サユラ航空ボンバルディア CRJ200 墜落事故
サユラ航空ボンバルディア CRJ200 墜落事故(サユラこうくうボンバルディア CRJ200 ついらくじこ)は、2024年7月24日にネパールのトリブバン国際空港で発生した航空事故である。
2019年10月に撮影された事故機 | |
事故の概要 | |
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日付 | 2024年7月24日 |
概要 | 離陸直後に墜落、調査中 |
現場 |
ネパール カトマンズ トリブバン国際空港 |
乗客数 | 17 |
乗員数 | 2 |
負傷者数 | 1 |
死者数 | 18 |
生存者数 | 1 |
機種 | ボンバルディア CRJ200 |
運用者 | サユラ航空 |
機体記号 | 9N-AME[1] |
出発地 | トリブバン国際空港 |
目的地 | ポカラ国際空港 |
事故機には乗客17人、乗員2人の計19人が搭乗しており、搭乗していた19人のうち18人が死亡した。機長は唯一の生存者であった[2][3][4]。
飛行の詳細
編集事故機のボンバルディア CRJ200ER(機体記号9N-AME)は、製造番号7772として製造され、2003年にボンバルディア アビエーション社によって製造されたものである[1]。その後アトランティック・コースト航空に納入され、2017年にサユラ航空に移籍された[5]。
飛行機はカトマンズのトリブバン国際空港からポカラへ飛行する予定で、乗務員2名と機体の定期整備を行う技術者17名を乗せていた[3]。サユラ航空は、機体の整備が7月25日に予定されていると発表していた[6]。
事故
編集墜落は7月24日午後11時15分頃、飛行機が離陸した直後に発生した[6]。飛行機は滑走路からわずかに浮いた後、横転して墜落した。映像と目撃者の証言によると、飛行機は滑走路の南端から離陸し、急傾斜して墜落し、翼端が最初に地面に衝突した。飛行機は衝突時に炎上し、滑走路の東側、航空機格納庫とレーダー基地の間の峡谷に滑り込んだ[7][3]。民間航空大臣バドリ・パンディによれば、機体が地面に衝突する直前に、コックピットは貨物コンテナによって胴体から切り離されたという。コックピットはコンテナにめり込み、機体の残りの部分は峡谷のさらに下へと流された[8][9]。
15人は墜落現場で死亡が、乗客3人は後に病院で死亡が確認され[10]、この墜落事故でイエメン国籍の国民1人を含む18人が死亡した[11][12][13]。機長のマニッシュ・シャキャは墜落事故の唯一の生存者で、命に別状のない負傷を負ってカトマンズ医科大学病院に搬送された[6][14][15][16]。
事故当時、カトマンズでは視界が悪かった[15]。空港職員の一人は、墜落前に飛行機から「割れる音」が聞こえたようだと報告した[6]。
乗員乗客
編集国籍 | 乗客 | 乗務員 | 計 |
---|---|---|---|
ネパール | 16 | 2 | 18 |
イエメン | 1 | 0 | 1 |
合計 | 17 | 2 | 19 |
余波
編集トリブバン国際空港は事故後、一時閉鎖された[3]。犠牲者の遺体は検死のためカトマンズのトリブバン大学付属病院に搬送された[15]。機長は墜落から5分以内に救助され、頭部と顔面に負傷し、背骨を骨折したと述べた[9]。
調査
編集ネパール民間航空局は5人で構成される事故調査委員会(AAIC)を設置した[17]。回収されたコックピットボイスレコーダー(CVR)とフライトデータレコーダー(FDR)が解析のためシンガポールに送られた[18]。
トリブバン国際空港の責任者は、初期調査で飛行機が離陸直後に間違った方向に向かったことが判明したと述べた[6]。
9月5日、AAICは予備報告書を公表した[19]。フライトデータレコーダーの分析によると機体は離陸時に毎秒8.6°の異常に高い機首上げとなっていた。離陸後に機体は振動し始め、右に94.6度傾き高度130フィートから降下して右翼から地面に墜落した。機体は約15秒間飛行し、離陸直後からスティックシェイカーが複数回作動していた[20]。
調査の中で航空会社が荷物の計量、積み込みや固定に関する要件を遵守していなかったことが明らかになった。調査委員会は全ての航空会社は貨物や手荷物の取り扱い要件を遵守しなければならないとする暫定的な安全勧告を発表した[20]。
脚注
編集- ^ a b “18 dead as plane crashes in Kathmandu, pilot survives, taken to hospital”. India Today (2024年7月24日). 2024年7月24日閲覧。
- ^ “ネパール 19人搭乗の飛行機が墜落 18人の死亡確認”. NHK (2024年7月24日). 2024年7月25日閲覧。
- ^ a b c d “At least 18 dead in Nepal plane crash, officials say”. Reuters. (24 July 2024) 24 July 2024閲覧。
- ^ Hradecky (2024年7月24日). “Crash: Saurya CRJ2 near Kathmandu on Jul 24 2024, rolled right and lost height after take off”. The Aviation Herald. 2024年7月24日閲覧。
- ^ “Saurya Airlines CRJ200 fatally crashes during take-off from Kathmandu” (英語). Flight Global (2024年7月24日). 2024年8月14日閲覧。
- ^ a b c d e “Pilot only survivor of fatal Nepal plane crash” (英語). BBC. 2024年7月24日閲覧。
- ^ “Saurya Airlines aircraft crashes during takeoff in Kathmandu” (English). Kathmandu Post. 2024年7月24日閲覧。
- ^ “ネパール首都の空港で小型機墜落、パイロットだけ生存 18人死亡”. BBC Japan (2024年7月24日). 2024年7月25日閲覧。
- ^ a b Bennett, Tom; Dahal, Ashok (25 July 2024). “Pilot survived Nepal crash after cockpit split from plane”. BBC News 25 July 2024閲覧。
- ^ “Captain Shakya, lone survivor of Nepal crash moved to general ward from ICU: Report” (英語). The Indian Express (2024年7月26日). 2024年8月14日閲覧。
- ^ “Nepal: Plane crashes in Kathmandu with 19 on board” (英語). DW. 2024年7月24日閲覧。
- ^ “List of passengers of crashed Saurya Airlines” (英語). The Rising Nepali. 2024年7月24日閲覧。
- ^ “Saurya Airlines plane crash: One among 18 dead victims identified as Yemeni national” (英語). The Rising Nepal. 2024年7月24日閲覧。
- ^ “VIDEO: Nepal Plane Crash: Moment when flight with 19 people onboard crashed at Kathmandu airport captured” (英語). WION (2024年7月24日). 2024年7月24日閲覧。
- ^ a b c “Plane crashes just after takeoff from Nepal's capital, killing 18 people. Pilot is lone survivor” (英語). Associated Press (2024年7月24日). 2024年7月24日閲覧。
- ^ “Saurya Airlines plane crash: One among 18 dead victims identified as Yemeni national” (英語). The Rising Nepal. 2024年7月24日閲覧。
- ^ “Saurya Air Crash: Black Box sent to Singapore for examination” (Nepali). english.ratopati.com. 2024年8月12日閲覧。
- ^ Republica. “Black box of Saurya Airlines plane sent to Singapore for analysis” (英語). My Republica. 2024年8月12日閲覧。
- ^ “PRELIMINARY REPORT ON ACCIDENT INVESTIGATION of 9N-AME (CRJ 200LR, MSN 7772) Aircraft Operated by Saurya Airlines Pvt. Ltd. on July 24, 2024”. Aircraft Accident Investigation Commission. 2024年9月7日閲覧。
- ^ a b Kaminski-Morrow2024-09-06T20:45:00+01:00, David. “Saurya CRJ200 crash inquiry cautions carriers over weight-and-balance compliance” (英語). Flight Global. 2024年9月7日閲覧。