サラサドウダン(更紗灯台[3]・更紗満天星[4]学名: Enkianthus campanulatus)はツツジ科ドウダンツツジ属落葉低木または小高木。深山の林や岩場に生える。別名、フウリンツツジ[3]。花や葉はドウダンツツジよりも大きい[3]

サラサドウダン
福島県会津地方 2010年7月
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類
core eudicots
階級なし : キク類 asterids
: ツツジ目 Ericales
: ツツジ科 Ericaceae
亜科 : ドウダンツツジ亜科 Enkianthoideae
: ドウダンツツジ属 Enkianthus
: サラサドウダン
E. campanulatus
学名
Enkianthus campanulatus (Miq.) G.Nicholson (1885)[1]
シノニム
和名
サラサドウダン

名称

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和名「サラサドウダン」の由来は、花が風鈴のような形で紅色の筋が入り、更紗模様に似ていことから名付けられたもので[5][6]、枝分かれする様子が昔の夜間の明かりに用いた灯台(結び灯台)に似ていることによる[3]。別名でフウリンツツジとも呼ばれている[1][5][6]

分布と生育環境

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日本固有種[3]北海道西南部、本州兵庫県以東[3])、四国徳島県に自然分布し[6]、深山の林や岩地に生育する[5][6]。寒冷な山地に生える[4]。各地で、庭木公園樹としても植えられる[5][3]

特徴

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落葉広葉樹の低木または小高木で[6]、樹高は2 - 5メートル (m) になる[5]。枝は輪生して斜上する[6]。樹皮は若木は灰褐色でなめらか[5][6]。成木の樹皮は暗赤褐色で、小さな鱗片状となってはがれる[6]。若いは無毛。

は長さ3 - 10ミリメートル (mm) の葉柄をもって枝先に輪生状に集まって互生する[5]葉身は倒卵形で、長さ3 - 6センチメートル (cm) [5]、幅1 - 2 cmになり、先端はやや尖るか鈍く、下部は葉柄に流れる。葉の表面には短い毛が散生し、裏面の側脈の基部には褐色の縮れた毛が密生する。葉縁には先端が長い毛状になる微小鋸歯がある[5]。日当たりがよければ、秋には鮮やかな赤色に紅葉する[5][3]。紅葉はドウダンツツジよりも明るい色が多い[4]

花期は6 - 7月[5]。枝先に長さ2 - 3 cmの総状花序をつけ、10個ほどの花が1 - 2 cmの花柄の先端に垂れ下がってつく。は鐘形で4分の1ほどまで5裂する。花冠は長さ8 - 10 mmあり、鐘形(ベル形)で先端は浅く5裂する。花冠の色は、淡黄色で先端が淡紅色になり、紅色の縦条が入る[5][7]雄蕊は10本ある。果実蒴果で上向きにつき、5片に裂けて種子を飛ばす[6]

冬芽は赤褐色をした卵形で長さ6 - 10 mmほどあり、細毛がある5 - 8枚の芽鱗に包まれている[6]。葉痕は扁平な半円形で、維管束痕が1個つく[6]

利用

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花や紅葉を観賞するために、庭園、公園、ビル街の植え込みの植栽に植えられる[5][7]。刈り込みに耐えるので生け垣にも仕立てられる[7]。幹の表面はなめらかで、床柱[注 1]に使われる[5]

変種、品種

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  • シロバナフウリンツツジEnkianthus campanulatus f. albiflorus
  • キバナフウリンツツジE. c. f. lutescens
  • ミヤマドウダンE. c. var. kikuchi-masaoi
  • ベニサラサドウダンE. c. var. palibinii) - 花冠は長さ5 - 6 mmで深紅色。本州の東北地方、関東地方、中部地方の高地にまれに生育する。花の赤色が濃い[3]
  • ツクシドウダン E. c. var. longilobus ) - ベニサラサドウダンに似るが、花冠は3分の1ほど裂ける。九州中北部の山地に生育する。

近縁種

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カイナンサラサドウダン E. sikokianus は、サラサドウダンの変種 (E. campanulatus var. sikokianus) とされることもあるが、独立種と見なすことが多い。花の形や色はよく似ているが、花柄がずっと短いこと、花冠がより深く裂けること、それに花序の軸がずっと長く伸びることで区別される。本州では愛知県、三重県、和歌山県、それに四国の太平洋側に産する。

ドウダンツツジEnkianthus perulatus)は白色、ベニドウダンEnkianthus cernuus f. rubens)は朱紅色の、シロドウダンEnkianthus cernuus f. cernuus)は白色の花を咲かせる[9]

市町村の花

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市の花
町の花
村の花

脚注

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注釈

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  1. ^ 床の間の脇に立つ化粧柱のこと。特に、床の間と違い棚の間にあるもので、銘木を使うことが多い[8]

出典

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Enkianthus campanulatus (Miq.) G.Nicholson サラサドウダン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Tritomodon campanulatus (Miq.) F.Maek. ex Okuyama サラサドウダン(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年1月2日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i 亀田龍吉 2014, p. 24.
  4. ^ a b c 林将之 2008, p. 74.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 89.
  6. ^ a b c d e f g h i j k 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 81
  7. ^ a b c 辻井達一 2006, p. 156.
  8. ^ 床柱とは”. コトバンク. VOYAGE MARKETING. 2021年8月21日閲覧。
  9. ^ 辻井達一 2006, p. 157.

参考文献

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  • 亀田龍吉『落ち葉の呼び名事典』世界文化社、2014年10月5日。ISBN 978-4-418-14424-2 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、81頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、154 - 156頁。ISBN 4-12-101834-6 
  • 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月2日。ISBN 978-4-8299-0187-8 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、89頁。ISBN 4-522-21557-6 

関連項目

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