コアジサシ
コアジサシ(小鯵刺、学名:Sternula albifrons)は、チドリ目カモメ科に分類される鳥。属名の Sternula は小さいアジサシ(Sterna)の意味。
コアジサシ | |||||||||||||||||||||||||||
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コアジサシ
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Sternula albifrons Pallas, 1764[2] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
コアジサシ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Little Tern | |||||||||||||||||||||||||||
亜種 | |||||||||||||||||||||||||||
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形態
編集全長は24 cm[4]、ツグミやヒヨドリと同じくらいの大きさでアジサシよりも小さい。翼開長は約53 cm[4]。翼と尾羽がツバメのように細くとがっていて、嘴もまっすぐのびる。
夏羽では頭は黒く、額、のど、腹が白、他の体の部分は薄い灰色で、嘴は黄色、脚は橙色。冬羽では嘴と脚が黒くなり、額の白い部分が拡がる。
分布
編集ユーラシア大陸の中緯度地域で繁殖し、アフリカからオーストラリアにかけての沿岸部で越冬する。またカリブ海沿岸域やハワイ諸島にも分布している。
日本では本州以南に夏鳥として渡ってきて繁殖するが、繁殖地となる場所の減少に伴い数が減っている。
このため保護活動が行なわれることもあり、2001年に屋上で営巣が確認された森ヶ崎水再生センター(東京都大田区昭和島)ではNPO法人が東京都下水道局などと協議して、草むらでは営巣しないコアジサシの習性に合わせた除草、天敵(カラスやノネコ、アライグマ、ハクビシン)対策などを実施している[5]。
分類
編集本種は以前はアジサシ属(Sterna)とされていたが、ミトコンドリアDNA研究により[6]コアジサシ属(Sternula)に分類されることになった。2024年時点で主要なチェックリストはすべてSternula としている。[7][8][9][10]
本種の亜種は4亜種、または5亜種で主要チェックリスト間で統一されていない。日本で見られるコアジサシは、Sternula albifrons sinensis (Gmelin, 1789) である。
生態
編集海岸や川などの水辺に生息し、狙いをつけて水にダイビングして魚をとらえる。その様子から、鯵や鮎といった魚類にちなんで鯵刺(あじさし)の名前がつけられたと思われ、鮎鷹(あゆたか)、鮎刺(あゆさし)の異称もある[11]。狙いをつけるときには短時間ながらホバリング(停空飛行)をすることもある。
繁殖前にはオスがメスへ獲物をプレゼントする「求愛給餌」がみられる。巣は川原、砂浜、埋立地などに集団繁殖地(コロニー)を作って外敵の侵入に備える。地面にくぼみを作って2、3個の卵を産む。卵と雛は斑模様で、石ころと区別がつきにくくなっている。
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上空を旋回する様子
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停空飛翔する様子(夏羽)
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上空から真下にダイビングして小魚を捕獲した様子
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Museum specimen
種の保全状況評価
編集国際自然保護連合(IUCN)により、軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]。
日本では環境省により鳥類レッドリストで絶滅危惧II類(VU)の指定を受けている[12]。また、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている(統一カテゴリ[13])[3]。
- 絶滅危惧I類(CR+EN) - 青森県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、大阪府、和歌山県、鳥取県、岡山県、広島県、徳島県、香川県、高知県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
- 絶滅危惧II類(VU) - 岩手県、宮城県、茨城県、岐阜県、京都府、兵庫県、奈良県、島根県、山口県、愛媛県、福岡県、佐賀県、沖縄県
- 準絶滅危惧(NT) - 新潟県、山梨県、滋賀県
絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
自治体指定の鳥
編集日本の以下の自治体の指定の鳥である。括弧表記はかつて存在していた自治体。
市
編集町
編集- 横芝光町 - 千葉県
村
編集- (吉川村) - 高知県
脚注
編集- ^ a b “Sterna albifrons in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.2.” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2012年5月3日閲覧。
- ^ “Sterna albifrons (Pallas, 1764)” (英語). ITIS. 2012年5月3日閲覧。
- ^ a b “コアジサシ”. 日本のレッドデータ検索システム. エンビジョン環境保全事務局. 2018年8月11日閲覧。
- ^ a b ひと目でわかる野鳥 (2010)、212頁
- ^ 【いきもの語り】コアジサシ保全へ試行錯誤大田・昭和島下水処理場屋上で繁殖、NPOアシスト『産経新聞』朝刊2022年12月18日(東京面)2023年1月1日閲覧
- ^ Eli S. Bridge, Andrew W. Jones, Allan J. Baker, A phylogenetic framework for the terns (Sternini) inferred from mtDNA sequences: implications for taxonomy and plumage evolution, Molecular Phylogenetics and Evolution, Volume 35, Issue 2, 2005, Pages 459-469, ISSN 1055-7903, https://doi.org/10.1016/j.ympev.2004.12.010.
- ^ Gill F, D Donsker & P Rasmussen (Eds). 2024. IOC World Bird List (v14.2). doi : 10.14344/IOC.ML.14.1.
- ^ Clements, J. F., P. C. Rasmussen, T. S. Schulenberg, M. J. Iliff, T. A. Fredericks, J. A. Gerbracht, D. Lepage, A. Spencer, S. M. Billerman, B. L. Sullivan, M. Smith, and C. L. Wood. 2024. The eBird/Clements checklist of Birds of the World: v2024. Downloaded from https://www.birds.cornell.edu/clementschecklist/download/
- ^ del Hoyo, J., Collar, N.J., Christie, D.A., Elliott, A. and Fishpool, L.D.C. 2014. HBW and BirdLife International Illustrated Checklist of the Birds of the World. Volume 1: Non-passerines
- ^ The Howard and Moore complete checklist of the birds of the world, 4th. ed.
- ^ あゆ‐たか【鮎鷹】『精選版 日本国語大辞典』/コトバンク(2023年1月1日閲覧)
- ^ 『環境省レッドリスト2018の公表について』(プレスリリース)環境省、2018年5月22日 。2018年8月11日閲覧。
- ^ “カテゴリと生物名称”. 日本のレッドデータ検索システム. エンビジョン環境保全事務局. 2018年8月11日閲覧。
参考文献
編集- 中川雄三(監修) 編『ひと目でわかる野鳥』成美堂出版、2010年1月。ISBN 978-4415305325。
関連項目
編集外部リンク
編集- 絶滅危惧種情報 コアジサシ(生物多様性センター)
- NPO法人 リトルターン・プロジェクト(ブログ) - 東京都森ヶ崎水再生センターの屋上にあるコアジサシ営巣地の様子を随時報告している。