シクロヘキサノンオキシム

シクロヘキサノンオキシム (Cyclohexanone oxime) は、オキシム基を持つ有機化合物である。無色の固体で、広く使われているポリマーのナイロン6 の重要な中間体である。

シクロヘキサノンオキシム
識別情報
CAS登録番号 100-64-1
PubChem 7517
ChemSpider 7236
特性
化学式 C6H11NO
モル質量 113.16 g mol−1
外観 白色固体
融点

88 - 91 °C

沸点

204 - 206 °C

への溶解度 16 g/kg
危険性
GHSピクトグラム 可燃性急性毒性(低毒性)経口・吸飲による有害性
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H228, H302, H319, H373, H412
Pフレーズ P210, P240, P241, P260, P264, P270, P273, P280, P301+312, P305+351+338, P314, P330, P337+313, P370+378
引火点 110 °C
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

製造

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シクロヘキサノンオキシムは、シクロヘキサノンヒドロキシルアミン縮合反応によって製造される[1]

C5H10CO + H2NOH → C5H10C=NOH + H2O

あるいは、別の工業ルートは、シクロヘキサン塩化ニトロシルとの反応で、これはフリーラジカル反応である。 シクロヘキサンはシクロヘキサノンよりもはるかに安価なので、この方法は有利である。

反応

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シクロヘキサノンオキシムの最も有名で商業的に重要な反応は、ベックマン転位ε-カプロラクタムを生成することである。

 


この反応は硫酸の触媒で進行する[1]。しかし、工業的スケールでは固体酸が使用される[2]。典型的なオキシムでは、ナトリウムアマルガム英語版によって還元されてシクロヘキシルアミンを生成する[3]。酢酸で加水分解してシクロヘキサノンに戻すこともできる。

脚注

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  1. ^ a b J. C. Eck and C. S. Marvel "ε-Benzoylaminocaproic Acid" Org. Synth. 1939, volume 19, pp. 20. doi:10.15227/orgsyn.019.0020
  2. ^ Corma, Avelino; Garcia, Hermenegildo "Organic reactions catalyzed over solid acids" Catalysis Today 1997, volume 38, pp. 257-308. doi:10.1016/S0920-5861(97)81500-1
  3. ^ W. H. Lycan, S. V. Puntambeker, and C. S. Marvel "n-Heptylamine" Org. Synth. 1931, volume 11, pp. 58.doi:10.15227/orgsyn.011.0058