キュルテーシュカラーチ
キュルテーシュカラーチ(ハンガリー語:kürtőskalács [ˈkyrtøːʃkɒlɑ̈ːt͡ʃ] )は、ハンガリー及びルーマニア領トランシルヴァニア地方のセーケイ地方に伝わるセーケイ人(ハンガリー人の一派)の焼き菓子(ペイストリー)の1種である。棒にパン生地を巻きつけて回転させながら焼き上げるため、竹輪に似た円筒状の外見を呈する。日本では「クルトシュカラーチ」と表記されることもある。
ハンガリー語では単語を分けてkürtös kalács [ˈkyrtøʃ.kɒlɑ̈ːt͡ʃ](キュルテシュ・カラーチ)やkürtős kalács [ˈkyrtøːʃ.kɒlɑ̈ːt͡ʃ](キュルテーシュ・カラーチ)のような表記も見られる。短く発音するkürtös kalácsはkürt [ˈkyrt](ホルン)と混同した民間語源によるものと思われる。19世紀のハンガリーでは(1920年のトリアノン条約まではトランシルヴァニアはハンガリー領であった)dorongfánk [ˈdoroŋkˌfɑ̈ːnk](ドロングファーンク、実際の発音はドロンクファーンク)「棍棒菓子パン」、botratekercs [ˈbotraˌtɛkɛrt͡ʃ](ボトラテケルチ)「棒巻き」、botfánk [ˈbotˌfɑ̈ːnk](ボトファーンク)「棒菓子パン」等とも呼ばれていた。現在のkürtőskalácsという呼称は20世紀半ばに定着した。
ルーマニア語ではcozonacul secuiesc [kozoˌnakul.sekuˈjesk](コゾナクル・セクイェスク)「セーケイ(人の)コゾナック」と呼ばれているが、ハンガリー人の菓子なのでハンガリー語でkürtőskalácsとそのまま呼ぶ場合も多い。トランシルヴァニアのドイツ人達はハンガリー語の呼称をそのまま直訳してSchornsteinkuchen [ˈʃɔʀnʃtainˌkuːxn](ショルンシュタインクーヘン)「煙突菓子」と呼んでいる。
キュルテーシュの「キュルテー」(kürtő [ˈkyrtøː])という単語はハンガリー語で「煙突」を意味するため「チムニー(煙突)ケーキ」、「ストーブケーキ」「暖炉ケーキ」、「ハンガリーのウェディングケーキ」とも呼ばれる。キュルテーシュカラーチの起源はトランシルヴァニアといわれる[1]。
現在ではハンガリーやルーマニアのハンガリー人(ルーマニア人ではない)の代表的な菓子となっている。結婚式や祭り等の行事のときに食され、街角や観光地の屋台でもよく売られている[2]。
キュルテーシュカラーチはドイツ、オーストリア、チェコ、スロバキア、中近東、アメリカ(ハワイ州を含む)、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどにも伝わっている。最近はプラハにも出店があるが、呼び方はチェコ語(スロヴァキア語も同様)で「トルデルニーク (trdelník)」と呼ばれている。チェコの伝統菓子といっている店もあるが、近年流行しだしたものでありチェコの一般的な伝統菓子ではない。日本でも販売する店は存在するが、一般にはほとんど知られていない。
脚注
編集- ^ George Lang, The cuisine of Hungary, Atheneum, 1971, p. 112 2011年7月3日閲覧。
- ^ ヨーロッパ通信 ハンガリー 2011年7月3日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- Kurtosh Cake
- トラベリックスIII-世界体感旅行 - ウェイバックマシン(2010年12月5日アーカイブ分)
- クルトシュカラーチ - 沖縄県那覇市にある専門店