カレッジフットボール・プレーオフ
カレッジフットボール・プレーオフ(英語: College Football Playoff)は、アメリカ合衆国の大学アメリカンフットボール(カレッジフットボール)において、年間王者を決める制度。2014年のシーズンから導入された。
カレッジフットボール・ プレーオフ | |
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競技 | アメリカンフットボール |
創立 | 2014年 |
参加チーム | 12(準決勝を含む6大ボウル・ゲーム出場校) | 4(準決勝出場校)
国 | アメリカ合衆国 |
前回優勝 | ミシガン・ウルヴァリンズ(2023年、初優勝) |
最多優勝 | アラバマ・クリムゾンタイド(3回) |
テレビ局 | ESPN |
公式サイト | College Football Playoff |
それまではボウル・チャンピオンシップ・シリーズ制度のもと、ランキング1位校と2位校の直接対決が行われていた。2014年シーズンから出場校が4校に拡張され、準決勝→決勝のトーナメント方式になった[1]。カレッジフットボールプレーオフ2024-2025シーズンから12チームの拡張が決まっている。プレーオフのテレビ中継はESPNが行う。
方式
編集レギュラーシーズンの流れ
編集カレッジフットボールの最上位クラスとされる全米大学体育協会(NCAA)のディビジョンIフットボール・ボウル・サブディビジョン(FBS)には、2014年シーズン時点で10のカンファレンスが存在している。また、カンファレンスには所属しない大学もある。これらは、強豪校・人気校が集い規模の大きな "パワー5カンファレンス" と、それよりも小規模の "グループ・オブ5カンファレンス" に大別される[2]。
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シーズンは8月下旬から9月上旬にかけて開幕する。各校ともシーズン序盤は他カンファレンス所属校や、FBSの下部にあたるディビジョンIフットボール・チャンピオンシップ・サブディビジョン(FCS)所属校との対戦を行い、中盤から終盤にかけてカンファレンス戦に臨むのが一般的である。11月下旬から12月上旬にレギュラーシーズンが終了し、各カンファレンスの優勝校が決まる。カンファレンス内の順位を決める際には、他カンファレンス所属校やFCS所属校との対戦成績は勘案されず、同カンファレンス内の対戦成績だけが適用される。また、2地区制を導入しているカンファレンスは、それぞれの地区を制した2校で優勝決定戦を行う。
10月下旬から11月上旬頃になると、CFPの選考委員会が招集される。この選考委員会は毎週火曜日に、FBS上位25校を順位付けして発表する。この選考の際には、他カンファレンス所属校やFCS所属校との対戦成績も考慮される。選考委員会が順位付けの際に重視する要素のひとつが、日程(対戦相手)の厳しさである[3]。これは、強豪校を多く擁するパワー5カンファレンスに有利に働く。実際に2016年シーズンには、グループ・オブ5のMACに所属するウェスタンミシガン・ブロンコス(西ミシガン大学)がレギュラーシーズンを13戦全勝で終えたにもかかわらず、最終ランキングではパワー5カンファレンス所属の8勝4敗チームより下位となった事例がある[2]。
レギュラーシーズンがほぼ終わり各カンファレンス優勝校が決定した12月上旬に、CFP選考委員会は最終ランキングを発表する。ここで4位までに入ったチームが、1月1日前後に開催されるCFP準決勝への出場権を得る。ここで「ほぼ」と書いたのは、アーミー・ブラックナイツ(陸軍士官学校)とネイビー・ミッドシップメン(海軍兵学校)との定期戦 "アーミー=ネイビー・ゲーム" が、レギュラーシーズンを締めくくる試合として最終ランキング発表後に開催されるためである[4]。
準決勝
編集下記の6つのボウル・ゲームが持ち回りで、3年に一度プレーオフの準決勝を行う。これら6つのボウル・ゲームは、1月1日前後に開催されることから、俗に "New Year's Six" と呼ばれる[5]。準決勝ではランキング1位校と4位校、2位校と3位校が対戦する。この際、1位校にはホームアドバンテージに類する特典として、自校所在地により近い場所で行われるボウル・ゲームへの出場権があてがわれる[6]。ただし、この法則に従うと1位校出場ボウル・ゲームの開催地が4位校の地元圏になってしまうような場合は、この法則は適用されない[7]。
準決勝を担当する シーズン |
ボウル・ゲーム | 初開催 | 現在の開催地 | |
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3の倍数+1(または 3の倍数-2)の年の シーズン |
ローズボウル Rose Bowl |
1902年 1月 1日 |
ローズボウル (カリフォルニア州パサデナ) |
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シュガーボウル Sugar Bowl |
1935年 1月 1日 |
シーザーズ・スーパードーム (ルイジアナ州ニューオーリンズ) | ||
3の倍数+2(または 3の倍数-1)の年の シーズン |
オレンジボウル Orange Bowl |
1935年 1月 1日 |
ハードロック・スタジアム (フロリダ州マイアミガーデンズ) | |
コットンボウル Cotton Bowl |
1937年 1月 1日 |
AT&Tスタジアム (テキサス州アーリントン) | ||
3の倍数の年の シーズン |
ピーチボウル Peach Bowl |
1968年12月30日 | メルセデス・ベンツ・ スタジアム (ジョージア州アトランタ) | |
フィエスタボウル Fiesta Bowl |
1971年12月27日 |
ステートファーム・スタジアム (アリゾナ州グレンデール) |
New Year's Sixのうち準決勝以外の4つのボウル・ゲームに関しても、CFPでは出場校を決めるため一定の規則を設けている。これにはカンファレンスが関係しており、準決勝進出を逃したランキング5位から12位までの8チームが自動的に割り振られるわけではない。
- ローズボウル:準決勝でない年は、Big TenとPac-12の優勝校どうしが対戦する。該当校が準決勝に進出している場合は、同カンファレンスでランキング次点のチームに出場権が移る。
- シュガーボウル:準決勝でない年は、Big 12とSECの優勝校どうしが対戦する。該当校が準決勝に進出している場合は、同カンファレンスでランキング次点のチームに出場権が移る。
- オレンジボウル:準決勝でない年は、まずACCの優勝校が出場する。該当校が準決勝に進出している場合は、ACCでランキング次点のチームに出場権が移る。対戦相手は、準決勝・ローズボウル・シュガーボウルに出場していない Big Ten、SEC、ノートルダム大学のうち、ランキング最上位のチームに与えられる。
- コットンボウル、ピーチボウル、フィエスタボウル:グループ・オブ5のランキング最上位校が準決勝に進出していない場合、そのチームには出場権が保証される。その他の5枠は、上記のボウル・ゲームに出場しないなかでランキングが上位のチームに与えられる。
順位 | チーム | カンファレンス | 勝敗 |
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1 | アラバマ・クリムゾンタイド | SEC優勝 | 13勝0敗 |
2 | クレムソン・タイガース | ACC優勝 | 12勝1敗 |
3 | オハイオステート・バックアイズ | Big Ten | 11勝1敗 |
4 | ワシントン・ハスキーズ | Pac-12優勝 | 12勝1敗 |
5 | ペンステート・ニタニーライオンズ | Big Ten優勝 | 11勝2敗 |
6 | ミシガン・ウルヴァリンズ | Big Ten | 10勝2敗 |
7 | オクラホマ・スーナーズ | Big 12優勝 | 10勝2敗 |
8 | ウィスコンシン・バジャーズ | Big Ten | 10勝3敗 |
9 | USCトロージャンズ | Pac-12 | 9勝3敗 |
10 | コロラド・バッファローズ | Pac-12 | 10勝3敗 |
11 | フロリダステート・セミノールズ | ACC | 9勝3敗 |
12 | オクラホマステート・カウボーイズ | Big 12 | 9勝3敗 |
13 | ルイビル・カージナルス | ACC | 9勝3敗 |
14 | オーバーン・タイガース | SEC | 8勝4敗 |
15 | ウェスタンミシガン・ブロンコス | MAC優勝 | 13勝0敗 |
16 | ウェストバージニア・マウンテニアーズ | Big 12 | 10勝2敗 |
17 | フロリダ・ゲイターズ | SEC | 8勝4敗 |
18 | スタンフォード・カージナル | Pac-12 | 9勝3敗 |
19 | ユタ・ユーツ | Pac-12 | 8勝4敗 |
20 | LSUタイガース | SEC | 7勝4敗 |
21 | テネシー・ボランティアーズ | SEC | 8勝4敗 |
22 | バージニアテック・ホーキーズ | ACC | 9勝4敗 |
23 | ピッツバーグ・パンサーズ | ACC | 8勝4敗 |
24 | テンプル・オウルズ | AAC優勝 | 10勝3敗 |
25 | ネイビー・ミッドシップメン | AAC | 9勝3敗 |
例として、これを2016年シーズンのランキングに当てはめると、以下のようになる。
- ランキング1位アラバマ・クリムゾンタイド(アラバマ大学)の本拠地は、アラバマ州タスカルーサである。この年の準決勝ボウル・ゲームは、ピーチボウルがジョージア州アトランタで、フィエスタボウルがアリゾナ州グレンデールで、それぞれ開催される。タスカルーサには、グレンデールよりもアトランタのほうが近い。したがって準決勝ボウル・ゲームの組み合わせは、ピーチボウルが1位アラバマ対4位ワシントン・ハスキーズ(ワシントン大学)、フィエスタボウルが2位クレムソン・タイガース(クレムソン大学)対3位オハイオステート・バックアイズ(オハイオ州立大学)となる。
- ローズボウルには、Big TenとPac-12の優勝校が出場する。Big Ten優勝校ペンステート・ニタニーライオンズ(ペンシルベニア州立大学)は5位で準決勝進出を逃しているため、そのままローズボウルに出場する。Pac-12優勝校ワシントンは4位で準決勝に出場するので、ローズボウル出場権はPac-12次点の9位USCトロージャンズ(南カリフォルニア大学)に移る。したがってローズボウルの組み合わせは、ペンステート対USCとなる。
- シュガーボウルには、Big 12とSECの優勝校が出場する。Big 12優勝校オクラホマ・スーナーズ(オクラホマ大学)は7位で準決勝進出を逃しているため、そのままシュガーボウルに出場する。SEC優勝校アラバマは1位で準決勝に出場するので、シュガーボウル出場権はSEC次点の14位オーバーン・タイガース(オーバーン大学)に移る。したがってシュガーボウルの組み合わせは、オクラホマ対オーバーンとなる。
- オレンジボウルには、ACC優勝校が出場する。しかし該当するクレムソンは2位で準決勝に出場するため、オレンジボウル出場権はACC次点の11位フロリダステート・セミノールズ(フロリダ州立大学)に移る。対戦相手の条件に当てはまる最上位校は、Big Ten所属の6位ミシガン・ウルヴァリンズ(ミシガン大学)である。したがってオレンジボウルの組み合わせは、フロリダステート対ミシガンとなる。
- New Year's Sixで残るのはコットンボウルのみである。グループ・オブ5最上位校のMAC所属ウェスタンミシガン・ブロンコス(西ミシガン大学)は15位で準決勝進出を逃しているため、コットンボウルへの出場権を得る。ここまでNew Year's Six出場権を割り当てられていないなかでの最上位校は、Big Ten所属の8位ウィスコンシン・バジャーズ(ウィスコンシン大学マディソン校)である。したがってコットンボウルの組み合わせは、ウェスタンミシガン対ウィスコンシンとなる。
全米王者決定戦
編集カレッジフットボール・プレーオフ・ナショナルチャンピオンシップ(College Football Playoff National Championship)は例年1月の第2月曜日に開催される。準決勝を勝ち上がった2校によりそのシーズンの全米王者が決定される[8]。
歴代結果
編集準決勝および全米王者決定戦
編集New Year's Sixのうち準決勝以外のもの
編集テレビ中継
編集2015年の第1回全米王座決定戦は1890万人が視聴したといわれている[9]。
脚注
編集注釈
編集- ^ 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い、カリフォルニア州当局が無観客を開催の条件としたため、開催地を移動した。
- ^ COVID-19の流行により、所属カンファレンス外のチームとの対戦を取りやめる学校が相次いだ。カンファレンス無所属のノートルダム大学は試合を組めなくなる可能性があったため、この年は特例でアトランティック・コースト・カンファレンスに加盟した。
出典
編集- ^ Brett McMurphy, "Arlington to host title game," ESPN.com, October 5, 2013. 2017年1月8日閲覧。
- ^ a b Brett McMurphy, "Group of 5 officials considering playoff for non-Power 5 teams," ESPN.com, December 30, 2016. 2017年1月8日閲覧。
- ^ Stewart Mandel, "How could a mid-major qualify for the College Football Playoff?," SI.com, March 10, 2014. 2017年1月8日閲覧。
- ^ Paul Myerberg , USA TODAY Sports, "Army, Navy have no plans to move game for College Football Playoff schedule," USA TODAY, May 22, 2015. 2017年1月8日閲覧。
- ^ Ryan Cooper, "College football bowls: New Year's Six matchups announced," NCAA.com, December 4, 2016. 2017年1月11日閲覧。
- ^ Gary Laney, "College Football Playoff: System details, committee members and why it won't end the controversy," AL.com, August 19, 2014. 2017年1月14日閲覧。
- ^ Heather Dinich, "College Football Playoff rankings: What the games would look like today," ESPN.com, November 27, 2019. 2020年1月8日閲覧。
- ^ Wolken, Dan (April 25, 2013). “Questions and answers for the College Football Playoff”. USA Today April 25, 2013閲覧。
- ^ “College Football Playoff final sets ratings record for ESPN, cable TV”. Los Angeles Times (January 13, 2015). January 17, 2015閲覧。