スクールボーイ閣下
『スクールボーイ閣下』(The Honourable Schoolboy)は、イギリスの作家、ジョン・ル・カレが1977年に発表したスパイ小説。
スクールボーイ閣下 The Honourable Schoolboy | ||
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著者 | ジョン・ル・カレ | |
訳者 | 村上博基 | |
発行日 |
1977年9月[1][2] 1979年7月 | |
発行元 |
Hodder & Stoughton 早川書房 | |
ジャンル | スパイ小説 | |
国 | イギリス | |
言語 | 英語 | |
形態 | ハードカバー | |
前作 | ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ (1974年) | |
次作 | スマイリーと仲間たち (1979年) | |
コード | ISBN 0743457919 | |
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概要
編集『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(1974年)の続編である。日本では「スマイリー三部作」の真ん中の作品と称されることが多いが、同じ三部作でも、欧米ではソ連情報部の指揮官カーラの名をとって「The Karla Trilogy」と呼ばれている[2]。
ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞とゴールド・ダガー賞を受賞した。本作品はベストセラーとなり、作者のル・カレは『タイム』1977年10月3日号の表紙を飾った[3]。
主人公はサーカス(イギリス情報局秘密情報部)のチーフとなったジョージ・スマイリーと、前作の『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』にも登場した臨時工作員兼ジャーナリストのジェリー・ウェスタビーの二人。主な舞台は1974年から1975年にかけての香港であるが、ロン・ノル政権下のカンボジアの混乱の模様や、1975年4月30日のサイゴン陥落などが物語の背景として描かれている。
香港外国人記者クラブの長老 "クロウ老人" は、オーストラリア出身の特派員リチャード・ヒューズ(Richard Hughes)をモデルにしていると言われている[4]。
あらすじ
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評価
編集前述のとおりジェイムズ・テイト・ブラック記念賞とゴールド・ダガー賞を受賞しているが、日本では村上春樹が絶賛していることで知られる。村上は邦訳が出た翌年の1980年、雑誌のコラムで「僕は三度読んで、そのたびに興奮した」と述べた[5]。また 2017年に行った翻訳家の柴田元幸との対談でも「僕が好きな訳というと、村上博基さんのジョン・ル・カレ。『スクールボーイ閣下』は何度も読んでいます」と述べている。「どういうふうにいいんですか」と問われた村上は次のように答えた[6]。
村上 生き生きしているんです。ジョン・ル・カレはぐしゃぐしゃした変な文章を書く人なんですが、そのぐしゃぐしゃ性を突き抜けると、すごく感じるものがある。そのぐしゃぐしゃ性を村上さんはすごく理解していて、ジョン・ル・カレに対する愛情が満ちている。だから好きなんです。柴田 原文と比べてみたりしたことあります?
村上 あります。僕も英語で読んだり日本語で読んだりしているので。
柴田 その村上博基さんの訳は、ぐしゃぐしゃさに忠実なわけですね。
村上 忠実です。端折ってないですね。作ってもないです。英語で読んでもぐしゃぐしゃしているし。 — 村上春樹・柴田元幸 『本当の翻訳の話をしよう』 スイッチ・パプリッシング、2019年5月9日、68-69頁。
日本語訳
編集脚注
編集- ^ アダム・シズマン 著、加賀山卓朗、鈴木和博 訳『ジョン・ル・カレ伝 <下>』早川書房、2018年5月25日、119頁。
- ^ a b The Honourable Schoolboy by John le Carré - Goodreads
- ^ 『ジョン・ル・カレ伝 <下>』 前掲書、121頁。
- ^ 『ジョン・ル・カレ伝 <下>』 前掲書、90頁。
- ^ 村上春樹「ル・カレ・ファンとして、涙また涙の『スマイリーズ・ピープル』」 『ハッピーエンド通信』1980年6月号。
- ^ 村上春樹・柴田元幸『本当の翻訳の話をしよう』スイッチ・パプリッシング、2019年5月9日、68-69頁。ISBN 9784884184667。