グリニッジ区
グリニッジ王室特別区(グリニッジおうしつとくべつく、英: Royal Borough of Greenwich)は、イングランドのロンドン南東部にあるロンドン自治区。区名は歴史的な町であるグリニッジに由来する。1888年に南東部ケント州から分離して現在のグリニッジやルイシャム区などがロンドンに編入された。1965年に1963年ロンドン政府法の規定に基づき、グリニッジ首都自治区とウーリッジ首都自治区の一部が合併して、グリニッジ・ロンドン自治区 (London Borough of Greenwich) が発足した。区役所と区議会議場は中心市街地のウーリッジに所在する。
グリニッジ王室特別区 Royal Borough of Greenwich | |
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王室特別区 | |
標語:We Govern by Serving | |
グレーター・ロンドン内における区の位置 | |
地位 | 王室特別区 |
主権国家 | イギリス |
構成国 | イングランド |
リージョン | ロンドン |
典礼カウンティ | グレーター・ロンドン |
設置 | 1965年4月1日 |
区役所所在地 | ウーリッジ |
行政 | |
• 種別 | ロンドン区 |
• 議会 | グリニッジ・ロンドン区議会 |
• 統治体制 | リーダーと内閣制 (労働党) |
• 首長 | Peter Brooks |
• ロンドン議会議員 | Len Duvall (Lab) (Greenwich and Lewisham区選出) |
• 英国議会下院議員 | Teresa Pearce (Lab), Clive Efford (Lab), Matthew Pennycook (Lab) |
• 欧州議会 | ロンドン選挙区 |
面積 | |
• 計 | 47.35 km2 |
域内順位 | 266位(全317地域中) |
人口(2018年中期推計値) | |
• 計 | 286,186人 |
• 順位 | 45位(全317地域中) |
• 密度 | 6,000人/km2 |
• 民族構成[1]人口密度 | 52.3% イギリス系白人 1.7% アイルランド系白人 0.2% ジプシー系白人又はアイリッシュ・トラベラー 8.3% その他の白人 1.6% 白人とカリブ系黒人の混血 1.1% 白人とアフリカ系黒人の混血 0.9% 白人とアジア系の混血 1.3% その他の混血 3.1% インド系 1% パキスタン系 0.6% バングラデシュ系 2% 中国系 5% その他のアジア系 13.8% アフリカ系黒人 3.2% カリブ系黒人 2.1% その他の黒人 0.4% アラブ系 1.4% その他の民族 |
等時帯 | GMT(UTC+0) |
• 夏時間(DST) | BST(UTC+1) |
郵便コード | BR, DA, SE |
市外局番 | 020 |
ONSコード | 00AL |
GSSコード | E09000011 |
警察機関 | ロンドン警視庁 |
消防機関 | ロンドン消防局 |
ウェブサイト | www |
グリニッジは伝統的な本初子午線上に位置する地として世界的に有名であり、協定世界時 (UTC) の元になった[注 1]。区の西部にあるグリニッジとグリニッジ天文台を通る本初子午線(グリニッジ子午線)は、グリニッジ平均時 (GMT) の起点に指定され、かつては全世界の時刻の基準とされた。
2012年に開催されたロンドンオリンピックでは、競技会場を提供する6つのホスト区のうちの一つであった。
同2012年、エリザベス2世の女王在任60周年記念祭「女王エリザベス2世のダイヤモンド・ジュビリー」を記念し、英国王室との歴史的なつながりがあること、及び本初子午線誕生の地としてユネスコの世界文化遺産登録地の地位にあることを理由に、2012年2月3日をもってグリニッジ区は4つ目の王室特別区となった[2][3][4][5]。
地理
編集テムズ川を挟み北側は西から東へ順にタワーハムレッツ区、ニューアム区、バーキング・アンド・ダゲナム区となる。
地区
編集- アビー・ウッド – 一部はベクスリー区になる。
- エイヴリ・ヒル
- ブラックヒース – 北側の一部はルイシャム区になる。
- チャールトン
- コールドハーバー
- デットフォード – デットフォード・セント・ニコラス小教区はグリニッジ区内に、残りの南側デットフォード・セント・ポール小教区はルイシャム区になる。
- エルタム
- ホーン・パーク
- グリニッジ
- グリニッジ・ペニンシュラ
- キッドブルック
- リー – 一部はルイシャム区になる。
- モッティンガム – 一部はブロムリー区になる。
- ニュー・チャールトン
- ニュー・エルタム
- プラムステッド
- シューターズ・ヒル
- テムズミード – 中央と東側はベクスリー区になる。
- ウェル・ホール
- ウェストコム・パーク
- ウーリッジ
経済
編集観光業の比重が年々高まり、2015年にはおよそ1850万人の来区客が期待された。同年には、インターコンチネンタルホテルが下記ザ・O2アリーナ周辺に開業し、2017年にはロンドン初のクルーズ船が就航した。
グリニッジやグリニッジ・パークにある多くの美術館や歴史的建物とは別に、主要観光地は、カティ・サーク 、ザ・O2アリーナ、エミレーツ航空のケーブルカー (エミレーツ・エア・ライン)、人気のエルタム宮殿、ジェイムズ1世建築様式のチャールトン・ハウスのほか、テムズ防潮堤などとなる。さらにウーリッジの王立武器庫も2015年から観光プロモーションを開始した[6]。
スポーツ
編集2012年に開催されたロンドンオリンピックでは、競技会場を提供する6つのホスト区のうちの一つとして、それぞれ区内にある王立砲兵隊兵舎で射撃競技、グリニッジ・パークで馬術競技、The O2(旧ミレニアム・ドーム)で体操競技とバスケットボール競技が行われた。
また、プロサッカークラブチャールトン・アスレティックFCの本拠地でもある。
関係者
編集- 出身者
- チャールズ・ゴードン(軍人、常勝軍やマフディーの乱での英軍指揮官) – ウーリッジ出身
- ボブ・ホープ(米国で活躍したコメディアン俳優) – 1903年、エルタム生まれ。同地 (44, Craigton Road, Eltham) にブルー・プラークが掲示されている。
- ヴァネッサ・レッドグレイヴ(女優) – ブラックヒース出身
- ケイト・ブッシュ(歌手、シンガーソングライター) – エルタム出身
- 居住その他ゆかりある人物
- ロバート・デヴァルー (第3代エセックス伯) – 第一次イングランド内戦でニューモデル軍登場までの議会軍総司令官。エルタム宮殿を占拠。まもなく脳卒中にて当地、もしくは対岸ウェストミンスターにあったエセックス・ハウスにて死去。
- イーディス・ネズビット(18-19世紀前半の女性児童文学作家) – サリー州(現ランベス区)ケニントン界隈生まれ。当時ケント州のチェルスフィールド(現ブロムリー区)やエルタムなどに居住(en:Chelsfield#Notable residents, en:Eltham#Notable residents 参照)。
脚注・出典
編集- 脚注
- 出典
- ^ 2011 Census: Ethnic group, local authorities in England and Wales, Office for National Statistics (2012). 2011年の国勢調査に使われた設問などについては、英語版Classification of ethnicity in the United Kingdomを参照。
- ^ 他の3つの王室特別区は、キングストン・アポン・テムズ区、ケンジントン・アンド・チェルシー区、ウィンザーとメイデンヘッドを合わせたウィンザー・メイデンヘッド王室特別区(Royal Borough of Windsor and Maidenhead)。
- ^ “Greenwich to become Royal Borough”. Greenwich London Borough Council (5 January 2010). 5 January 2010閲覧。
- ^ “Greenwich to become Royal Borough on 3 February”. Greenwich Council (9 January 2012). 14 January 2012閲覧。
- ^ Letters Patent dated 3 February 2012 "No. 60205". The London Gazette (英語). 11 July 2012. p. 13300.
- ^ Greenwich Time, No. 367, 29 September 2015, pp. 1, 4 (online text)