コスタ・コンコルディア
コスタ・コンコルディア (Costa Concordia, MS Costa Concordia) は、コスタ・クルーズが運航していたクルーズ客船である。地中海を航行中であった2012年1月13日、ティレニア海で座礁・転覆事故を起こした。
コスタ・コンコルディア | |
---|---|
基本情報 | |
船種 | クルーズ船 |
船籍 | イタリア |
所有者 | カーニバル・コーポレーション |
運用者 | コスタ・クルーズ |
建造所 |
フィンカンティエリ セストリ・ポネンテ造船所 (建造番号: 6122) |
建造費 | 4億5000万ユーロ |
船級 | コンコルディア級 |
経歴 | |
発注 | 2004年1月19日 |
進水 | 2005年9月2日 |
竣工 | 2006年6月29日 |
就航 | 2006年7月9日 |
最後 | 2012年1月13日ティレニア海で座礁・横転、サルベージ後2015年より解体、2017年解体終了 |
要目 | |
総トン数 | 114,147 トン |
長さ | 290.2 m |
幅 | 35.5 m |
喫水 | 8.2 m |
推進器 | ディーゼル・エレクトリック、2軸推進 |
出力 | 61,000馬力(推進出力) |
速力 | 19.6ノット |
旅客定員 | 3,000名(最大 3,780名) |
乗組員 | 1,090名 |
概要
編集コスタ・フォーチュナ級の全長を延ばした拡大改良型でカーニバル・クルーズ・ラインのコンクェスト級(cf. カーニバル・コンクェスト)とほぼ同型となるコンコルディア級の1番船として、2006年6月30日、イタリアのフィンカンティエリ社のセストリ・ポネンテ工場で竣工した。船価は5億6,500万ドル(当時の日本円で約650億円)。同年7月7日にチヴィタヴェッキアで行われた命名式にて、ファッションモデルで女優のエヴァ・ハーツィゴヴァによって命名され[1]、同月9日より地中海西部の航路に就航した。
2012年1月13日、ティレニア海に浮かぶジリオ島の浅瀬に乗り上げた本船は座礁し、浸水・転覆して多数の死傷者を出した(後述)。
船体の撤去は米タイタン・サルベージと伊ミコペリの2社が担当、2013年9月17日には座礁、転覆した船体を引き起こす作業が行われた。その後、両舷に箱状のタンクを接合し、2014年7月22日にジェノバ港まで曳航され解体される予定。1990年代以降、次々と建造された大型クルーズ客船の中では初の解体対象となるため、客船の解体作業としては史上最大規模となる[2]。
事故
編集2008年
編集2008年11月22日、シチリア島のパレルモにあるパレルモ港でドック入りしていた最中、スコールに伴う突風に煽られてドックの側面に接触し、船首側面に穴が開くなどの被害を受けた[3][4]。けが人はなかった[4]。
2012年
編集2012年1月13日(金曜日)20時頃(現地時間[UTC+1])、乗客と乗員約4,230人[5][6]を乗せてトスカーナ州の西に広がるティレニア海に浮かぶジリオ島(イーゾラ・デル・ジリオ)のジリオ港沖 500 m地点(北緯42度21分53秒、東経10度55分16秒。■右列中段の地図と座標も参照)を航行していたところ、浅瀬に乗り上げて座礁し、著しく損傷した船底から浸水、やがて転覆(横転)した[7][8][9][6][10][4]。17日時点で乗客10人と乗員1人の死亡が確認され、行方不明者は乗客25人と乗組員4人の計29人となった[11]。
船内設備
編集船内には、サムサラ・スパと呼ばれる客船に設置された中では最大の約2,000m2のウェルネス・センターや、スライド式ガラス屋根を持つプール・エリア二箇所などを備えている。[12][13][14][15][16]
デッキ名
編集- デッキ1 オランダ (Olanda)
- デッキ2 ズベツィア (Svezia)
- デッキ3 ベルジオ (Belgio)
- デッキ4 グレーチア (Grecia)
- デッキ5 イタリア (Italia)
- デッキ6 グランブリターニャ (Gran Bretagna)
- デッキ7 イランダ (Irlanda)
- デッキ8 ポルトガッロ (Portogallo)
- デッキ9 フランチア (Francia)
- デッキ10 ジェルマニア (Germania)
- デッキ11 スパーニャ (Spagna)
- デッキ12 アウストリア (Austria)
- デッキ14 ポローニア (Polonia)
施設一覧
編集- シアター
- カードルーム
- カジノ
- ディスコ
- インターネット
- 図書室
- フィットネスセンター
- テニスコート
- ジョギングトラック
- スパ
- エステ
- ジャグジー
- プール
- 子供用プレイルーム
- ゲームセンター
- 礼拝堂
客室
編集スイート
編集- サムサラスイート
- サムサラミニスイート
- グランドスイート
- スイート
- ミニスイート
内側客室
編集- 内側シングル
- 内側ツイン (l1)
- 内側ツイン (l2)
- 内側ツイン (l3)
- 内側ツイン (l4)
- 内側ツイン (l5)
- サムサラツイン
海側客室
編集- 海側シングル
- 海側ツイン (B1)
- 海側ツイン (B2)
- 海側ツイン (B3)
- 海側ツイン (B4)
- 海側ツイン (B5)
- 海側ツイン (B6)
- 海側ツイン (E1)
- 海側ツイン (E2)
- サムサラツイン (SO)
- サムサラツイン (SB)
同型船
編集- 2番船 「コスタ・セレーナ (Costa Serena)」
- 2007年5月15日竣工。
- 3番船 「コスタ・パシフィカ (Costa Pacifica)」
- 2009年5月29日竣工。
- 4番船 「コスタ・ファヴォロサ (Costa Favolosa)」
- 2011年6月30日竣工。
- 5番船 「コスタ・ファシノサ (Costa Fascinosa)」
- 2012年5月5日竣工。
脚注・出典
編集- ^ “Eva Herzigova to be the Godmother of Costa Concordia”. freesun.be (21 June 2006). 20 January 2012閲覧。
- ^ “伊座礁コンコルディア号、解体施設への「最後の航海」へ”. AFPBBNews (フランス通信社). (2014年7月21日) 2014年7月21日閲覧。
- ^ “Costa Concordia, l'incidente del 2008” (イタリア語). Corriere della Sera - Corriere TV (website) (Dall' Italia) 2012年1月23日閲覧。
- ^ a b c Derbyshire, David; Ellicott, Claire (2012年1月16日). “So what DID cause the Costa Concordia to hit the rocks? Human error, electrical failure and uncharted ridge are all theories” (英語). Mail Online (The Daily Mail) 2012年1月22日閲覧。■2012年の座礁事故の図説と画像多数あり。
- ^ 日本人乗客43人も含まれていたが、14日までに全員の無事救出が確認された。
- ^ a b “40人が行方不明=検察当局、船長を拘束―伊客船転覆事故”. asahi.com (朝日新聞社). (2012年1月15日) 2012年1月15日閲覧。
- ^ Nikkhah, Roya (2012年1月14日). “Cruise disaster: captain arrested as three confirmed dead and 69 passengers still missing” (英語). The Daily Telegraph (Telegraph Media Group). オリジナルの2012年1月15日時点におけるアーカイブ。
- ^ Allen, Emily (2012年1月14日). “Captain and first officer arrested as up to 70 cruise passengers missing and three dead as survivors tell of 'chaotic evacuation'” (英語). Mail Online. The Daily Mail. 2012年1月15日閲覧。
- ^ “イタリアで豪華客船「コスタ・コンコルディア」が座礁”. 毎日jp (毎日新聞社). (2012年1月14日) 2012年1月15日閲覧。
- ^ “Cruise ship capsizes in Mediterranean”. Reuters.com (ロイター). (2012年1月14日) 2012年1月15日閲覧。■動画(英語版)あり。
- ^ “伊座礁事故船長、「戻れ」の指示聞かず救助義務放棄 死者11人”. AFPBB News (フランス通信社). (2012年1月18日) 2012年1月19日閲覧。
- ^ “Deckplan Costa Concordia”. 2012年1月23日閲覧。
- ^ “Costa concordia deck plans”. 2012年1月23日閲覧。
- ^ “Costa concordia deck plans”. 2012年1月23日閲覧。
- ^ “Costa concordia deck plans” (PDF). 2012年1月23日閲覧。
- ^ “Costa concordia deck plans” (PDF). 2012年1月23日閲覧。
参考文献
編集- 『世界の艦船 増刊 世界のクルーズ客船 2009-2010』海人社、2009年11月18日。ASIN B002WD9ZN6。2009年12月号増刊 No.716。
- 『世界の艦船』 海人社、2006年10月号 No.664。
- 『世界の艦船』 海人社、2007年3月号 No.671。
外部リンク
編集- “81824 Costa Concordia” (英語). "Leonardo Info" datebase (official website). Registro Italiano Navale (RINA) (2012年1月13日). 2012年1月23日閲覧。
- “M/S Costa Concordia” (スウェーデン語). Fakta om Fartyg. 2012年1月23日閲覧。