ジャガー・X351
ジャガー・X351(Jaguar X351 )は、イギリスの自動車メーカー、ジャガーが2010年より2019年まで販売したFセグメントに属する高級セダンである。同社のフラッグシップモデルであるXJの4代目にあたり、4代目の通称であるX351は同車の開発コードに由来する。
ジャガー・XJ(4代目) X351 | |
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フロント(日本仕様) | |
リア(日本仕様) | |
概要 | |
製造国 | イギリス |
販売期間 | 2010年-2019年 |
デザイン | イアン・カラム |
ボディ | |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 4ドア セダン |
駆動方式 | FR |
パワートレイン | |
エンジン |
2.0L 直4ターボ 3.0L V6スーパーチャージャー AJ-V6D Gen III型 3.0L V6 ディーゼルターボ AJ-V8 Gen III型 5.0L V8 NA AJ-V8 Gen III型 5.0L V8 スーパーチャージャー |
変速機 |
6速AT 8速DCT |
前 |
前: ダブルウィッシュボーン式 後: マルチリンク式 |
後 |
前: ダブルウィッシュボーン式 後: マルチリンク式 |
車両寸法 | |
ホイールベース |
3,032mm(SWB車) 3,157mm(LWB車) |
全長 |
5,122mm(SWB車) 5,247mm(LWB車) |
全幅 | 1,894mm |
全高 | 1,448mm |
車両重量 |
1,755-1,892kg(SWB車) 1,773-1,915kg(LWB車) |
その他 | |
トレッド |
前: 1,604mm 後: 1,626mm |
データモデル | 欧州仕様車 |
系譜 | |
先代 | ジャガー・X350/358 |
概要
編集2009年7月9日、イギリスの首都ロンドンに位置する現代美術専門美術館サーチ・ギャラリーにて世界初公開された。
XJとしては、2003年に発表されたX350以来となる6年ぶりのフルモデルチェンジで、同社のブランド・フィロソフィーである「Beautiful Fast Car -美しく、速いクルマ-」をコンセプトに開発されている。
メカニズム
編集ボディの99%をアルミ合金とし[3]、溶接ではなく接着とリベットのみで組み立てられる[4]ジャガーの次世代アルミニウムボディ構造を初採用したことで先代XJより10%軽量化、同車のライバルとされる他のFセグメント車より約150kg軽量となった。なお、先代XJも接着・リベット構造を採用していたが、リベットの数は先代モデルより11%少ない2,800個[※ 1]となっている[5]。加えてリサイクル原料を50%使用した軽量アルミニウム構造を実現したことでカーボンフットプリントを最小限に抑えることにも寄与している[6][7]。
ショートホイールベース車とロングホイールベースの2種類が用意され、LWB車はホイールベースが125mmされて後席スペースが134mm延長、レッグスペースが1,121mmとなる[4]。またLWB車には前席シートバックに格納式テーブルが装備される。
エンジンは当初は、5.0L V8のAJ-V8 Gen III型NAエンジンおよび同型のスーパーチャージャー付エンジンが用意され、欧州仕様向けには3.0L V6のAJ-V6D Gen III型ディーゼルツインターボエンジンも用意されていた。なお、スーパーチャージャー付V8エンジンには「ポートフォリオ」用の470PS仕様と「スーパースポーツ」用の510PS仕様が用意された。2013年モデルではダウンサイジングコンセプトが導入され、NAの5.0L V8に代わり、2.0L直4ターボと3.0LV6スーパーチャージャーが用意された。
トランスミッションには全車に先代に採用されたものをベースに改良されたZF製6HP28型6速ATが組み合わせられ[5]、2代目XKやXFと同様に変速はダイヤル式の「ジャガードライブセレクター」で行われるほか、パドルシフトも装備される[8]。
型式 | 種類 | 排気量 | 内径×行程 (mm) | 最高出力 | 最大トルク | 0-96km/h |
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AJ-V6D Gen III | V型6気筒 DOHC ターボチャージャー | 2,993cc | 84.0×90.0 | 202kW (275PS) /4,000rpm | 600N·m (61.1kgf·m) /2,000rpm | 6.0秒 |
AJ-V8 Gen III | V型8気筒 DOHC 自然吸気 | 5,000cc | 92.5×93.0 | 283kW (385PS) /6,500rpm | 515N·m (52.5kgf·m) /3,500rpm | 5.4秒 |
V型8気筒 DOHC スーパーチャージャー | 346kW (470PS) /6,000-6,500rpm | 575N·m (58.6kgf·m) /2,000-5,000rpm | 4.6秒 | |||
375kW (510PS) /6,000-6,500rpm | 625N·m (63.7kgf·m) /2,500-5,500rpm | 4.7秒 | ||||
204PT | 水冷直列4気筒 DOHC ターボチャージャー | 1,998cc | 87.5×83.1 | 177kW (240PS) /5,500rpm | 340N·m /1,750rpm | 7.5秒 |
306PN | 水冷V型6気筒 DOHC スーパーチャージャー | 2,994cc | 92.5×93.0 | 250kW (340PS) /6,500rpm | 450N·m /2,500rpm | 5.9秒 |
デザイン
編集エクステリア
編集1968年に発表されたシリーズ1以来、歴代XJに採用されてきた丸型4灯ヘッドランプや「ロングノーズ・ロングデッキ」の伝統的なスタイリングはすべて刷新され、同社のデザイン・ディレクターを勤めるイアン・カラムの指揮の下、大胆かつ斬新なスリークデザインへと昇華された[9]。なお、開発時にはその伝統的なスタイリングをモチーフとした案もあったが、初期段階で却下されたという[10]。
「ティアドロップ」型のサイドウインドウを中心に据えた特徴的なロングルーフプロポーションは、流れるようなシルエットと空気抵抗係数(Cd値)0.29の優れた空力性能を両立させ、また、新たに採用されたパノラミックサンルーフが車内の明るさやスペース感を劇的に高めているだけでなく、同社のサルーン史上最上級の室内空間も実現している[6]。
インテリア
編集シート、インストルメントパネル、ドアトップ、センターコンソール、アームレストといったインテリアの主要部位表面には、全てレザー張りが施され、クラフトマンシップを感じさせる丁寧なステッチで縫い合わされている[11]。また、カラーテーマは14種類、オーナメントパネルは11種類、レザーカラーは10種類、レザーマテリアルは3種類それぞれ用意され、オーナーの嗜好に応じたオーダーメイド感覚の豊富な組み合わせを可能としている[11]。
インストルメントパネルには、同社で初めて「Jaguar iTech[※ 2]」が採用され、従来の「フィジカルインストルメントクラスター」に代わる高解像度ディスプレイを用いた「バーチャルインストルメント」が計器盤に配されている。
ラインナップ
編集X351(日本仕様)一覧表
編集名称 | 販売期間 | 車両型式 | エンジン型式 | 新車価格 | 備考 |
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Luxury | 2010年5月15日-2011年9月 | CBA-J12LA | AJ-V8 Gen III 385PS |
1000.0万円 | 2009年8月17日、全国のジャガー正規販売店にて予約注文を開始。 2009年9月30日、日本上陸。報道機関向け発表会を同時開催。 2010年5月15日、全国のジャガー正規販売店にて販売を開始を予定していたが、アイスランドでの火山噴火の影響で一部機材の調達が遅れたため、6月19日に発売を延期した。 |
Premium Luxury | 1150.0万円 | ||||
Portfolio | AJ-V8 Gen III 470PS |
1320.0万円 | |||
Portfolio LWB | CBA-J24MA | 1600.0万円 | |||
Supersport スタンダードホイールベース |
CBA-J12MA | 508PS | 1655.0万円 | ||
Supersport ロングホイールベース |
CBA-J24MA | 1755.0万円 |
2012年モデルは2011年7月20日発表、9月発売。価格が10 - 60万円値上げされた[13]。
名称 | 販売期間 | 車両型式 | エンジン型式 | 新車価格 | 備考 |
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Luxury | 2012年12月11日-2013年9月23日 | CBA-J12PB | 204PT | 900万円 | 2012年12月11日、マイナーチェンジ。 V6・3.0LとV8・5.0Lの自然吸気モデルを廃止。 V6・3.0Lスーパーチャージャー、直列4気筒・2.0Lターボおよび従来からのV8・5.0Lスーパーチャージャーの3種になった。 |
Premium Luxury | CBA-J128B | 306PN | 1090万円 | ||
Portfolio | CBA-J12B | 1290.0万円 | |||
Supersport スタンダードホイールベース |
CBA-J12MA | 508PS | 1685.0万円 | ||
Supersport ロングホイールベース |
CBA-J24MA | 1825.0万円 |
2014年モデルは2013年9月24日発表、受注開始。5.0スーパースポーツのショートホイールベース仕様がなくなり、代わって10月にV8・5.0L・550psエンジンを搭載する「XJR」が導入された。価格は1695万円[15][16]。
2016年モデルは2015年11月4日受注開始。「XJオートバイオグラフィー ロングホイールベース」(2016万円)と「XJ 3.0ラグジュアリー」(1100万円)を追加[17]。
2017年モデルは2016年9月16日受注開始。スポーツシートやリアスポイラーなどを装備した「Rスポーツ」(1404万円)を追加。[18]
2018年モデルは2017年10月13日発表。「XJR575」(1887万円)を追加。V8・5.0Lスーパーチャージャーエンジンを575psまで強化したほか内外装に専用デザインを採用。直列4気筒2.0Lエンジンは廃止された[19]。
2019年モデルは2018年9月21日発表。XJの誕生50周年を記念した2019年モデル限定グレード「XJ50」(1321万円)と、20台限定の特別仕様車「XJスポーツ&ラグジュアリー」(1258万円)を設定した[20]。
2019年10月21日、XJR575をベースにした、X351型ジャガーXJ最後の特別仕様車「XJR575“V8”ファイナルエディション」を設定。20台限定で、1968万円という価格は初代の「XJシリーズ1」誕生年にちなむ[21]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “ジャガー最上級サルーンXJ、現行型は7月生産終了 次期型はEVに XJの名を継承”. AUTOCAR JAPAN (2019年6月4日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “Jaguar Will Discontinue The XJ Sedan In July”. tflcar.com (2019年5月30日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ 新型ジャガーXJのすべて メカニズム詳密解説
- ^ a b 新型ジャガーXJのすべて 車両概要
- ^ a b 新型ジャガーXJのすべて チーフ・プログラム・エンジニア インタビュー
- ^ a b ジャガー ニューXJ、2010年5月15日(土)より発売開始 Jaguar Japan - Jaguar Cars
- ^ 【上海09】7月9日にロンドンで新型ジャガーXJが発表 ホビダス・オート
- ^ 新型ジャガーXJ発表、新世代ジャガースタイルに一新 ホビダス・オート
- ^ 【ジャガー XJ 日本発表】最も美しいのはサイドビュー Response.
- ^ 新型ジャガーXJのすべて 試乗記
- ^ a b ジャガーの旗艦「XJ」が日本に上陸 webCG
- ^ “新型「ジャガーXJ」、発売日決まる”. webCG (2010年3月26日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “ジャガー、「XJ」シリーズの2012年モデルを発表”. webCG (2011年7月21日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “ジャガーXF/XJがパワートレインを一新”. webCG (2012年12月11日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “「ジャガーXJ」2014年モデルはさらに快適に”. webCG (2013年9月24日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “最高出力550psの「ジャガーXJR」登場”. webCG (2013年10月4日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “ジャガーXJに装備を強化した2016年モデル登場”. webCG (2015年11月4日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “ジャガーが「XJ」の2017年モデルを日本に導入”. webCG (2016年9月16日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “ジャガーが「XJ」の2018年モデルを日本に導入”. webCG (2017年10月13日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “「ジャガーXJ」の2019年モデル登場”. webCG (2018年9月21日). 2023年7月22日閲覧。
- ^ “現行型「ジャガーXJ」に最後の特別仕様車「“V8”ファイナルエディション」登場”. webCG (2019年10月21日). 2023年7月22日閲覧。
参考文献
編集- モーターファン別冊 ニューモデル速報 インポート vol.11『新型ジャガーXJのすべて』三栄書房、2010年6月 ISBN 978-4-7796-0876-6