クワガタムシ科(Lucanidae)は、コガネムシ上科を分類するの1つである。

クワガタムシ科
ヨーロッパミヤマクワガタ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目 Coleoptera
亜目 : 多食亜目 Polyphaga
下目 : コガネムシ下目 Scarabaeiformia
上科 : コガネムシ上科 Scarabaeoidea
: クワガタムシ科 Lucanidae
学名
Lucanidae
Macleay, 1819

1819年にアレクサンダー・マックリー英語版によって創設された分類群であり、世界に約1001500が知られる。

Lucanidae(ルカニダエ)については、「森に住む虫」という意味であるが、かつて、イタリア南部のルカニア地方では、クワガタムシ魔除けにした風習があり、フィグルスがルカニア地方に因んで、クワガタムシを「ルカニ」と呼んでいたことを、古代ローマの博物学者であるプリニウスが記している。また、「ルカ」には森の意味もあり、紀元前から森の虫の象徴とされてきた歴史がうかがえる。

特徴

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本科の特徴としては、触角の基部の第1節が長く、第2節から屈曲し、その先の片状節は互いに離れて連なっている。腹部は5からなる。幼虫は足に発音器があるなどがあげられる。

このグループは、和名の元ともなっているオスの大きく発達した大が特徴的に思われるが、雌雄で外部形態上の性的二型がほとんど認められない種も多く存在している。体長も3mm程度の種から最大120mm近い種までと幅があり、同種での個体差も大きい。また、形態が似ていても生殖器の違いから別種とされるものまで存在するが、これはクワガタムシに限らず昆虫全般にいえることである。さらに、最近になっても多くの新種が見つかっているので、分類については困難を極めている。

甲虫類化石は極めて少ないため、甲虫類は昆虫の中では新しいグループに分類されているが、鮮新世から中新世頃の地層からクワガタムシの化石が発見されており、クワガタムシ科は甲虫類の中では原始的なグループに属していることが明らかになっている。

分類

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クワガタムシ科は、さらに亜科分類されるが、研究者によって意見が分かれている。

今後、分子系統学などによって、より適した分類が期待されている[1]

2006年にSmith によって発表された4亜科による分類
マダラクワガタ亜科 Aesalinae
キンイロクワガタ亜科 Lampriminae
クワガタムシ亜科 Lucaninae (コガシラクワガタ類ツヤクワガタチビクワガタ類、ルリクワガタ類を含む)
ツツクワガタ亜科 Syndesinae(ツヤハダクワガタ類、イッカククワガタ類を含む)
2001年にKrajcik によって発表された8亜科による分類
イッカククワガタ亜科 Sinodendrinae
ツツクワガタ亜科 Syndesinae
マダラクワガタ亜科 Aesalinae (ルリクワガタ類、ツヤハダクワガタ類を含む)
チビクワガタ亜科 Figulinae
ツメカクシクワガタ亜科 Penichrolucaninae
クワガタムシ亜科 Lucaninae (コガシラクワガタ類ツヤクワガタ類を含む)
Dorcinae亜科 Dorcinae
キンイロクワガタ亜科 Lampriminae
1992年にMaes によって発表された9亜科による分類
ツツクワガタ亜科 Syndesinae (イッカククワガタ類、ツヤハダクワガタ類を含む)
マダラクワガタ亜科 Aesalinae
ルリクワガタ亜科 Platycerinae
チビクワガタ亜科 Figulinae
コガシラクワガタ亜科 Chiasognathinae
ツヤクワガタ亜科 Odontolabinae
クワガタムシ亜科 Lucaninae
Dorcinae亜科 Dorcinae
キンイロクワガタ亜科 Lampriminae
1986年にKikuta によって発表された6亜科による分類
イッカククワガタ亜科 Sinodendrinae
ツツクワガタ亜科 Syndesinae
マダラクワガタ亜科 Aesalinae
ツヤハダクワガタ亜科 Ceruchinae
クワガタムシ亜科 Lucaninae (ルリクワガタ類、チビクワガタ類、コガシラクワガタ類、ツヤクワガタ類、ドルクス類)
キンイロクワガタ亜科 Lampriminae

分岐図

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Kim & Farrell 2015分子系統解析によりクワガタムシ科の分岐順序が初めて明らかとなって、前述の一部の体系も非単系統であると示唆される[1]

マダラクワガタ

マグソクワガタ

イッカククワガタ属

ツヤハダクワガタ

キンイロクワガタ亜科

クワガタムシ亜科ルリクワガタ類、チビクワガタ類を含む)

日本のクワガタムシ科の一部については、ミトコンドリアDNAを解析した結果から、分岐の順序が明らかとなっている[要出典]

ミヤマクワガタ

ノコギリクワガタ

オニクワガタ

ヒラタクワガタ

スジクワガタ

ヒメオオクワガタ

アマミコクワガタ

アカアシクワガタ

コクワガタ

オオクワガタ

脚注

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  1. ^ a b “Phylogeny of world stag beetles (Coleoptera: Lucanidae) reveals a Gondwanan origin of Darwin’s stag beetle” (英語). Molecular Phylogenetics and Evolution 86: 35–48. (2015-05-01). doi:10.1016/j.ympev.2015.02.015. ISSN 1055-7903. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1055790315000457. 

参考文献

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  • 特集・クワガタムシの多様性とその保全」『昆虫と自然』2002年4月号、ニュー・サイエンス社、19-22頁。 
  • 「特集・クワガタムシ・クロツヤムシ」『昆虫と自然』2003年3月号、ニュー・サイエンス社、23頁。 
  • 日本のクワガタムシ大特集」『ビー・クワ』2007年夏号 (No. 24)、むし社、6頁。 
  • クワガタ特集号19」『月刊むし』2007年8月号、むし社、4、32頁。 
  • 「特集・異型クワガタムシ類を巡る最近の話題」『昆虫と自然』2009年4月臨増号、ニュー・サイエンス社、2頁。