ハード・カレンシー
ハード・カレンシー(英語: Hard currency ハードカレンシー)、またはハード通貨、強い通貨(Strong currency)、セーフヘイブン通貨(Safe haven currency)という言葉がマクロ経済学で使われるのは、各国で流通している通貨の中で、信頼性が高く、価値の安定した保管場所として機能し、グローバルに取引される通貨を指す。ハード通貨となるように寄与する要因には、それぞれ国の法務および官僚機構の安定性と信頼性、汚職のレベル、購買力の長期的な安定性、関連国の政治的および財政的状況と見通し、および発行する中央銀行の政策などがある。
安全な避難所としての通貨は、世界的なリスク回避の動きを条件として、リスクのある資産の参照ポートフォリオのヘッジのように振る舞う通貨として定義されている[1]。
逆に、ソフト・カレンシー(英語: Soft currency ソフト通貨)とは、不規則に変動したり、他の通貨に対して下落したりすることが予想される通貨である。このように「軟化」するのは、通常、関連する国内の弱い法制度、政治的・財政的不安定の結果である。ハード(硬い)、ソフト(柔らかい)という言葉は、金本位制の名残りである。
歴史
編集歴史的には、一部の先進国の不換紙幣(不換通貨)がハード・カレンシーとして認められてきた。たとえばアメリカドル、ユーロ(ユーロ導入前はドイツマルク及びフランスフラン)、日本円、イギリスポンド、スイスフラン、そしてある程度劣るがカナダドルやオーストラリアドルなど。これは不変のものではなく、時代が変わると、一度は弱いと考えられていた通貨が強くなったり、あるいはその逆になる可能性がある。
ある通貨が実際にどの程度「ハード」なのかを示す指標の1つは、各国の外貨準備の中での占有率がある。
1995年から2022年にかけての公的な外貨準備における通貨の構成割合(%)[2][3][4]
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
脚注
編集- ^ Getting beyond carry trade: What makes a safe haven currency? (Journal of International Economics, Volume 87, Issue 1, May 2012, Pages 50-64)
- ^ For 1995-99, 2006-22: "Currency Composition of Official Foreign Exchange Reserves(COFER)" (英語). Washington, DC: International Monetary Fund. 3 April 2023. 2024年11月10日閲覧。
- ^ For 1999-2005: International Relations Committee Task Force on Accumulation of Foreign Reserves (February 2006). The Accumulation of Foreign Reserves (PDF). Occasional Paper Series, Nr. 43 (英語). Frankfurt am Main: European Central Bank. ISSN 1607-1484。
- ^ Review of the International Role of the Euro (PDF) (英語). Frankfurt am Main: European Central Bank. December 2005. ISSN 1725-2210。