シンシロ
『シンシロ』(日本語発音: [ɕinɕiɺo])は、日本のロック・バンド、サカナクションのスタジオ・アルバム。バンドのフロントマン山口一郎によって作詞・作曲されたアルバムは、ビクターエンタテインメントより2009年1月21日にCDとしてリリースされた。バンドは本作でレーベルをビクターエンタテインメントの傘下にあたるレーベル、BabeStar Labelからビクターエンタテインメントに移籍しリリースした。タイトルの「シンシロ」には「新色の白」という意味が含まれている。
『シンシロ』 | ||||
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サカナクション の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
ジャンル |
ロック[1] エレクトロニカ[1] テクノ ニューウェイヴ[2] IDM (#5)[2] | |||
時間 | ||||
レーベル | ビクターエンタテインメント | |||
チャート最高順位 | ||||
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サカナクション アルバム 年表 | ||||
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EANコード | ||||
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『シンシロ』収録のシングル | ||||
ミュージックビデオ | ||||
「セントレイ」 - YouTube 「ネイティブダンサー」 - YouTube |
アルバムは、前作『NIGHT FISHING』の制作時まで活動していた札幌を離れ、東京に拠点を移動し、制作されている。これは、前作のアルバムのリリース後からオファーが来ていたマネジメント会社と契約を交わしたことによる移動であり、バンドは移動までにメンバー同士の交渉などを重ねている。また、東京に進出し、兼業していた職を辞職し、バンド活動のみとなったために今までより音楽に手が伸ばせるようになったなどバンドにとっての変化が見られる。「シンシロ」は複数の音楽評論家からの肯定的評価を得ている。音楽雑誌、『CDJournal』は、アルバムそれぞれのアレンジをメンバーそれぞれが担当しているのに対して、まとまったアルバムとして完成されていることに対して称賛した。一方で、オールミュージックのアレクセイ・エレメンコは、バンドの音楽性を日本のロック・バンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの作品と比較し、星を3.5与えた。アレクセイは、バンドがいままでにないニューウェイブを創り出している、と肯定的にコメントもしたが、「あまりにも曲が軽快すぎる」として批判的なコメントも残している。
背景と制作
編集バンドはアルバム『NIGHT FISHING』のリリース後より複数のマネジメント会社からオファーが来ていた。バンドのメンバーは当初どこと契約をするかと考える上で、メンバーらの地元である札幌から出ることを考えていなかった。また、ほとんどのマネジメント会社も同様に東京へ進出することを提言する企業はなかった。しかし、その中でヒップランドは「いずれは東京で活動してほしい」とバンドに提言。事務所とフロントマン、山口一郎が商談を進める上で、ヒップランドに「外に発信しなくてはいけない」と言われたことや、山口が「もっと多くの人に聴いてもらいたい」などといった意志があったため、メンバーと交渉したところ、快諾。山口らバンドはヒップランドと契約し、東京へ拠点を移動した[7]。また、バンドは東京に移る際に兼業していた職を辞職し、東京進出している。これにより、音楽しか時間が無くなった分、今まで手が伸ばせるようになったという[8]。今作でバンドはアルバムの制作方法を大きく変えており、製作地が東京になっただけではなく、アルバムのそれぞれの楽曲は各メンバーがデモ音源を1人で編曲し、それぞれの曲の主導権を各自に持たすことによって、楽曲それぞれにメンバーながらのアレンジがされている[7]。また、アルバムに収録されている「雑踏」は、バンドが山口とギター、岩寺基晴の2人で活動していた当時からの楽曲であり、アルバムに収録された楽曲のなかでは唯一アウトロを編集されたのみで、原型のまま収録されている[9][10]。楽曲、「アドベンチャー」は、元々アルバムの先行シングルになる予定であった。しかし、楽曲、「セントレイ」が出来たことにより、「アドベンチャー」が狙った楽曲になり、「セントレイ」が先行シングルとして発売となった[11]。
画像外部リンク | |
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en:File:Shinshiro j.jpg - 英語版ウィキペディアのシンシロのジャケットの画像ファイルへのリンク。 |
アルバムのタイトルの「シンシロ」は、バンドが構想をまとめているスケッチブックを今作で白紙に戻し、「新しい白」、「新色の白」を作るつもりでいこうという構想の元名付けられた[8]。アルバムのディスクジャケット・アートワークをアートクリエイティブ集団・hatosが務めており、「シンシロ」と言葉で発音した際に現れる波紋をデータに録り、表したデザインとなっている[12]。
プロモーションとリリース
編集映像外部リンク | |
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ネイティブダンサー - YouTube - サカナクションのレーベル、ビクターエンタテインメント内レーベル「NFRecords sakanaction」公式チャンネルによるプロモーション・ビデオへのリンク。 |
アルバムは、先行シングルとして2曲がビクターエンタテインメントより、リリースされている。2008年12月10日には、マキシシングルとして『セントレイ』が[13]、2009年2月9日には、『ネイティブダンサー』が配信シングルとしてリリースされた[14]。また、「ネイティブダンサー」は、監督、児玉裕一でプロモーション・ビデオが制作されており[14]、作品は『SPACE SHOWER Music Video Awards』でコンセプチュアル・ビデオ賞を受賞している[15]。
バンドは、アルバムの発売を記念し、ライブツアー『SAKANAQUARIUM 2009“シンシロ”』を開催している[14][16][17]。ツアーは、日本では、京都、名古屋、福岡、大阪、岡山、広島、東京・赤坂、金沢、新潟、仙台、札幌で行われた[14][16]。また、バンドは海外公演も行っており、2009年に韓国のイムジン閣平和ヌリ公園で行われたロック・フェスティバル、『GENTRA X SSAMZIE SOUND FESTIVAL』に唯一韓国国外のアーティストとして出演している[17]。
評価
編集評論家の評価
編集音楽評論家によるレビュー | |
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レビュー・スコア | |
出典 | 評価 |
『VIBE』 | 中立的[18] |
ListenJapan | 肯定的[1] |
『CDJournal』 | 肯定的 |
オールミュージック | [19] |
「シンシロ」は複数の音楽評論家から賛否両論の評価を得ている。音楽雑誌『VIBE』の山田美央は、詩的なレビューを展開しており、バンドの音楽性を独自の表現で評価している[18]。音楽配信サイト、ListenJapanの伊勢四郎は、「90'sオルタナティヴ・ロック、ニューウェイヴ、テクノポップ、ハウス、アンビエント、ブラック・ミュージック……などの要素を、自由に気の趣くままに料理した、サカナクションならではのサウンドがこれまで以上にきっちりと丁寧に鳴らされている」とし、バンドを逸材と評した[1]。音楽雑誌、『CDJournal』は、アルバムそれぞれのアレンジをメンバーそれぞれが担当しているのに対して、まとまったアルバムとして完成されていることに対して称賛した[20]。データベースサイト、オールミュージックのアレクセイ・エレメンコは、バンドの音楽性を日本のロック・バンド、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの作品と比較し、星を3.5与えた。アレクセイは、バンドがいままでにないニューウェイブを創り出している、と肯定的にコメントしている。しかし、「あまりにも曲が軽快すぎる」として批判的なコメントも残している[19]。また、第2回『CDショップ大賞』では、バンドは「シンシロ」で入賞をしている[21]。
チャート成績
編集オリコンの調査によると「シンシロ」は、2009年1月21日にフィジカルとしてリリースされた後、発売初週に1万2,000枚を売り上げている。これは、過去作であるアルバム2作品、『GO TO THE FUTURE』および『NIGHT FISHING』の2枚を合計した以上の売り上げであり、バンドにとっての快挙となった[22]。
収録曲
編集全作詞: 山口一郎。 | |||
# | タイトル | 作曲 | 時間 |
---|---|---|---|
1. | 「Ame (B)」 | 山口一郎 | |
2. | 「ライトダンス」 | 山口一郎 | |
3. | 「セントレイ」 | 山口一郎 | |
4. | 「ネイティブダンサー」 | 山口一郎 | |
5. | 「minnanouta」 | サカナクション | |
6. | 「雑踏」 | 山口一郎 | |
7. | 「黄色い車」 | 山口一郎 | |
8. | 「enough」 | 山口一郎 | |
9. | 「涙ディライト」 | 山口一郎 | |
10. | 「アドベンチャー」 | 山口一郎 | |
11. | 「human」 | 山口一郎 | |
合計時間: |
チャート
編集チャート(2008年) | 最高 順位 |
出典 |
---|---|---|
日本・Billboard Top Albums Sales | 11 | [23] |
オリコンアルバムチャート | 8 | [24] |
チャート(2015年) | 最高 順位 |
出典 |
オリコンアルバムチャート | 64 | [22] |
売り上げ
編集集計団体 | 売り上げ/枚 | 出典 |
---|---|---|
オリコン | 3万4,000枚 | [22] |
発売日一覧
編集国/地域 | 発売/発信元 | 発売日 | 規格 | 規格品番 | 出典 |
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日本 | ビクターエンタテインメント | 2009年1月21日 | CD(期間限定価格盤) デジタル・ダウンロード |
VICL-63223 | [25] |
2009年3月24日 | レンタルCD | VICL-63224 | [26] | ||
台湾 | ロックレコード | 2009年4月10日 | CD | GUT2262 | [27] |
韓国 | J-Box Entertainment | 2009年4月13日 | デジタル・ダウンロード | — | [28] |
世界 | ビクターエンタテインメント | 2009年7月15日 | デジタル・ダウンロード | — | [29] |
韓国 | Mnet Media | 2009年10月8日 | CD | 2383479 | [30] |
日本 | ビクターエンタテインメント | 2015年3月18日 | ロスレス圧縮デジタル・ダウンロード | VEAHD-10614 | [31] |
2015年3月25日 | CD、LP | VICL-64345, VIJL-60148〜9 | [32] |
ライブ映像作品
編集曲名 | 作品名 | 備考 |
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Ame(B) | SAKANAQUARIUM 2010 (B) | |
SAKANATRIBE 2014
-LIVE at TOKYO DOME CITY HALL- |
『-SAKANATRIBE MIX-』の副題が追加され、リミックスバージョンで演奏された。
シングル用に再構築したものが「さよならはエモーション/蓮の花」に収録されている。 | |
834.194 | 完全生産限定盤に収録された、デビュー10周年を記念して行われたイベント
「"2007.05.09 - 2017.05.09" -LIVE AT STUDIO COAST 2017.05.09-」のOPENINGに一部使われた。 | |
ライトダンス | SAKANAQUARIUM 2010 (B) | |
SAKANAQUARIUM 2010 (C) | ||
セントレイ | →「セントレイ」を参照
| |
ネイティブダンサー | →「ネイティブダンサー (サカナクションの曲)」を参照
| |
enough | SAKANAQUARIUM 2010 (B) | |
834.194 | 完全生産限定盤に収録された、デビュー10周年を記念して行われたイベント
「"2007.05.09 - 2017.05.09" -LIVE AT STUDIO COAST 2017.05.09-」で スタイリスト 北澤"momo"寿志のリクエストで演奏された。 | |
涙ディライト | SAKANAQUARIUM 2010 (B) | |
834.194 | 完全生産限定盤に収録された、デビュー10周年を記念して行われたイベント
「"2007.05.09 - 2017.05.09" -LIVE AT STUDIO COAST 2017.05.09-」で 照明 平山和裕のリクエストで演奏された。 | |
アドベンチャー | SAKANAQUARIUM 2010 (B) | |
SAKANAQUARIUM 2010 (C) | ||
SAKANAQUARIUM 2011
DocumentaLy -LIVE at MAKUHARI MESSE- | ||
SAKANAQUARIUM 2013
sakanaction -LIVE at MAKUHARI MESSE 2013.5.19- | ||
魚図鑑 | 初回生産限定盤A・Bに同梱のディスク<SAKANAQUARIUM ARCHIVE>に
本曲を含むディスク初収録の映像作品『EXCLUSIVE DIGITAL LIVE FILMSAKANAQUARIUM 2009 “シンシロ”FINAL@PENNY LANE 24』が収録されている。 |
脚注
編集- ^ a b c d 伊勢四郎. “新作レビュー シンシロ”. Listen.jp. February 1, 2009時点のオリジナルよりアーカイブ。February 24, 2015閲覧。
- ^ a b Alexey Eremenko. “Shinshiro - Sakanaction Songs, Reviews, Credits” (英語). AllMusic. 2020年2月24日閲覧。
- ^ “シンシロ(期間限定プライス盤)”. TSUTAYA. 2020年5月22日閲覧。
- ^ “シンシロ”. billboard japan. 2020年5月22日閲覧。
- ^ “シンシロ(スペシャルプライス盤)”. billboard japan. 2020年5月22日閲覧。
- ^ "レクリエーション". 10 December 2012. JFN. TOKYO FM. 2016年3月30日閲覧。
{{cite episode}}
:|series=
は必須です。 (説明) - ^ a b 兵庫慎司 (2011年). “特集 サカナクション”. RO69. ロッキングオン. pp. 3-4. February 17, 2015閲覧。
- ^ a b 麦倉正樹 (January 1, 2009). “サカナクション インタビュー”. Excite. p. 1-2. August 23, 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。February 26, 2015閲覧。
- ^ 土田 真弓 (2009年1月15日). “サカナクション”. タワーレコード. pp. 1-4. 2015年2月26日閲覧。
- ^ “話題のテクノ・ロックバンド、サカナクションが3rdアルバム発表!”. Listen Japan. 2010年3月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月13日閲覧。
- ^ 平賀哲雄 (January 21, 2009). “『サカナクション』 SPECIAL INTERVIEW”. Hot Express. February 26, 2015閲覧。
- ^ “サカナクション「シンシロ」ジャケで波形が見える”. ナタリー. ナターシャ (December 23, 2008). February 27, 2015閲覧。
- ^ “サカナクション新曲タイトルにちなんで千円ライブ”. ナタリー. ナターシャ (2008年12月12日). February 17, 2015閲覧。
- ^ a b c d “サカナクション「ネイティブダンサー」のPVは「UNIQLOCK」CMチーム制作”. BARKS (January 19, 2009). February 24, 2015閲覧。
- ^ “児玉裕一監督が3年連続最優秀監督賞!”. White Screen (March 19, 2009). February 26, 2015閲覧。
- ^ a b “サカナクション アルバム『シンシロ』レコ発全国ツアーが全公演ソールドアウト!”. RO69. ロッキングオン (February 25, 2009). February 27, 2015閲覧。
- ^ a b “サカナクション、韓国のオーディエンスを熱くさせた初の海外公演”. BARKS (October 16, 2009). February 27, 2015閲覧。
- ^ a b 山田美央 (January 20, 2008). “サカナクション『シンシロ』”. VIBE. February 24, 2015閲覧。
- ^ a b Alexey Eremenko. “Sakanaction Shinshiro”. AllMusic. February 24, 2015閲覧。
- ^ “サカナクション / シンシロ [限定]”. [ CDJournal. February 24, 2015閲覧。
- ^ “第2回(2010)CDショップ大賞結果”. 全日本CDショップ店員組合. April 24, 2015閲覧。
- ^ a b c “オリコンランキング情報サービス「you大樹」”. オリコン. August 31, 2015閲覧。
- ^ “2009/02/02付:Japan Billboard Top Albums Sales”. Billboard. 阪神コンテンツリンク (January 29, 2009). January 10, 2016閲覧。
- ^ “シンシロ”. オリコン. December 13, 2014閲覧。
- ^ “【CD】シンシロ<通常価格盤>”. タワーレコード. February 16, 2015閲覧。
- ^ “シンシロ(通常盤)”. ビクターエンタテインメント. February 26, 2015閲覧。
- ^ “sakanaction 魚韻 / 新白” (中国語). Books.com.tw. February 17, 2015閲覧。
- ^ “シンシロ (Shinshiro)” (韓国語). Bugs. February 17, 2015閲覧。
- ^ “サカナクション、ライヴ音源第2弾をiTunes限定配信&アルバム世界配信”. BARKS (July 3, 2009). February 17, 2015閲覧。
- ^ “サカナクション(사카낙션) - シンシロ [신시로]” (韓国語). Hot Tracks. April 18, 2015閲覧。
- ^ “シンシロ”. Onkyo & Pioneer Innovations Corporation (March 18, 2015). March 27, 2015閲覧。
- ^ “サカナクション、アナログ&ハイレゾ配信企画始動”. ナタリー. ナターシャ (February 10, 2015). February 17, 2015閲覧。