スイス国民党
スイス国民党(スイスこくみんとう、ドイツ語: Schweizerische Volkspartei, フランス語: Union Démocratique du Centre, イタリア語: Unione Democratica di Centro[2], ロマンシュ語: Partida Populara Svizra)は、スイスの保守政党[1][2]。
スイス国民党 Schweizerische Volkspartei Union Démocratique du Centre Unione Democratica di Centro Partida Populara Svizra | |
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党首 | マルコ・キエーザ |
成立年月日 | 1971年[1][2] |
前身政党 |
農民・職人・市民の党[1][2] スイス民主党[1][2] |
本部所在地 | スイス |
国民議会議席数 |
62 / 200 (31%) |
全州議会議席数 |
6 / 46 (13%) |
党員・党友数 |
90,000人 (2017年6月1日[5]) |
政治的思想・立場 |
右翼[5][6][7][8][9] - 極右[10][11][12] 保守主義[2][5] 国民保守主義[13] 右派ポピュリズム[13][14][15] 経済的自由主義[13] 反移民[8][9] 反イスラム[16] |
公式カラー | ダークグリーン |
公式サイト | SVP Schweiz - Partei - SVP Schweiz |
政策
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党史
編集1917年、チューリヒ州で農工市民党として創立。1929年から連邦内閣に入閣するようになった。1937年には全国政党となり、1971年、グラールス州とグラウビュンデン州の民主党と合併し、国民党と改称した。
スイスは議会統治制の国であり、連邦参事会(連邦評議会とも)と呼ばれる連邦内閣は連邦議会から選出された7人の閣僚(大臣)によって構成される。7閣僚はそれぞれ一つの省を担当し、その中の1人が1年ごとの交替制で大統領職を兼任している。
連邦参事会を構成する7閣僚(交代制大統領職を含む)は1959年以来、議会を構成する上位4政党、すなわち自由民主党(急進民主党)、社会民主党、キリスト教民主党、国民党によって2:2:2:1の割合でポストを配分しており、その配分率はマジック・フォーミュラー(魔法の法則)と呼ばれてきた。しかし国民党は、2003年10月の総選挙で4位から第1党に躍進し、2003年12月10日に連邦議会で実施された閣僚選出選挙により、国民党2名、社民党2名、急進民主党2名、キリスト教民主党1名の割合に変わった。国民党からは、党内右派で躍進に貢献したクリストフ・ブロッハーが新たな閣僚となった。
2007年10月21日投開票の総選挙では、スイス国内で懲役を受けている外国人犯罪者の各母国への強制送還を訴え、自国民を示す白い羊の群れから外国人犯罪者を示す黒い羊が追い出される意匠のポスターを掲げた([1])。この公約は人種差別として、一部のマスコミから激しい批判を受けた。しかし、スイス国民には政策は支持されて選挙結果では7議席増の62議席と、さらに議席を伸ばした。
ところが、2007年年末の内閣選挙で、党内右派のブロッハー司法・警察大臣が不信任を受け、党内左派のエフェリーネ・ヴィドマー=シュルンプフが後任に指名された。この人選を不服とした国民党は、閣僚を拝命したシュルンプフを党の議員会議から締めだし、下野を宣言。さらに2008年6月1日には、シュルンプフや彼女を支持するグラウビュンデン州(シュルンプフの地元)の党員を除名した。また、6月2日、サミュエル・シュミット国防・スポーツ大臣が離党を宣言し、国民党は完全に野党になった。除名、あるいは離党した2人は、新党・スイス保守民主党に移籍した。
2008年12月10日、シュミット国防・スポーツ大臣が辞任し、後任の内閣選挙が行われた。国民党はブロッハーの復帰を望んだが、他党の批判が強く、元党首のウエリ・マウラーも擁立した。他党からはハンスイェルク・ヴァルターを後任に推す動きがあったが(ただしヴァルターは、指名されても辞退すると表明。国民党はブロッハー、マウラー以外の党員を指名した場合はシュルンプフ同様離党させると主張していた)最終的にマウラーが1票差で選出され、国民党は与党に復帰した。
2011年10月23日投開票の総選挙では、第1党を維持したが、54議席と8議席を減らした[17]。同党の議席減は、1967年総選挙以来44年ぶりであった。2015年10月18日に行われた総選挙では、シリアなどからの難民・移民が欧州に押し寄せる中で移民の流入規制を訴えて支持を拡大し、議席を再び65にまで伸ばしている[18]。この結果、国民党の閣僚枠は2を回復したが、閣僚指名選挙では国民党は2枠目に3人を擁立し、ギー・パルムランが当選した[19]。
2019年の連邦議会選挙では、国民議会で12議席減の53議席となった[20]。投票率は25.6%で[21]、全州議会では1議席増の6議席となった[22]。
脚注
編集出典
編集- ^ a b c d “国民党(スイス) こくみんとう(スイス) Schweizerische Volkspartei;Union Démocratique du Centre;Unione Democratica di Centro”. コトバンク. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. 2019年9月4日閲覧。
- ^ a b c d e f The Editors of Encyclopaedia Britannica (Aug 7, 2019). “Swiss People's Party (History, Policies, & Facts)” (英語). britannica.com. ブリタニカ百科事典. Encyclopædia Britannica, Inc.. 2019年9月4日閲覧。
- ^ “スイス総選挙2023 新議会は右寄りに”. Swissinfo. (2023年10月22日) 2023年10月24日閲覧。
- ^ “GROUPS IN THE CHAMBER: COUNCIL OF STATES”. The Federal Assembly — The Swiss Parliament. 2020年1月11日閲覧。
- ^ a b c “Political parties” (英語). Swissinfo. スイス放送協会 (2017年6月1日). 2020年10月9日閲覧。
- ^ Carlisle, Rodney P. (2005) (英語). Encyclopedia of Politics: the left and the right. SAGE Publishing. p. 442. ISBN 9781412904094 2020年10月9日閲覧. "OVERSHADOWED BY the successes of the right-wing Swiss People's Party, the political left in Switzerland struggles to avoid increasing marginalization."
- ^ Silke Koltrowitz (2020年9月23日). “Judge under fire from Swiss right-wing party wins re-election” (英語). ロイター 2020年10月9日閲覧. "The Swiss parliament re-elected supreme court judge Yves Donzallaz on Wednesday after attempts by his right-wing Swiss People’s Party (SVP) to oust him triggered a wave of protests."
- ^ a b “Right-Wing People′s Party Win Swiss Elections” (英語). ドイチェ・ヴェレ. (2007年10月22日) 2020年10月9日閲覧。
- ^ a b “Anti-immigration SVP wins Swiss election in big swing to right” (英語). BBC News (英国放送協会). (2015年10月19日) 2020年10月9日閲覧. "The right-wing, anti-immigration Swiss People's Party (SVP) has won Switzerland's parliamentary election with a record 29.4% of the vote."
- ^ Reuters Staff (2020年2月28日). “Far-right parties in Italy's neighbors call for border checks over coronavirus” (英語). ロイター 2020年10月9日閲覧. "The far-right Swiss People’s Party also called for "strict border control immediately"."
- ^ Michael Shields. “Chances of Swiss-EU treaty deal this month have vanished, sources say” (英語). ロイター 2020年10月9日閲覧. "President Ueli Mauer of the far-right Swiss People’s Party is seeking to meet von der Leyen, whom he knows from when both were defense ministers of their neighboring countries."
- ^ “Most Swiss 'reject far-right plan to end free movement with EU'” (英語). ガーディアン (ガーディアン・メディア・グループ). (2020年1月5日) 2020年10月9日閲覧. "The vote was put on the agenda by the far-right People’s party, which is the largest in parliament and has two of seven seats in the federal cabinet."
- ^ a b c Nordsieck, Wolfram (2019年). “SWITZERLAND” (英語). Parties and Elections in Europe. 2020年10月9日閲覧。
- ^ Mazzoleni, Oskar (2007). “The Swiss People's Party and the Foreign and Security Policy Since the 1990s”. In Christina Schori Liang (英語). Europe for the Europeans: The Foreign and Security Policy of the Populist Radical Right. Ashgate Publishing. p. 223. ISBN 9780754648512 2020年10月9日閲覧. "The leading player in these domestic changes has been the former Agrarian Party, the Swiss People's Party (Schweizerische Volkspartei, SVP), which in recent years has developed a 'radical right-wing' and 'national-populist' ideology and put foreign policy issues at the centre of its agenda."
- ^ International Monetary Fund (2005) (英語). Switzerland: Selected Issues. IMF Staff Country Reports. 5. ワシントンD.C.: International Monetary Fund. p. 97. ISBN 978-1-4527-0409-8 2020年10月9日閲覧. "Since consensus is important to help guide legislation through referenda, the federal government has included the four largest parties since 1959: the populist right-wing Swiss People's Party (SVP), ..."
- ^ Rohe, Mathias (2014). “Sharia and the Muslim Diaspora”. In Peri Bearman; Professor Rudolph Peters (英語). The Ashgate Research Companion to Islamic Law. Ashgate Publishing. p. 261. ISBN 978-1472403711 2020年10月9日閲覧。
- ^ “2011年総選挙、スイスの有権者は「大政党に平手打ち」”. SWI SWISSINFO.CH (2011年10月24日). 2020年1月11日閲覧。
- ^ スイスで反移民政党躍進 総選挙、第1党が議席2割増(日本経済新聞 2015年10月19日 2015年12月23日閲覧)
- ^ 国民党のギー・パルムラン氏、新閣僚に - swissinfo.ch 里信邦子
- ^ “スイスは緑の議会に 総選挙結果”. Swissinfo.ch (2019年10月21日). 2020年1月6日閲覧。
- ^ “議会総選挙で環境系政党が躍進”. JETRO (2019年10月28日). 2020年1月6日閲覧。
- ^ “2019年総選挙 スイス史上3度目の「番狂わせ」”. Swissinfo.ch (2019年11月25日). 2020年1月6日閲覧。