スシロー迷惑動画事件
この項目では、問題行為者の実名は記述しないでください。記述した場合、削除の方針ケースB-2により緊急削除の対象となります。出典に実名が含まれている場合は、その部分を伏字(○○)などに差し替えてください。 |
スシロー迷惑動画事件[1][2](スシローめいわくどうがじけん)は、2023年(令和5年)1月29日に岐阜県岐阜市正木の「スシロー岐阜正木店」において、男性客が醤油差しの注ぎ口をなめる等の迷惑行為を行い、その動画をSNS上に拡散した事件である。スシロー事件[3]や、スシローペロペロ事件[4]とも呼ばれる。
スシロー迷惑動画事件 | |
---|---|
(上)FOOD & LIFE COMPANIES本社 (下)事件が発生した店舗の地図 | |
場所 | 日本岐阜県岐阜市正木中三丁目12番5号(スシロー岐阜正木店) |
日付 | 2023年(令和5年)1月19日 |
概要 | スシロー岐阜正木店で男性客が迷惑行為を行い、その動画をSNS上に拡散した事件。 |
影響 | #影響を参照 |
管轄 |
岐阜県警察・岐阜南警察署 (岐阜地方検察庁) |
概要
加害者の男性客は、湯呑を舐める、寿司に唾液を付着させる、卓上調味料の醤油ボトルの注ぎ口を舐めるといった迷惑行為を行った。さらに、その様子を収めた動画をSNSにあげた。これらの行為により、回転寿司のイメージが低下し、株式会社あきんどスシローは大きな損失を被った[5]。
同年1月30日にあるインフルエンサーが岐阜県内の高校名をツイートしたことをきっかけに、不特定多数によって少年の名前などを特定する動きが広がり、これらの情報に基いて当該高校に対する苦情や誹謗中傷の電話が殺到する事態となった[6]。動画の作成に関わったのは岐阜市内の県立高校の生徒であると一部の報道機関は伝えているほか[7]、NEWSポストセブンは、男性が事件を受け自主退学したと報じた[8]。
スシローの親会社でもある「FOOD&LIFE COMPANIES」は、「安全・安心なおすしを提供するうえで、お客さまとの信頼関係を損なう重大な事案と重く受け止めています」とコメントし[9]、厳正に対処していくと発表した[10][11]。迷惑行為を行った当事者・保護者から謝罪を受けたと2月1日に発表したが「引き続き刑事・民事の両面から厳正に対処する」としている[12][13]。
被害届の提出を受け、岐阜県警は当事者ら数人について偽計業務妨害容疑で書類送検する方針だったが、偽計業務妨害の構成要件や犯行状況などを再検討した結果、同年6月28日に醤油差しなどを汚した器物損壊容疑で書類送検した[14]。
同年3月22日に、運営会社のあきんどスシローが当事者に対して約6700万円の損害賠償を求める裁判を大阪地方裁判所に起こしたことが、同年6月に報じられた[15]。その後、調停が成立したため、同年7月31日付で賠償請求を取り下げたことが同年8月に報じられた[16]。運営会社の親会社は「責任は認めていただき、当社としても納得のできる相応の内容で和解をしております」とコメントした[17]。
影響
スシローは対応として、該当店舗の全ての湯呑み・醤油ボトルを洗浄した。さらに同店舗と近隣の店舗では食器・調味料の提供方式を変更、店内に食器・調味料を設置し、客自身がテーブルに運ぶ形にした。テーブル席とレーンの間にアクリル板も設置中としている[12]。2月3日には、同日から当面の間、注文された商品のみレーンに流す運用を全店舗で開始したことを発表した[19]。
今回の事例を始めとする、回転寿司チェーン店内での客の迷惑行為[注釈 1]は寿司テロ(sushi terrorism)とも呼ばれ[20][21][22][23][24]、スシローを始めとする回転寿司業界のイメージダウンに繋がったことで同社の株価にも影響し、時価総額が一時170億円近く減少したことが報じられた[4][25][26]。ただし、株価はその後1週間ほどで回復し、2月7日には騒動以前の株価を上回った[27]。
事件後、スシローのファンや著名人を中心に「#スシローを救いたい」を付けた応援ツイートがインターネット上で相次ぎ、一時SNSのトレンドに入った。これを受けて、同社は公式アカウントにおいて、社長の新居耕平の署名入りで謝意を示すツイートを行ったほか[26][28][29]、割引キャンペーンも実施した[30][31]。しかし、キャンペーンでは持ち帰り等に対して割引が適用されないことが発覚し、一部の顧客に対して返金対応を行った[32]。
本件はフランス・AFP通信やイギリス・BBC、アメリカ・CNNなどといった、多数の海外メディアでも批判的に報じられた[22][24][26][29][33]。また、農林水産大臣の野村哲郎は2月7日の記者会見において、外食チェーン店での客の迷惑行為について、「食品産業事業者への影響も大きく、このような行為が行われたことは非常に残念。農水省としても、今後の状況を注視していきたい」とのコメントを出している[34]。
5月23日、運営会社のあきんどスシローは、この迷惑動画を受けて中止していたレーンでの注文品以外の提供を今年夏にも再開する方針を示していた[35]がその後恒久的に中止することを発表している[36]。
脚注
注釈
出典
- ^ “回転寿司テロを行う少年の「目立ったもの勝ち文化」は大人社会の縮図だ”. 現代ビジネス. (2023年2月3日) 2023年5月27日閲覧。
- ^ “台湾でもスシロー事件!韓国野球チームが〝スプーンなめなめ〟で出禁 追及には開き直り”. 東スポWeb. (2023年3月2日) 2023年5月27日閲覧。
- ^ “鎧塚俊彦、“スシロー事件”に苦言 「回転寿司が無くなっても良いのですか?」「どうか慎んで頂きたい」”. nlab.itmedia.co.jp. (2023年2月3日) 2023年2月12日閲覧。
- ^ a b “「スシローペロペロ」事件で株価170億円下落 青汁王子「被害者は株主」厳罰化要求”. デイリースポーツ (2023年2月1日). 2023年2月6日閲覧。
- ^ “スシロー、高校生による迷惑動画事件の現状と防止策を公表”. www.corporate-legal.jp. (2023年2月6日) 2023年2月12日閲覧。
- ^ “「スシロー」迷惑動画の少年通う高校に相次ぐ誹謗中傷…「お門違い」「学校は関係ない」と咎める声”. 女性自身. 2023年4月1日閲覧。
- ^ “回転ずしで迷惑行為 岐阜の高校生関与か”. 中日新聞. (2023年1月31日). オリジナルの2023年1月30日時点におけるアーカイブ。 2023年2月4日閲覧。
- ^ “【独占続報】スシロー湯呑みペロペロ少年が高校を自主退学 近所では「畑仕事の手伝いもしてくれる素直な子」”. NEWSポストセブン. 2023年2月12日閲覧。
- ^ “回転ずし スシロー 客の迷惑動画 “警察と相談 厳正に対処””. NHKニュース. (2023年1月30日). オリジナルの2023年1月30日時点におけるアーカイブ。 2023年2月2日閲覧。
- ^ “スシロー、迷惑行為動画の店舗「岐阜正木店」と公表 被害届提出”. 産経ニュース. (2023年2月1日). オリジナルの2023年2月2日時点におけるアーカイブ。 2023年2月2日閲覧。
- ^ “スシローは迷惑客の謝罪拒否、訴訟を準備…店舗の湯飲み洗浄・しょうゆボトル交換”. 読売新聞オンライン. (2023年2月2日). オリジナルの2023年2月2日時点におけるアーカイブ。 2023年2月2日閲覧。
- ^ a b 「スシロー“食器ペロペロ“問題、当事者と保護者が謝罪も「厳正に対処」へ 法的措置を継続」『ITmedia』2023年2月1日。オリジナルの2023年2月1日時点におけるアーカイブ。2023年2月2日閲覧。
- ^ 「Viral video of Japanese student licking conveyer belt sushi prompts legal action」『NextShark』2023年2月2日。オリジナルの2023年2月2日時点におけるアーカイブ。2023年2月2日閲覧。
- ^ “「スシロー迷惑動画」17歳少年を書類送検 唾液付いた指ですし触る器物損壊疑い、岐阜県警”. 岐阜新聞. (2023年6月29日) 2023年7月13日閲覧。
- ^ “スシロー迷惑動画、しょうゆ差しなめた少年を提訴…6700万円損賠請求”. 読売新聞 (2023年6月8日). 2023年6月8日閲覧。
- ^ “スシロー、しょうゆ差しなめた少年への6700万円請求を取り下げ…調停が成立「答えられない」”. 読売新聞 (2023年8月1日). 2023年8月1日閲覧。
- ^ “スシロー「納得できる相応の内容」、しょうゆ差しなめた少年への訴え取り下げでコメント”. 産経新聞. (2023年8月1日) 2023年8月1日閲覧。
- ^ “スシロー迷惑動画、17歳少年を器物損壊で家裁送致…岐阜地検”. 読売新聞. (2023年8月1日) 2023年8月1日閲覧。
- ^ “スシロー全店、注文品だけレーンに流す運用に 「昨今の状況鑑みた」迷惑行為動画で対応”. 京都新聞 (2023年2月3日). 2023年2月3日閲覧。
- ^ “「#回転寿司テロ」なぜ横行? 「不正が起きやすい状況を企業側自ら作り出してしまった」評論家見解”. J-CASTニュース (2023年1月31日). 2023年2月14日閲覧。
- ^ 三輪大輔 (2023年2月1日). “「寿司テロ」格安チェーンばかりで起こる特殊事情”. 東洋経済新報. p. 1. 2023年2月14日閲覧。
- ^ a b “‘Sushi Terrorism’ is the Viral Video Trend Spreading Food Safety Horror in Japan”. TIME (2023年2月1日). 2023年2月13日閲覧。
- ^ 城戸譲 (2023年2月8日). “スシロー、寿司テロ騒動後に社長が見せた「巧さ」”. 東洋経済新報. 2023年2月13日閲覧。
- ^ a b “‘Sushi terrorism’ prank videos in Japan are hurting its famous conveyor belt restaurants”. CNN BUSINESS (2023年2月9日). 2023年2月13日閲覧。
- ^ “今度は寿司に唾液、湯のみ舐め回し…回転寿司店で続く迷惑行為に「もう行けない」「生理的に無理」”. 女性自身 (2023年1月30日). 2023年2月6日閲覧。
- ^ a b c “「すしテロ」動画、日本社会に波紋”. AFP通信 (2023年2月3日). 2023年2月6日閲覧。
- ^ 女性セブン (2023年2月10日). “スシロー迷惑動画で損害賠償どうなる? かつてバイトテロで閉店したそば店の「200万円で和解」が基準か”. マネーポストWEB. p. 1. 2023年2月10日閲覧。
- ^ “スシロー社長「涙がでるぐらい感謝の気持ちでいっぱい」迷惑動画に揺れる中「救いたい」応援の声多数”. スポーツニッポン (2023年2月2日). 2023年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月6日閲覧。
- ^ a b “回転寿司店で不衛生な悪ふざけ動画、日本で大勢が激怒”. BBCNEWS JAPAN. (2023年2月4日) 2023年2月6日閲覧。
- ^ “迷惑動画被害の「スシロー」全品10%オフ!救いたい運動に感謝 社長「今できる精いっぱいのカタチ」”. デイリースポーツ (2023年2月10日). 2023年2月14日閲覧。
- ^ “スシロー“全品10%オフ”で応援に感謝、店内・テイクアウトと一部デリバリーで2月17日まで”. 食品産業新聞社 (2023年2月13日). 2023年2月14日閲覧。
- ^ “「スシロー」1割引き、持ち帰りなどで適用されず返金へ”. 日本経済新聞 (2023年2月16日). 2023年2月17日閲覧。
- ^ “Japan "sushi terrorism" prank videos on social media spark outrage, and sympathy, in Japan”. CBS NEWS (2023年2月3日). 2023年2月13日閲覧。
- ^ 町野幸 (2023年2月7日). “迷惑動画問題で野村農相「非常に残念。我々の年代では…」会見で言及”. 毎日新聞. 2023年2月14日閲覧。
- ^ “スシロー「回るすし」今夏にも再開へ…迷惑行為対策徹底、食品ロス減へレーン限定のネタも”. 讀賣新聞 (2023年5月23日). 2023年5月27日閲覧。
- ^ “「はま寿司」に続き「スシロー」も“デジタル回転寿司” DX専門家に聞く業界の行方”. ITmedia ビジネスオンライン. 2023年11月23日閲覧。