クレオール言語

異言語圏間の意思疎通のために作成された言語が母語化したもの
クレオール語から転送)

クレオール言語(クレオールげんご、: creole language)とは、意思疎通ができない異なる言語圏の間で交易を行う際、商人らなどの間で自然に作り上げられた言語ピジン言語)が、その話者達の子供たちの世代で母語として話されるようになった言語を指す。公用語共通語として使用されている国・地域もある。

概要

編集

クレオール言語はピジン言語が定着して母語化したものであり、形態が劇的に単純化しているという点で、親言語の複雑な屈折を保っている混合言語(混成言語)とは異なる。

ピジン言語では文法の発達が不十分で発音語彙も個人差が大きく、複雑な意思疎通が不可能なのに対し、クレオール言語の段階ではそれらの要素が発達・統一され、複雑な意思疎通が可能になる。また、クレオールはピジンと違い、完成された言語である。

また、日本語も北方系言語(アルタイ語族)と南方系言語(オーストロネシア語族)が混合したクレオール言語から変化したという説もある(日本語の起源を参照)。

一覧

編集
地域・国 呼び名 基層言語 上層言語 位置づけ
セーシェル セーシェル・クレオール語 フランス語 公用語
ハワイ ハワイアン・ピジン 英語 口語
アメリカ合衆国ルイジアナ州 ルイジアナ・クレオール語 フランス語 口語
アメリカ合衆国サウスカロライナ州ジョージア州 ガラ語 英語
ハイチ ハイチ語 フランス語 公用語
ナイジェリア ナイジェリア・ピジン 英語 公用語
モーリシャス モーリシャス・クレオール語 フランス語 共通語
レユニオン島 レユニオン・クレオール語 フランス語 口語
カーボベルデ カーボベルデ・クレオール語 ポルトガル語 共通語
ギニアビサウ ギニアビサウ・クレオール語 ポルトガル語 共通語
サントメ・プリンシペ フォロ語 ポルトガル語 口語
サントメ・プリンシペ アンゴラ語 ポルトガル語
サントメ・プリンシペ プリンシペ・クレオール語 ポルトガル語
セ/赤道ギニア アンノボン島 アノボネセ語英語版 ポルトガル語、スペイン語
カメルーン カメルーン・ピジンドイツ語版英語版 英語が主体となっており、旧イギリス領カメルーンの領域であった北西州南西州のみで用いられる フランス語 公用語
チ/中央アフリカ共和国 サンゴ語 フランス語、ンバンディ語 公用語
オランダ領アルバボネール島キュラソー島 パピアメント語 基礎語彙の60%がポルトガル語、その他スペイン語、オランダ語、西アフリカ諸語、アラワク語 ポルトガル語 公用語
シエラレオネ クリオ語 英語 共通語
ジャマイカ ジャマイカ・クレオール語 英語?
ピトケアン諸島 ピトケアン語 タヒチ語、英語の各方言 英語? 共通語
ノーフォーク島 ノーフォーク語 ゲール語ポリネシア語、英語の各方言 英語? 共通語
バヌアツ共和国 ビスラマ語 メラネシア系言語 英語、フランス語 公用語
パプアニューギニア独立国 トク・ピシン パプア諸語メラネシア系言語 英語 共通語
チ/中華人民共和国マカオ特別行政区 マカオ語 ポルトガル語 ポルトガル語、広東語 口語
フィリピン チャバカノ語 アウストロネシア語族 スペイン語
タ/台湾 宜蘭クレオール タイヤル語 日本語
ニホン/小笠原諸島 小笠原語 英語 日本語
スリランカ ヴェッダ語 元来のヴェッダ人の言語 シンハラ語
インドネシアスリランカマレーシア ベタウィ語など、マレー語基盤クレオール アウストロネシア語族 マレー語、シンハラ語、タミル語など
オーストラリアココス諸島、マレーシアサバ州 ココスマレー語 ベタウィ語 マレー語など
日本 沖縄県 ウチナーヤマトグチ[要検証] 日本語琉球諸語

関連文献

編集

関連項目

編集

外部リンク

編集