セリチニブ
セリチニブ (英語: Ceritinib)は、一部の肺癌を対象とした治療薬の一つである[1]。未分化リンパ腫キナーゼ (ALK) 阻害作用を持つ[2]。米国では2014年4月に米国食品医薬品局 (FDA) から、クリゾチニブ治療後の転移のあるALK 陽性非小細胞肺癌の治療薬として承認された[1]。日本では2016年3月に「クリゾチニブに抵抗性または不耐容のALK 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応として承認された[3]。商品名はジカディア。開発コードLDK378。
IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
販売名 | Zykadia |
Drugs.com | Multum Consumer Information |
胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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データベースID | |
CAS番号 | 1032900-25-6 |
ATCコード | L01XE28 (WHO) |
PubChem | CID: 57379345 |
DrugBank | DB09063 |
ChemSpider | 29315053 |
KEGG | D10551 |
ChEBI | CHEBI:78432 |
ChEMBL | CHEMBL2403108 |
別名 | LDK378 |
化学的データ | |
化学式 | C28H36ClN5O3S |
分子量 | 558.14 g/mol |
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副作用
編集添付文書に記載されている重大な副作用は、間質性肺疾患(1.4%)、肝機能障害(3.6%)、QT間隔延長(5.7%)、徐脈(0.7%)、重度の下痢(6.4%)、高血糖(0.7%)、糖尿病(0.7%)、膵炎(頻度不明)である[4]。これらの副作用は時に致死的であるので、患者の安全確保を目的とした留意事項(適正使用情報)が承認同日に厚生労働省から医療関係者に通知されている[5]。
他に20%以上の患者に食欲減退、悪心(77.9%)、下痢(77.1%)、嘔吐(58.6%)、腹痛、肝機能検査値異常(ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、血中ビリルビン増加等)、疲労が認められる。
作用機序
編集ALKは細胞の増殖を司るチロシンキナーゼの一種である。通常は休眠しているが、非小細胞肺癌の3〜5%ではALK 遺伝子と他の遺伝子の融合が見られ、ALK 遺伝子が恒常的に発現する事で細胞増殖シグナルが常にONになり、異常増殖が生じている[6]。この様な癌をALK 陽性(ALK+)非小細胞肺癌と言う。ALK阻害剤はこのキナーゼを阻害して増殖を止め、アポトーシスを誘導する。
出典
編集- ^ a b “FDA Approves Ceritinib for ALK-Positive Lung Cancer”. Medscape. (April 29, 2014)
- ^ Shaw AT, Kim DW, Mehra R, Tan DS, Felip E, Chow LQ, Camidge DR, Vansteenkiste J, Sharma S, De Pas T, Riely GJ, Solomon BJ, Wolf J, Thomas M, Schuler M, Liu G, Santoro A, Lau YY, Goldwasser M, Boral AL, Engelman JA (2014). “Ceritinib in ALK-Rearranged Non–Small-Cell Lung Cancer”. N Engl J Med 370: 1189-1197. doi:10.1056/NEJMoa1311107. PMID 24670165.
- ^ “ALK阻害剤「ジカディア」、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療薬として日本国内での製造販売承認を取得”. ノバルティス (2016年3月28日). 2016年5月20日閲覧。
- ^ “ジカディアカプセル150mg 添付文書” (2016年3月). 2016年7月1日閲覧。
- ^ 厚生労働省 (2016年3月28日). “セリチニブ製剤の使用に当たっての留意事項について” (PDF). 日本臨床腫瘍薬学会. 2016年5月20日閲覧。
- ^ “ALK陽性肺がんに対する治療薬耐性の原因を発見” (PDF). 公益財団法人がん研究会 (2015年12月25日). 2016年5月20日閲覧。