カレープラント(学名: Helichrysum italicum、英語: curry plant)はキク科ムギワラギク属ヘリクリサム属)に属する多年草の一種である。別名、ハーブ・オブ・グレース[1]、エバーラスティングともよばれる。南ヨーロッパ原産のハーブとして知られ、カレーのような芳香がある。

カレープラント
エルバ島にて撮影)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
: ムギワラギク属 Helichrysum
: カレープラント H. italicum
学名
Helichrysum italicum (Roth) G.Don.
英名
curry plant

名称

編集

葉茎からカレーの香りがするためカレープラントと呼ばれる[1]。乾燥させた後も、色や形の変化が無いことから、イモーテル(不滅)、エバーラスティング(永遠)とも呼ばれる[2]

よく似た名前を持ち同様の香りを放つカレーノキ (Murraya koenigii、標準和名: オオバゲッキツ) はまったくの別種である。

分布

編集

南ヨーロッパの原産といわれる[1]。南ヨーロッパから北アフリカにかけての地中海沿岸に原生。乾燥した岩場や砂地に見られる。

ハーブ観葉植物として広く栽培されている。他地域に移植しても生育するが、湿潤な環境は苦手とする。ムギワラギクよりさらに高温多湿に弱いが、日本でも露地栽培が可能である。

形態

編集

茎は低木といえるほど頑丈な木質で、高さ 60センチメートル (cm) 以上にまで成長することがある。茎とは葉は銀灰色の産毛に覆われている[1]。夏に黄色い花を咲かせる。種子は微細である。

用途

編集

ハーブの一種として知られ、カレーのような香りと強い苦味がある[1]。花、茎、葉が利用され、香料用、食用、薬用、観賞用、園芸用、クラフト用と様々に使われる[1]。花・茎葉を乾燥品にすると、虫除け効果、防臭効果があると言われている[1]

観賞用
乾燥に強く、ドライフラワーにしてもほとんど色あせない。そのため、への供花として使われる[2]。また、銀灰色の葉茎を楽しむために花壇などに寄せ植えされる。
香料
苦味が強いため食用には適さないが、葉茎を料理の香り付けに利用することがある。カレー粉カレールーの原料としては用いない[1]
医療
民間療法として、本種を不滅を意味するイモーテルと呼称し、抽出した精油に薬効を謳うことがある。花を乾燥させて茶の代わりに飲むと、精神安定や疲労回復に役立つことから、軽度のにも使われる[1]

脚注

編集

参考文献

編集
  • David Burnie (1995). Wild Flowers of the Mediterranean. Dorling Kindersley Publishers Ltd. ISBN 0-7513-2761-1 
  • T. G. Tutin et al. (1968). Flora Europaea, Volume 2. Cambridge University Press. ISBN 0-521-06662-X 
  • USDA, ARS, National Genetic Resources Program. “Helichrysum italicum”. Germplasm Resources Information Network. National Germplasm Resources Laboratory. 2011年11月23日閲覧。
  • 伊藤進吾、シャンカール・野口監修 誠文堂新光社編『世界で使われる256種 ハーブ&スパイス辞典』誠文堂新光社、2013年12月23日、44頁。ISBN 978-4-416-61364-1