ガソジン
ガソジン(gasogene または gazogene。seltzogeneとも)は、ヴィクトリア朝後期のイギリスに存在した、炭酸水をつくるためのソーダサイフォンの一種である。
概要
編集接続された上下2つのガラス球からなっている。上には酒石酸と炭酸水素ナトリウムの混合物を入れて、二酸化炭素を発生させる。下には水、あるいは炭酸を加えたい飲料を入れる。サイフォンの原理を応用して下から汲み上げた液体に、上からの炭酸ガスを注入して炭酸水を生成する。破裂する恐れがあったため、通常は籐編みやワイヤーで覆われている。
フィクションでの描写
編集アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズでは、ベーカー街221Bの部屋に置かれているとされ、ボヘミアの醜聞やマザリンの宝石で言及されている。
ろくに口をきかず、しかしやさしい眼つきで、そこの肘掛椅子にかけろと手で示し、葉巻の箱を投げてよこし、部屋の隅のウィスキーやソーダ水のサイフォン("a gasogene")のある場所を指さした[1]。 — アーサー・コナン・ドイル、ボヘミアの醜聞
ジョージ・バーナード・ショーの1905年の戯曲『Passion, Poison, and Petrifaction, or the Fatal Gazogene』では、登場人物のフィッツがガソジンに毒を入れる。
脚注
編集- ^ アーサー・コナン・ドイル 著、延原謙 訳『シャーロック・ホームズの冒険』、9頁。ISBN 4102134018。