematic_considerations_based_on_rbcL_plastidial_sequence_data/file/60b7d5243dcbdf2e06.pdf 
  2. ^ a b c d e Schuster, Tanja M.; Setaro, Sabrina D.; Kron, Kathleen A. (2013), “Age Estimates for the Buckwheat Family Polygonaceae Based on Sequence Data Calibrated by Fossils and with a Focus on the Amphi-Pacific Muehlenbeckia”, PLOS ONE 8 (4): 1, doi:10.1371/journal.pone.0061261 
  3. ^ Fan, Deng-Mei; Chen, Jia-Hui; et al. (2013), “Molecular phylogeny of Koenigia L. (Polygonaceae: Persicarieae): Implications for classification, character evolution and biogeography”, Molecular Phylogenetics and Evolution 69: 1093–1100, http://210.72.14.139:8080/bitstream/131C11/2691/1/V.69%201093-1100%202013.pdf 
  4. ^ Kim, Sang-Tae; Donoghue, Michael J. (2008), “Molecular phylogeny of Persicaria (Persicarieae, Polygonaceae)”, Systematic Botany 33 (1): 77-86 

外部リンク

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  • "Polygonum". National Center for Biotechnology Information(NCBI) (英語). (英語)
  • "Polygonum" - Encyclopedia of Life (英語)
  • 波田善夫. “タデ科”. 植物雑学事典. 岡山理科大学生物地球学部. 2013年10月11日閲覧。