ガンダールヴル
ガンダールヴル(古ノルド語: Gandálfr[注 1])は、北欧神話に登場するドヴェルグル(ドワーフ)の一人である。その名前の意は「魔法(ガンド)の心得のある妖精」であるとされている[1]。
神話などは現存しておらず、神話詩集『古エッダ』(13世紀後半?)中の『巫女の予言』第12スタンザ[2]、「ドヴェルグル一覧」と呼ばれるドヴェルグルの名が羅列されている部分で、他のドヴェルグルと同様にその名が記載されているのみである。『名の諳誦(増補版)』でも同様である。
サガ集『ヘイムスクリングラ』(13世紀前半)中の『ユングリング家のサガ』『ハールヴダンル黒髪王のサガ』『ハラルドル美髪王のサガ』には同名の人物(ガンダールヴル・アールヴゲイルスソン)が、「ヴィングルマルク(ノルウェーの一地域)の王」として登場する[3]。
J・R・R・トールキンの小説『ホビットの冒険』『指輪物語』(20世紀中盤)に登場する魔法使いガンダルフの名は、このドヴェルグルの名に由来する[4][5][6]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b 谷口訳『エッダ 古代北欧歌謡集』p.18, 脚注36.
- ^ 谷口訳『エッダ 古代北欧歌謡集』による。
- ^ 『ヘイムスクリングラ 北欧王朝史(一)』pp.122,128,132,144-146.
- ^ 井辻朱美, 伊藤盡 (2007). 「散種される北欧神話 音楽・言葉・イメージを渉猟する」『ユリイカ』第39巻12号, 青土社, pp.58-75.
- ^ Simek, Rudolf (2007) translated by Angela Hall. Dictionary of Northern Mythology. D.S. Brewer ISBN 0859915131. p.99.
- ^ ガンダルフ・ブレンドを飲みながらガンダルフについて考えます|信州大学 人文学部(伊藤盡, 2009年5月17日), 2012年4月8日閲覧。
参考文献
編集- V. G. ネッケル, ハンス・クーン, 他(編), 谷口幸男(訳) (1973). 『エッダ 古代北欧歌謡集』新潮社, ISBN 978-4103137016.
- スノッリ・ストゥルルソン, 谷口幸男(訳) (2008). 『ヘイムスクリングラ 北欧王朝史(一)』プレスポート・北欧文化通信社, ISBN 978-4-938409-02-9.