シンビオン
シンビオン属 (Symbion) は、アカザエビ類に付着して生活する小型の無脊椎動物である。近縁の種がいないため、有輪動物門という新しい門を与えられた。有輪動物門に含まれるのはこの1属のみである。
シンビオン属 | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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種 | |||||||||||||||||||||||||||
シンビオン属ではじめて記載されたのはS. pandora(パンドラムシ)である。この種は1995年にReinhardt KristensenとPeter Funchによって、ノルウェー近海の大西洋に生息するアカザエビ科の一種ヨーロッパアカザエビの口器から発見された。シンビオンという名前は、エビに片利共生しているところから、共生を意味する英単語 symbiosis に因んで命名された。種小名 pandora はパンドラの箱に由来する。これは、固着世代の体内に、出芽しようとする固着世代や遊泳世代、さらにその遊泳世代の体内に含まれた固着世代が存在する様を"何が入っているか分からない"パンドラの箱に見立てたものである[1]。
その後、アメリカウミザリガニからS. americanusが発見されたほか、ヨーロッパウミザリガニからも1種が見つかっているが、これはまだ命名されていない。 系統学的な位置ははっきりと分かっていない。当初は構造的な類似性から外肛動物や内肛動物に近いとされたが[1]、現在では遺伝学的な解析によって、担顎動物により近いと考えられている[疑問点 ]。
形態的な特徴
編集S. pandoraは左右相称であり、その体は袋状で体腔を持たない。丸い胴体と固着するための柄を備え、胴体の前端には繊毛冠がある。全体の感じはワムシ類にも似ている。細部については生活環の各段階で異なるので、下記の生殖の項を参照されたい。
生殖
編集以下のような世代交代を行う生活史を持ち、有性生殖と出芽による無性生殖の両方を行う。
- 無性世代
- 固着性無性世代 - 長さは347μm、太さは113μmである。尾部には付着盤で、宿主に固着している。頭部には繊毛を持つ漏斗状の口と肛門を持ち、濾過食性である。
- 遊泳性無性世代 - パンドラ幼生と呼ばれる。固着性無性世代から放出されて遊泳するが、遊泳期間は短く、同じ宿主個体に固着し、固着性無性世代に変態する。
- 有性世代
参考文献
編集- ^ a b P. Funch & R. M. Christensen (1995). “Cycliophora is a new phylum with affinities to Entoprocta and Ectoprocta”. Nature 378: 711–714. doi:10.1038/378711a0 .
- M. Obst, P. Funch & G. Giribet (2005). “Hidden diversity and host specificity in cycliophorans: a phylogeographic analysis along the North Atlantic and Mediterranean Sea”. Molecular Ecology 14: 4427–4440. doi:10.1111/j.1365-294X.2005.02752.x .
- 白山義久(編集)『無脊椎動物の多様性と系統(節足動物を除く)』裳華房〈バイオディバーシティ・シリーズ5〉、2000年。ISBN 4785358289。
- 白山義久ほか『水の生物』小学館〈小学館の図鑑NEO〉、2005年。ISBN 4092172079。