ニンジャZX-6R(ニンジャゼットエックスシックスアール)は、カワサキモータースが製造している4ストロークの輸出市場向けの大型自動二輪車(オートバイ)である。日本では市販モデルが逆輸入にて販売されている。レース専用車においては正規でも販売されていた。かつて存在した派生車のニンジャZX-6RR(ニンジャゼットエックスシックスアールアール)についても本項で詳述する。

概要

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ZX-6Rの元々のエンジンはスーパースポーツ世界選手権に出場する他のライバルと同じ599cc水冷4ストローク直列4気筒であった。市販車がレース指向を強くしすぎると「サスペンションが固すぎる」「低速トルクがない」などと、一般ユーザーが犠牲になる面も目立ち始めていた。そこで2002年に、他社の600ccクラススーパースポーツモデルと差別化を図り、公道走行を重視した排気量636ccのZX-6Rを登場させたのである。一方でレース参戦を前提にした排気量599ccモデルにはニンジャZX-6RRという呼称が与えられた。

2002年モデルまでは、フレームなどをZX-9Rと共用とし開発が進められてきた(9Rのシャシーは1998年モデルから6Rのシャシーを採用していた)。2003年ZX-9RZX-10Rにフルモデルチェンジとなったため、ZX-6Rは単独での開発が行われ、専用パーツが投入された。

2005年のフルモデルチェンジで空力特性に優れたセンターアップマフラーなどを投入し、フレームを含め全てを専用設計とし、ニンジャシリーズ最小のCdA値(空気抵抗値)0.27を実現させるためにデザインも2003年モデルと比較しエッジの取れたデザインとなった。エンジンに関しては、排気デバイスの採用やFIは従来からのツインバルブ方式に加えツインインジェクターを採用、給排気バルブを大径化するなど、高回転域のエンジンパワーのみならず中低速域のトルクにおいても向上させている。

2007年のフルモデルチェンジでは、開発に元WGPライダーの眞子智実を起用し、車体デザインの変更だけでなく、エンジンを完全に一新して全回転域においての扱いやすさを向上させた。これにより公道用636ccモデルは廃止され、599ccモデルがZX-6Rの車名を受け継ぐことになった。

2009年のフルモデルチェンジでは、それまでのセンターアップマフラーからサイド出しショートマフラーに変更。またフロントフォークにSHOWA製のBPF(ビッグピストンフロントフォーク)サスペンションを採用し、足回りを刷新した。さらにスリッパークラッチやオーリンズ製のツインチューブステアリングダンパーを標準装備した。

2012年のフルモデルチェンジでは、エンジン排気量を再び636ccとして公道走行を重視し、フロントフォークを左右別構造式の大径フォークであるSHOWA製SFF-BP(セパレートファンクションフォーク-ビッグピストン)に換装した。またトラクションコントロールも装備し、追加仕様としてABS搭載モデルも併売される。なお先代の600ccモデルも欧州のレース向けとして継続販売された。

2018年に、2019年モデルが発表された。フルモデルチェンジとなったZX-6Rは、逆スラント形状のLEDヘッドライトなどニンジャ250ニンジャ400Rとほとんど共通のデザインとなっている。新装備としてはクイックシフター(アップのみ)、ハザードランプスイッチが装備された。

2022年に施行されたスーパースポーツ世界選手権レギュレーション改定の結果、2025年からレースベース車も636ccに変更されることが決まっている[1]

なおカワサキの日本国内販売元であるカワサキモータースジャパンは、レース専用モデルとしてのZX-6Rを2020年まで毎年期間限定で特別販売しており、レースベース車両は600ccのアメリカ仕様で同社の認定保証は受けられない(クレームも含む)。レース専用モデルであるためにイモビライザー等公道走行に必要な装備は装着されておらず、また一般公道での走行はできない。

モデル一覧

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欧州仕様参考値。

ZX600F

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  • 1995年~1997年
  • 599cc,74kW/64Nm
  • F:120/60ZR17 R:160/60ZR17
  • 乾燥重量182kg、装備206kg

ZX600G

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  • 1998年
  • フェイスリフトがあり2眼ライトを採用
  • 79kW/65Nmへ出力アップ
  • Rタイヤが10mm太の170/60ZR17へ変更
  • 6kg軽量化され176kgへ。装備200kg

ZX600J

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  • 2000年
  • 82kW/66Nmへ出力アップ
  • Fタイヤが120/65ZR17へ変更
  • Rタイヤが10mm太の180/55ZR17へ変更
  • 4kg軽量化され172kgへ。装備195kg

ZX636A

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  • 2002年 フルモデルチェンジ
  • メッキシリンダー採用によりボアが66mmから68mmへと拡大
  • 636cc,83kW/71Nm
  • 4kg軽量化され172kgへ

ZX636B

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  • 2003年
  • 87kW/67Nmへと出力アップ
  • 9kgもの軽量化で161kg。装備188kg

ZX636C

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  • 2005年
  • 95.5kW/70.5Nmへと出力アップ
  • 3kg重量増となり164kgへ。装備192kg

ZX600P

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Ninja ZX-6R
競技仕様車はZX-6RR
 
Ninja ZX-6R(2007年式)
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
エンジン ZX600PE型 599 cm3 
内径×行程 / 圧縮比 67.0 mm × 42.5 mm / 13.3:1
最高出力 91.9kW(125ps)/14000rpm
最大トルク 66Nm(6.73kg-m)/11700rpm
車両重量 200 kg
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  • 2007年 フルモデルチェンジ
  • 599cc,91.9kW/66Nm
  • 乾燥重量167kg/装備200kg

ZX600R

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  • 2009年
  • 94.1kW/66,7Nmへと出力アップ
  • 装備重量が192kgへ軽量化。

ZX636E/F

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  • 2013年 フルモデルチェンジ
  • 96.4kW(131PS)/13,500rpm ラム加圧時 101kW(137PS)/13,500rpm
  • 排気量が636㏄に拡大。次モデル発売までカラーリングのみの変更、特別仕様車の発売のみでスペックには変更なし

ZX636GKF/HKF

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  • 2018年 フルモデルチェンジ
  • 93kW(126PS)/13,500rpm ラムエア加圧時 97kW(132PS)/13,500rpm

ZX636JRF

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  • 2023年 フルモデルチェンジ
  • ウイングレットスタイルのインレットを採用
  • 新排出ガス規制に対応するためにカムプロフィールを見直し
  • 吸気ファンネル形状の見直しにより、低中回転域の性能を向上

主要諸元

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モデル 1995年(ZX600-F1) 1998年(ZX600-G1) 2000年(ZX600-J1) 2002年(ZX636-A1) 2003年(ZX636-B1) 2005年(ZX636-C1) 2007年(ZX600P) 2009-2010年(ZX600R) 2004(ZX600R-M1)
(ZX-6RR)
写真                
エンジン 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒配列数 並列4気筒
総排気量 599cm3 636cm3 599.4cm3 599cm3
内径x行程 66.0mm x 43.8mm 68.0mm x 43.8mm 67.0mm x 42.5mm
圧縮比 11.8:1 12.8:1 12.9:1 13.3:1 13.5:1
最高出力 77.0kW(105ps)/12,500rpm 79.4kW(108ps)/12,000rpm 81.6kW(111ps)/12,000rpm 83.0kW(113ps)/12,500rpm 87.0kW(118ps)/13,000rpm 95.5kW(130ps)/14,000rpm 91.9kW(125ps)/14,000rpm 87.5kW(119ps)/12,500rpm 86.0kW(117ps)/13,000rpm
最大トルク 65.0Nm(6.6kgfm)/10,000rpm 65.7Nm(6.7kgfm)/10,000rpm 65.6Nm(6.7kgfm)/10,000rpm 71.0Nm(7.2kgfm)/9,800rpm 67.0Nm(6.8kgfm)/11,000rpm 70.5Nm(7.1kgfm)/11,500rpm 66.0Nm(6.73kgfm)/11,700rpm 66.7Nm(6.8kgfm)/11,800rpm 65.Nm(6.6kgfm)/12,000rpm
全長 2,030mm 2,025mm 2,030mm 2,025mm 2,065mm 2,105mm 2,090mm 2,025mm
全幅 690mm 715mm 730mm 720mm 715mm 720mm 710mm 720mm
全高 1,130mm 1,160mm 1,175mm 1,100mm 1,110mm 1,125mm 1,115mm 1,110mm
シート高 810mm 815mm 820mm 825mm 820mm 815mm 825mm
最低地上高 120mm 140mm 145mm 130mm 120mm 125mm N.A. 130mm
燃料供給装置 キャブレター 電子制御式燃料噴射装置
ホイールベース 1,415mm 1,400mm 1,390mm 1,405mm 1,400mm
乾燥重量 182kg 176kg 171kg 174kg 161kg 164kg 167kg N.A. 161kg
燃料タンク容量 18.0L 17.0L 18.0L
タイヤサイズ 前:120/60 ZR17
後:160/60 ZR17
前:120/60 ZR17(55W)
後:170/60 ZR17(72W)
前:120/65 ZR17(56W)
後:180/55 ZR17(73W)
前:120/70 ZR17(58W)
後:180/55 ZR17(73W)
前:120/70 ZR17
後:180/55 ZR17
前:120/65 ZR17(56W)
後:180/55 ZR17(73W)
出典 [2] [3] [4] [5] [6] [4]

脚注

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  1. ^ Neue Kawasaki 636: Der Termin für das Testdebüt steht / Supersport-WM - SPEEDWEEK.com” (ドイツ語). www.speedweek.com (2024年10月23日). 2024年11月2日閲覧。
  2. ^ 『ハイパーバイク Vol.11』 p.185
  3. ^ 『ハイパーバイク Vol.11』 p.186
  4. ^ a b 『ハイパーバイク Vol.11』 p.187
  5. ^ 「600cc最速車5台徹底比較」『バイカーズステーション』第21巻第9号、モーターマガジン社、2007年9月号、34-61頁。 
  6. ^ 「600cc最速モデル王座決定戦」『バイカーズステーション』第23巻第5号、モーターマガジン社、2009年5月号、32-50頁。 

参考文献

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  • 『KAWASAKI ZX-10R』ニューズ出版東京都〈ハイパーバイク Vol.11〉、2005年8月8日。ISBN 4-89107-338-1 

外部リンク

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