シヌクレイン
シヌクレイン(英: synuclein)は、脊椎動物に共通して存在するタンパク質ファミリーであり、主に神経組織や特定の腫瘍で発現している[1]。
Synuclein | |||||||||
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識別子 | |||||||||
略号 | Synuclein | ||||||||
Pfam | PF01387 | ||||||||
InterPro | IPR001058 | ||||||||
SCOP | 1xq8 | ||||||||
SUPERFAMILY | 1xq8 | ||||||||
OPM superfamily | 150 | ||||||||
OPM protein | 1xq8 | ||||||||
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シヌクレインという名称は、"synapse"(シナプス)と"nucleus"(神経核)の合成語であり、シビレエイの発電器官のelectromotor nucleusと呼ばれる神経核のシナプスで初めて発見されたことに由来する[2]。
ファミリーのメンバー
編集シヌクレインファミリーには、α-シヌクレイン、β-シヌクレイン、γ-シヌクレインの3つの既知のメンバーが含まれる。常染色体優性型パーキンソン病のいくつかの家系でα-シヌクレインの変異が発見されたことで、シヌクレインファミリーに大きな関心が寄せられることとなった[3]。
全てのシヌクレインには共通して、αヘリックスからなる高度に保存された脂質結合モチーフが存在し、このモチーフは交換性アポリポタンパク質(exchangeable apolipoprotein)のクラスA2脂質結合モチーフ(class A2 lipid-binding motif)と類似している。シヌクレインファミリーのメンバーは脊椎動物以外には存在しないが、植物のLEAタンパク質との構造的類似性が一部にみられる[1]。
機能
編集どのシヌクレインタンパク質に関しても、正常な細胞での機能は明らかにされていない。一部のデータからは、膜の安定性やターンオーバーの調節に関与していることが示唆されている[4]。α-シヌクレインの変異は早発性家族性パーキンソン病と関係しており、パーキンソン病、レビー小体型認知症やその他の神経変性疾患ではα-シヌクレインの異常な凝集体が形成されている[5][6]。脳腫瘍におけるγ-シヌクレインの発現は、腫瘍のプログレッションのマーカーとして利用される[7][8]。
出典
編集- ^ a b George JM (2002). “The synucleins”. Genome Biol. 3 (1): REVIEWS3002. doi:10.1186/gb-2001-3-1-reviews3002. PMC 150459. PMID 11806835 .
- ^ “SYNUCLEIN | Definition of SYNUCLEIN by Oxford Dictionary on Lexico.com also meaning of SYNUCLEIN”. web.archive.org (2021年5月21日). 2022年12月24日閲覧。
- ^ “Mutation in the alpha-synuclein gene identified in families with Parkinson's disease.”. Science 276 (5321): 2045–7. (1997). doi:10.1126/science.276.5321.2045. PMID 9197268 .
- ^ Kara E (2021). “An integrated genomic approach to dissect the genetic landscape regulating the cell-to-cell transfer of α-synuclein”. Cell Reports 35 (10): 109189. doi:10.1016/j.celrep.2021.109189. PMC 8207177. PMID 34107263 .
- ^ “Alpha synuclein in neurodegenerative disorders: murderer or accomplice?”. Nat Med 4 (7): 755–7. (1998). doi:10.1038/nm0798-755. PMID 9662355 .
- ^ Goedert M (July 2001). “Alpha-synuclein and neurodegenerative diseases”. Nat. Rev. Neurosci. 2 (7): 492–501. doi:10.1038/35081564. PMID 11433374.
- ^ “Identification of a breast cancer-specific gene, BCSG1, by direct differential cDNA sequencing.”. Cancer Res 57 (4): 759–64. (1997). PMID 9044857 .
- ^ “Synucleins are expressed in the majority of breast and ovarian carcinomas and in preneoplastic lesions of the ovary”. Cancer 88 (9): 2154–63. (May 2000). doi:10.1002/(SICI)1097-0142(20000501)88:9<2154::AID-CNCR23>3.0.CO;2-9. PMID 10813729.
外部リンク
編集- Synucleins - MeSH・アメリカ国立医学図書館・生命科学用語シソーラス