オー・カセ
オー・カセ(Ocasse)は、コンパクトカセットのリールを磁気テープごと脱着式にし、オープンリールとリール部交換式カセットとしたもので、ティアックによって開発された。
概要
1984年2月に、オーディオ用磁気テープとして小型軽量化、リール・テープ単体の低価格化を売りに商品化された。
- オーディオ用磁気記録テープ媒体としては、コンパクトカセット参照。
- デジタル情報の電子媒体としては、データレコーダ参照。
長所
基本的にはオープンリールの長所である。
短所
基本的にはオープンリールの短所である。
- リール・ホルダーへのリール・テープの付け外しが面倒。
- 磁気テープとして単体時の取り扱い上の保護が弱い。メディア自体がほぼ露出しているので湿気には弱くなる。
- 取り付けるリール・テープによって、リール・ホルダーの上部のテープポジション検出孔を手作業で変更する必要がある。
- 録音再生でのテープの途中で、リール・テープをリール・ホルダーから取り外す事ができない。
- リール・テープが、(当時の記録テープ媒体としては、)小さすぎて扱いにくいと思われた。
- その構造上(ホルダーがむき出しになっている)、カーオーディオやウォークマン等のポータブル・カセットプレーヤー、黎明期(1975年以前)の単品オーディオ用アナログカセットデッキ、一部機種にカセットハーフ検出スイッチのほか、フルロジックメカニズムを用いた単品オーディオ用アナログカセットデッキやステレオラジカセ、可搬型ミニコンポ[1]、カセットデンスケ(ソニー)やナマロク(日本ビクター、現・JVCケンウッド)などに見られる可搬型アナログカセットレコーダー、プレスマン(ソニー)やウォークマン・プロフェッショナル(ソニー、「WM-D6」および「WM-D6C」)などに見られるポータブルカセットレコーダーのほか、カセットのトランスポート部分が垂直型でない一部のラジカセ(主に「バブルラジカセ」と呼ばれた一部機種)やモジュラーステレオなどでは使用できない。
リール・ホルダー
リール・テープを取り付ける事でコンパクトカセットと互換性を持つ。金属製で眼鏡型にリールが見えるようになっている。固定リールへのテープの付け外しは手作業である。
リール・テープ
日立マクセル(現・マクセル)製、オーディオ用磁気テープ使用。記録時間は全て、両面50分(C-50、片面25分)に統一されていた。
- NT-50;ノーマルテープ (TypeI)
※1984年当時のマクセル「UD I」に相当。 - CT-50;ハイポジションテープ (TypeII)
※1984年当時のマクセル「XL II」に相当。 - MT-50;メタルテープ (TypeIV)
※1984年当時のマクセル「MX」に相当。
商品
リール・ホルダーとリール・テープの単体売りのみならず、リール・テープの個数の違うリール・ホルダーとのセット品や、リール・テープの複数セット品、リール・テープの多色展開など、多様な商品展開を行っていた。
しかし、コンパクトカセット単体の低価格化により、価格競争力が失われ、オープンリール的な使い方を求める消費者も多く無く、自然消滅して行く事となった。よく考えてみると当時のニッチ(隙間)的な商品であるという事が窺える。
- 商品ロゴ : O
casse - キャッチフレーズ : テープ独立宣言。テープ着脱自在。
- 商品名称 : 箱、説明文、商品自体への表記に多様性が見られる。「オー・カセ」「Ocasse」「ニュー オープン・カセットテープ」「OPEN CASSETTE TAPE」「オーカセ」「OPEN CASSETTE」などがあり、使い分けも明確ではない。
注
- ^ 主に1977年から1982年頃にかけて日本ビクターから発売されたカセットデッキやステレオラジカセ、可搬型ミニコンポが該当する。例としてはカセットデッキがKD-85SA/95SA/A5/A5R/A6/A7/A8/A33/A55/A66/A77/D22/D33/D44/D55、DD-5/7/9/10/66/77/88/99、D-E5、ステレオラジカセがRC-M60/M80/M90、可搬型ミニコンポがPC-5/7などが該当。